加工食品の輸出拡大に向けた規格基準設定手法の確立のための研究

文献情報

文献番号
202024047A
報告書区分
総括
研究課題名
加工食品の輸出拡大に向けた規格基準設定手法の確立のための研究
課題番号
20KA1009
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
中村 公亮(国立医薬品食品衛生研究所 食品部第五室)
研究分担者(所属機関)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 健康科学部栄養学科)
  • 佐々木 敏(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,418,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、近年行われた全国食事調査データを活用し、加工食品からの化学物質の摂取量を精密に推定できる新たな手法の開発を目的とする。
研究方法
①加工食品の摂取状況を把握するための全国食事調査のデータ解析(佐々木分担報告)
食事調査の対象者は、全国32都道府県で11月(秋季)、2月(冬季)、6月(春季)、8月(夏季)の不連続の2日間ずつ、合計8日間実施した。調査データは、年齢区分ごと(1~6歳、7~64歳、65歳以上、14~50歳の妊娠可能年齢の女性)と参加者全体(1歳以上)における全2228食品の摂取状況について集計し、表にまとめた。また、諸外国における加工食品の定義・分類に関する文献調査を実施した。
② 調理加工係数の問題点の把握(吉池分担報告)
日本食品標準成分表に掲載されている食品を対象に、加工食品は、「原材料的食品」と「加工食品」に分類した。重量変化率を用いて、「生」や「乾」などの未調理食品の重量を決定した。加工食品を作るのに必要な原材料の重量は、調理加工係数表を作成し、データベースを構築した。
③ 海外の残留農薬の規格基準の設定の際に議論されたデータの情報解析と残留農薬の摂取量の推定への応用(中村分担報告)
残留農薬等の規格基準設定に係る国際会議の評価書を入手し、製造工程における作物の残留農薬量の減衰や濃縮による変化の割合をまとめデータの解析を行った。
結果と考察
①加工食品の摂取状況を把握するための全国食事調査のデータ解析(佐々木分担報告)
全国食事調査の実施とデータ集計を行い、日本人の食事摂取状況を明らかにした。加工食品の分類では、NOVAが広く用いられているものの、加工食品の定義や日本人の食事への適用方法については検討の必要があると思われた。

②調理加工係数の問題点の把握(吉池分担報告)
日本食品標準成分表の成分値が計算値により求められている食品は、食品群別留意点に原材料配合割合が記載されているため、原材料の配合割合を決定することができた。原材料配合割合が示されていない加工食品は、方程式法により、原材料配合割合を推測した。今後、方程式法による推測の妥当性を検証する必要があることが示唆された。

③海外の残留農薬の規格基準の設定の際に議論されたデータの情報解析と残留農薬の摂取量の推定への応用(中村分担報告)
果実の加工(ジュースとその搾りかす)を例に、これまで国際会議の場で議論されてきた残留農薬に関する加工係数を解析した。その結果、農薬の物性値と加工係数との明確な相関性が明らかとなった。
結論
初年度は、輸出拡大が期待される日本の加工食品に対して、全国食事調査を実施し、調理加工係数の設定、ならびに、輸出先国の残留農薬の規格基準の設定手法(主に残留農薬の加工係数)に関する調査を行うことができた。次年度以降、初年度に得られたデータを元に、加工食品からの有害な化学物質の摂取量(特に残留農薬の摂取量)を精密に推定できる新たな手法の開発を試みる。

公開日・更新日

公開日
2021-11-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024047Z