ヒトiPS細胞等応用による新規細胞評価系構築のための基盤研究

文献情報

文献番号
200811022A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトiPS細胞等応用による新規細胞評価系構築のための基盤研究
課題番号
H20-生物資源・指定-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
水口 裕之(独立行政法人医薬基盤研究所基盤的研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 古江 美保(独立行政法人医薬基盤研究所生物資源研究部 )
  • 高橋 一朗(独立行政法人医薬基盤研究所生物資源研究部 )
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源・創薬モデル動物研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
57,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
細胞を用いたin vitroアッセイは、様々な安全性・有効性評価のための創薬研究に用いられるが、細胞において測定可能な評価項目は限られていること等、その結果の解釈には限界があった。また、創薬研究にこれまで用いられてきた様々な培養細胞の他、より生体組織に近い性質・機能を有した胚性幹細胞(ES細胞)や各種幹細胞の利用について研究がなされているが、分化制御等が不十分であり、再現性・安定供給に問題が認められた。本研究はスーパー特区として採択された研究課題「ヒトiPS細胞を用いた新規in vitro毒性評価系の構築」を推進する主要な研究の一つとして、創薬研究の加速化および非臨床データのヒトへの外挿性向上等のため、ヒト由来各種幹細胞を用いたin vitro安全性・有効性評価系開発のための基盤研究を行うことを目的とした。
研究方法
本研究は、主任研究者 1 名、分担研究者3名の計 4 名が遂行した。当該年度においては、主にヒト iPS 細胞培養法の標準化、培養プロトコールの確立、iPS 細胞作製法の改良、iPS 細胞に対する高効率遺伝子導入法の開発、に分けて遂行された。
結果と考察
H20年度は以下の結果を得た。(1)ヒトiPS細胞を多数樹立することに成功し、複数株において未分化マーカーの発現解析を行った。作成したiPS細胞は、医薬基盤研究所・細胞バンクに寄託され、「研究用iPS細胞」として国内の研究機関に有償提供することとなった。(2)ヒトiPS細胞の培養法を確立し、さらにヒトiPS細胞を無フィーダー無血清条件下での安定的に培養可能な培地組成を確立した。また、ヒトiPS細胞の標準化に向けて、未分化マーカー発現プロフィールを国際標準化に使用されている抗体を用いて解析を行う評価プロトコールを確立した。(3)マウス iPS細胞やヒトiPS細胞への高効率遺伝子導入法を確立した。また、マウスiPS細胞に対し、細胞分化に重要な遺伝子をiPS 細胞に導入することにより細胞分化を自由に効率良く制御できることを示した。
結論
(1)ヒトiPS細胞を多数樹立することに成功し、公的細胞バンクと通して分譲する準備を整えた。(2)培養技術の標準化として我々が確立したヒト幹細胞の培養法に基づき、ヒトiPS細胞を無フィーダー無血清培地によって長期安定的に培養する方法をほぼ確立できた。また、ヒトES、iPS細胞の培養プロトコールの標準化に成功した。(3)ヒトiPS細胞への高効率遺伝子導入法を開発した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-