文献情報
文献番号
200812013A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞移植医療における細胞のin vivoイメージングへ向けた新規細胞ラベル化用MRI造影剤の開発
課題番号
H19-ナノ・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山岡 哲二(国立循環器病センター研究所先進医工学センター 生体工学部)
研究分担者(所属機関)
- 中谷 武嗣(国立循環器病センター臓器移植部)
- 飯田 秀博(国立循環器病センター研究所先進医工学センター 放射線医学部)
- 橘 洋一(国立循環器病センター研究所先進医工学センター 生体工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
45,416,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
細胞移植療法の臨床化のためのEBM構築を目指して、移植細胞の生体内運命を長期間また低浸襲的に追跡できるMRI造影剤を開発し、これを用いた細胞標識法を含むMRI撮像システムを完成させる。この移植細胞の長期in vivoイメージングシステムにより下肢虚血および心筋梗塞モデル動物に移植した種々幹細胞の挙動を解析し、組織機能回復メカニズムを詳細に検討する。
研究方法
細胞や組織との相互作用がきわめて小さい水溶性キャリアーに対してガドリニウムを導入した高分子化造影剤を設計合成し、MRI造影効率を最適化した。これらを細胞内に送達するシステムとして、エレクトロポレーションをはじめとする汎用性の高い物理的手法を開発した。造影剤により標識したラット間葉系幹細胞およびラット血管内皮細胞前駆細胞を、ラット下肢虚血モデル、ラット心筋梗塞モデル、ブタ心筋梗塞モデルに移植し、細胞の移植後の挙動と、治療効果の相関について詳細に検討した。
結果と考察
マウス正常繊維芽細胞、ラット間葉系幹細胞、ラット血管内皮細胞前駆細胞、いずれの場合にも、エレクトロポレーション法により勘弁に標識することが可能になった。送達した造影剤は、細胞質成分にのみ分布しており、細胞増殖にも全く影響を与えなかった。さらに、間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化能力にも影響を与えておらず、きわめて低毒性、低刺激性で細胞を標識できることが明らかとなった。また、ソノポレーション法によりさらに高効率で標識できる可能性が示唆され、詳細な検討を続けている。
ラット下肢虚血モデルに対する移植実験では、間葉系幹細胞の効果が限定的であり、一方、血管内皮細胞前駆細胞移植では高い血流改善効果が得られた。また、いずれの場合にも移植細胞に基づくコントラストが約2週間で消失する様子が確認され、この原因となるイベントの解明を進めている。
ラット下肢虚血モデルに対する移植実験では、間葉系幹細胞の効果が限定的であり、一方、血管内皮細胞前駆細胞移植では高い血流改善効果が得られた。また、いずれの場合にも移植細胞に基づくコントラストが約2週間で消失する様子が確認され、この原因となるイベントの解明を進めている。
結論
開発したシステムは、細胞腫を選ばずに細胞を標識でき、標識下幹細胞の分可能を損なわないことから、幹細胞移植療法研究にきわめて有用なシステムである。前臨床研究における細胞移植療法治療効果のメカニズム解明を可能にするのみでなく、最低限のリスクで、最大の治療効果を発揮させるための定量的指標を示すためのツールとなると期待される。最終年度は心筋梗塞モデルへの展開を中心に検討を進める。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-