食品衛生検査施設等の検査の信頼性確保に関する研究

文献情報

文献番号
202024031A
報告書区分
総括
研究課題名
食品衛生検査施設等の検査の信頼性確保に関する研究
課題番号
20KA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 卓穂(一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 公益事業部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
30,878,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品の安全性を確保するために外部精度管理調査プログラムの改善と開発を実施し、食品衛生検査施設等の分析値の信頼性の維持に寄与することを目的とした。
研究方法
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いた残留農薬検査用試料の開発を検討し、微生物検査については、適正基材の検証を行った。また、アレルギー物質検査(特定原材料検査)においては、新規に特定原材料複数添加試料の開発を行い、パイロットスタディを実施した。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、E. coli定性試験法についてLOD (Level of detection)50%の推定を行った。食品添加物試験法の妥当性評価に必要な食品の種類の選定を行った。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、小麦と落花生について分析法の抽出法の改良と最適化を行った。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、検査用試料の調製法を検討するとともに液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC-MS/MS)におけるマトリックス効果の影響を検証した。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤで作製した外部精度管理調査試料に分析値を付与した。
結果と考察
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いて玄米粉を基材として残留農薬検査用試料の作製条件を検討し、回収率の改善が確認され、有機溶媒と水の比率と噴霧温度に影響されることが分かった。微生物学検査(E.coli、腸内細菌科菌群、サルモネラ属菌)試料の添加菌濃度を1/100に低減することができ、食品衛生外部精度管理調査試料として用いることできることが示された。また、31機関参加の下、異なる基材2種を用いた特定原材料検査(乳)のパイロットスタディを実施した。その結果、基材による測定値の違いはほとんど認められなかった。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、E. coli定性試験法について、POD(Probability of detection)関数を求め、LOD(Level of detection)50%を算出した。エビピラフ、唐揚げ、ホウレン草、オクラで菌添加試験を実施した結果、LOD50%は13.88cfu/g~27.02 cfu/gであった。食品添加物試験法については、TBHQ、サイクラミン酸、ソルビン酸及び二酸化硫黄及び亜硫酸塩類を対象として7~10種の食品について評価し、TBHQ及びサイクラミン酸試験法で数種の性能基準(仮称)に満たない食品が認められた。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、カカオについては重合度の異なるPVPを共存させて抽出を行った結果、重合度の低いPVP K15の添加によって小麦と落花生で最も高い回収率が確認された。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、検査用試料の調製法の検討において、下痢性貝毒成分を含有する中腸腺試料を均質化したホタテガイ可食部を回転混合することにより、瓶詰め試料100本以上を調製した。マトリックス効果の検証では、厚生労働省通知法の例示法によってホタテガイ中腸腺を処理したところ、固相抽出の有無に関わらずに同程度のマトリックス効果が認められた。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤにより開発した残留農薬検査用玄米試料中のクロルピリホス、ダイアジノン、フェニトロチオン、マラチオンを対象とし、IDMSを用いて高精度化した一斉試験法および簡易分析法(QuEChERS法)により分析値を付与した。なお本法を適用するにあたり、添加回収試験により正確さを精密に評価し、対象農薬について一斉試験法とQuEChERS法で同等の分析値が得られることも確認した。
結論
外部精度管理調査プログラムに使用する適正試料の開発において、スプレードライヤで作製した玄米粉の残留農薬用試料は、これまで安定性に問題のある湿試料からそれが改善される乾試料の作製が可能となった。微生物学検査において添加菌量を1/100に低減することができ、E.coli定性試験法では検出下限値の推定ができた。一方、食品添加物の妥当性評価において、数種の添加物で食品を評価した結果、性能基準を満たさない食品が認められた。アレルギー物質検査で、カカオとシナモンにおいて小麦と落花生の測定への阻害が確認された。また、下痢性貝毒検査用試料調製において下痢性貝毒成分を含有する中腸腺試料を均質化したホタテガイ可食部に回転混合し作製した。さらに、スプレードライヤで作製した残留農薬用玄米試料をIDMSによる高信頼性分析により分析値を付与した。

公開日・更新日

公開日
2021-10-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-10-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,140,000円
(2)補助金確定額
40,140,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 29,806,569円
人件費・謝金 0円
旅費 77,731円
その他 993,700円
間接経費 9,262,000円
合計 40,140,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
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