がんを安全・高感度で鮮明に画像化できるナノサイズシュガーボールデンドリマー型新規MRI造影剤の開発研究

文献情報

文献番号
200812025A
報告書区分
総括
研究課題名
がんを安全・高感度で鮮明に画像化できるナノサイズシュガーボールデンドリマー型新規MRI造影剤の開発研究
課題番号
H19-ナノ・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山下 光司(国立大学法人 静岡大学 創造科学技術大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 阪原 晴海(国立大学法人 浜松医科大学 医学部)
  • 間賀田 泰寛(国立大学法人 浜松医科大学 光量子医学研究センター)
  • 竹原 康雄(国立大学法人 浜松医科大学 附属病院)
  • 藤江 三千男(国立大学法人 浜松医科大学 実験実習機器センター )
  • 岡野 孝(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 三好 憲雄(国立大学法人 福井大学 医学部)
  • 本間 信行(静岡県工業技術研究所浜松工業センター 機械材料科)
  • 木村 元彦( 国立大学法人 静岡大学 工学部)
  • 戸田 三津夫( 国立大学法人 静岡大学 工学部)
  • 田中 康隆( 国立大学法人 静岡大学 工学部)
  • 押川 達夫(国立沼津高等工業専門学校 物質工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
27,998,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在最も広く用いられているMRI造影剤のGd-DTPA(商品名:マグネビスト)を基本骨格として、ナノサイズのシュガーボールデンドリマー型のGd-DTPA錯体を調製する。当該のデンドリマーの糖による生体内機能物質認識能により、母核のGd-DTPAが備えていない血管貯留性、がん組織や臓器を選択的に造影する機能を備えたMRI造影剤を開発する。
研究方法
母核の配位子のDTPAに糖のジあるいはトリアミン誘導体をコンバージェント法によって結合させてデンドリマーを構築し、Gdを配位させてデンドリマー型Gd-DTPA錯体を誘導した。外殻の糖の種類や数、外殻の残基として糖単独あるいは複合体、リンカーの種類、合成ルート等を変化させて様々な種類・構造やサイズ、機能のGd錯体を調製した。当該のGd錯体をin vitro及びin vivoにより評価した。
結果と考察
平成19年度~20年度は、4種類のカテゴリーに属する方法により配位子を合成し、更に数十種類のGd-DTPA錯体誘導体を調製した。そのin vitro評価およびin vivo評価により、MRI造影剤としての最適化合物の絞り込みを行った。加水分解を含まない合成ルートで調製したGd-DTPA-HMTA-D2-4Glc(OH)はGd-DTPAの約7倍の緩和率r1を与えた。また、加水分解を含むルートで調製したGd-DTPA-DENは約9倍のr1を与え、MRI造影剤の感度としてはほぼ目標を達成した。それぞれの合成パターンで調製した3件のGd-DTPA錯体の安全性試験(委託試験)結果は、いずれの錯体も「安全」であった。
結論
調製したGd-DTPA-HMTA-D2-4Glc(OH)及びGd-DTPA-DENは、アルブミン媒体中で、Gd-DTPAの約7倍~9倍を示す高い感度の緩和率r1を与えた。in vivo評価において、前者は血管および直径1.2mm程度の初期がんの鮮明な画像を与えた。また、後者は、血管貯留性、血管造影、肝臓への集積性、がん造影等に優れた効果を与えた。また、腹腔内出血も鮮明に画像化した。平成21年度は、最終候補造影剤の絞り込み、生体内分子認識の作用機序の解明、前臨床試験前データの収集を行う。更に、実用化に向けて、企業等との共同研究体制を強化して、次の臨床・実用化ステージに繋げる研究成果・研究体制を整える。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-