種々のγ線放出核を用いた早期疾患診断プローブ開発とコンプトンカメラによる複数核種同時イメージング

文献情報

文献番号
200812028A
報告書区分
総括
研究課題名
種々のγ線放出核を用いた早期疾患診断プローブ開発とコンプトンカメラによる複数核種同時イメージング
課題番号
H19-ナノ・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
榎本 秀一(独立行政法人理化学研究所 仁科加速器研究センター・メタロミクス研究ユニット)
研究分担者(所属機関)
  • 片岡 洋祐(大阪市立大学大学院(医)・システム神経科学)
  • 高橋 忠幸(独立行政法人宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部 )
  • 本村 信治(独立行政法人理化学研究所・分子イメージング研究プログラム・分子プローブ動態応用チーム )
  • 金山 洋介(独立行政法人理化学研究所・分子イメージング研究プログラム・分子プローブ動態応用チーム )
  • 羽場 宏光(独立行政法人理化学研究所・仁科加速器研究センター・森田超重元素研究室)
  • 三戸 美生(株式会社アクロラド開発部)
  • 鈴木 孝宏(キャンベラジャパン株式会社技術部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
47,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、複数分子同時イメージング用新核医学核種合成と新プローブの創薬を行い、このプローブを用いた生体分子動態の非侵襲的可視化を行う。
研究方法
・新核医学核種の探索と新プローブの創薬1)核種製造技術の確立と多核種同時イメージング用新核医学核種の探索2)新プローブ探索と合成(糖尿病バイオマーカー探索とプローブ化)3)新プローブによるGREI多核種同時イメージング4)実用化のための基礎医学研究と他モダリティとの比較
・装置開発と検証1)GREIによる複数分子同時イメージングと改良2)Si/CdTeコンプトンカメラによる複数分子同時イメージングと改良
結果と考察
・新核医学核種探索と新プローブ創薬1)小型サイクロトロンによる64Cu製造システムを構築。2)糖尿病モデルマウスと正常マウスの脂肪組織の比較からイメージングのバイオマーカーとなり得る2遺伝子を同定。3)上皮成長因子受容体(EGFR)を認識する抗体医薬セツキシマブを64CuとDOTAを用いてプローブ化し、EGFR高発現腫瘍A431株移植マウスを用いて動物用PETとGREIによる腫瘍イメージングに成功。4)64Cu標識により同一個体での既存モダリティとGREIの正確な比較を可能にした。
・装置開発と検証1)γ線後方散乱補正の実装、スペクトロスコピーアンプによる回路安定性の向上を実現。GREI高解像度化のため高精度γ線相互作用位置測定法を開発、高感度化のためγ線トラッキング法を実装し約3-5倍感度向上を実現。2)検出器配置最適化やトリガーロジックの改良により低エネルギーγ線コンプトン散乱事象検出効率を向上。
結論
本年度は理研CMISにおける64Cu製造に成功し、新プローブ合成への供給ができた。新プローブ創薬は、DOTAによる抗体分子のプローブ化を行い、複数分子腫瘍イメージングにおける抗体分子利用の有効性を証明した。また糖尿病モデルマウスの脂肪組織から糖尿病、炎症のイメージング候補となる2つのバイオマーカー遺伝子を同定した。また64Cu標識プローブによりPET、GREIの正確な比較を実現し、プローブ探索、装置開発の効率化が図れた。GREI開発として昨年度明らかとなったγ線後方散乱の影響や回路安定性について解決した。また各要素技術開発により高解像度・高感度化に成功した。Si/CdTeコンプトンカメラの改良にも成功した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-