文献情報
文献番号
200812012A
報告書区分
総括
研究課題名
超高解像度MRI顕微鏡の開発
課題番号
H19-ナノ・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
福山 秀直(京都大学大学院 医学研究科附属 高次脳機能総合研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 上野智弘(京都大学大学院 医学研究科)
- 浦山慎一(京都大学大学院 医学研究科附属 高次脳機能総合研究センター )
- 松原明(京都大学大学院 理学研究科)
- 広瀬量一(株式会社 ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー)
- 土井信昭(株式会社 サムウェイ)
- 武田和行(京都大学大学院 理学研究科)
- 塩田浩平(京都大学大学院 医学研究科)
- 杉本直三(京都大学大学院 医学研究科)
- 犬飼宗弘(京都大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
39,909,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、細胞レベルの空間分解能でのex vivo撮像を可能とする超高解像度MRI顕微鏡を開発することを目的とする。具体的には、静磁場強度14.1テスラの小径ボア内に、傾斜磁場強度10T/mの傾斜磁場コイル、高感度ソレノイド型受信コイル、緩衝液を循環させ5ミリ角程度までの摘出細胞塊を生きた状態で固定できるガラス管、などを用い、空間分解能10ミクロン以下を目指す。
研究方法
本年度は、前年度に開発した大型機器等に加え、傾斜磁場コイル、送受信コイル、システムソフトウェアなどを開発し、MRI顕微鏡のプロトタイプ機を完成させた。また、完成したプロトタイプ機を用いて、in vitro撮像実験を行った。開発した傾斜磁場コイルは、送受信コイルを挟み込むようにボアの軸に垂直に配置した2枚のFRP円盤上に、直径0.2mmの銅線を、X, Y, Z用コイルを20巻ずつそれぞれ巻いて作成した。送受信コイルは最も感度の高いソレノイド型で、共鳴周波数(600MHz)で共振するLC共振回路を作成した。システムソフトウェアは、スペクトロメータ及び傾斜磁場コイルを制御するもの、またrawデータから画像を再構成するものをそれぞれ開発した。
結果と考察
傾斜磁場コイルに関して、3軸それぞれの傾斜磁場コイル用に用意した電源(最大電流/電圧:20A/20V)を用いたところ、最大傾斜磁場強度はX, Y, Zそれぞれ、0.63T/m, 0.56T/m, 1.3T/mであった。送受信コイルのQ値は73、ラジオ波照射強度は4mTであった。In vitro撮像実験では、入手が容易なカタクチイワシの稚魚(シラス)を主に対象とした。撮像方法は3次元スピンエコー法(TR:4秒、TE:2ミリ秒、空間分解能:50ミクロン、撮像時間:27.3時間)を用いたところ、信号ノイズ比は200を越えていることを確認できた。
結論
本年度は、MRI顕微鏡のプロトタイプ機を開発し、その有用性を確認できた。特に、数日にわたる撮像でも、十分な信号ノイズ比の画像撮像が可能であったことは、システムとして十分に安定していることを示していると考えられる。次年度は、更なる改良とin vitro及びex vivo撮像を行い、有用性の向上を試みる。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-