健康食品等の安全確保に必要な技術的課題への対応と効果的な情報発信のための研究

文献情報

文献番号
202024019A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品等の安全確保に必要な技術的課題への対応と効果的な情報発信のための研究
課題番号
H30-食品-一般-010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 仁(目白大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 新井 一郎(日本薬科大学 薬学部)
  • 木村 尚史(北海道大学大学院医学研究院)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,514,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①昨年度、指定成分等含有食品の消費者に対する調査を実施し、子宮体癌、肺塞栓など女性ホルモンの暴露によって憎悪する疾病の既往を持つ者が多いことが分かった。よって本年度はこれらの疾病と指定成分等含有食品の利用に相関があるかを確認する。
②指定成分等含有食品制度の前後で商品パッケージなどにどのような変化が生じたかを明らかにする。
③昨年度、指定成分等含有食品の解説ページを作成した。今年度は現行のWebサイト(HFNET)と上記のような新しいページをスマホ対応(レスポンシブ化)した形で公開するための骨組みを作成した。
研究方法
 ①肺塞栓の既往を持つ群(以下、肺塞栓群)、熱中症などの既往を持つ群(以下、熱中症等群)、健常群の3群に対し、それぞれの疾病のリスク因子の有無やプエラリアを含めた女性向け健康食品の利用状況について質問をし、プエラリアが独立したリスクになっているかを確認した。
 子宮体癌の既往を持つ群(以下、子宮体癌群)、女性特有でない癌の既往を持つ群(以下、胃癌等群)、健常群の3群に対し、それぞれの疾病のリスク因子の有無やプエラリアを含めた女性向け健康食品の利用状況について質問をし、プエラリアが独立したリスクになっているかを確認した。
②指定成分等含有食品制度の前後での商品パッケージ比較
2020年6月1日の新基準施行前後において、4種指定成分含有製品を購入し、そのパッケージ表示、販売方法を比較した。また、ネット通販サイトにおける4種指定成分含有製品の記載内容を比較した。新聞調査は新聞データベース検索、雑誌調査は目視で行った。
③HFNETのレスポンシブ化
CMSについては現在世界的に最も多く利用されているWordPressを選択した。現在栄養研で利用されているIaaS(Infrastructure as a Service)型クラウドサーバに関しても、最もシェアが高いAWS(Amazon Web Service)を選択した。
結果と考察
①肺塞栓、子宮体癌の既往を持つ者のプエラリア利用実態調査
 健康食品の利用状態については、コラーゲンを除くすべてで肺塞栓群の利用が多かった。
 子宮体癌群で、プエラリア・ミリフィカ、エクオール、大豆イソフラボン、ブラックコホシュの利用が多かった。
②指定成分等含有食品制度の前後での商品パッケージ比較
2020年6月1日の新基準施行に先駆けパッケージ表示を、新基準に変更している製品はなかった。また、施行日前に製造した製品は継続販売可能であることから、2020年11月には、ほとんどの製品は、新表示にはなっていなかった。
③HFNETのレスポンシブ化
 今までミドルウェアのアップデートごとに必要となっていた更新、動作確認が不要になり、関連する保守費用が不要になった。また、現行のWebサイトを移設する際も、今回作成したサイトのIPアドレスに「健康食品の安全性・有効性情報」のドメイン名をつけるだけで済み、事実上移設費用が不要になった。
結論
 Webの書き込みから健康食品等の副作用の発生率が推定できることは、ファーマコビジランスの観点から非常に有用であると考えらえる。AWS+Wordpressで作成したHFNETの枠組みはそのまま移設先として利用できる。

公開日・更新日

公開日
2021-12-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-12-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202024019B
報告書区分
総合
研究課題名
健康食品等の安全確保に必要な技術的課題への対応と効果的な情報発信のための研究
課題番号
H30-食品-一般-010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 仁(目白大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 新井 一郎(日本薬科大学 薬学部)
  • 木村 尚史(北海道大学大学院医学研究院)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定成分等含有食品を消費しているもの、流通させているもの、商品に関する情報提供をしているもの(民間、公的機関)について分析し、消費者が指定成分等含有食品の危険性を正しく理解し、利用を控えるようになるための効果的な手段について分析する。
研究方法
指定成分等含有食品を消費しているもの、流通させているものについては対象にアンケートを実施した。栄養研のWebサイト「健康食品の安全性・有効性情報」の検索順位向上のために、検索エンジン最適化対策の一環としてプエラリアと同時に検索されている単語を調査した。また、スマートフォン対策のため、上記のサイトをレスポンシブ化した見本を作成し、栄養研に提供した。
結果と考察
指定成分等含有食品を消費しているものはインターネットと親和的で、商品の情報検索にも購入にも多用していることが明らかになった。また、性風俗産業従事者に消費者が多いことが明らかになった。この研究結果を受けて、インターネット対策として栄養研のWebサイト「健康食品の安全性・有効性情報」に検索エンジン最適化を試み、検索順位の向上につなげた。それと同時に指定成分等含有食品を流通しているものにも調査をし、指定成分等含有食品という制度自体がほとんど認知されていないこと、この制度に関する情報を提供した薬局・ドラッグストアなどが販売を取りやめる予定であることを明らかにした。
 また、指定成分等含有食品による健康被害の頻度を明らかにするために、インターネット上の商品コメントやSNSの書き込みなどから被害の発生頻度を推定し、被害の実態を明らかにした。
結論
 ①本研究が提案した検索エンジン最適化を施したことによって、栄養研のWebサイト「健康食品の安全性・有効性情報」の検索順位は向上し、4つの指定成分等含有食品名で検索すると、1ページ目に上記のサイトが表示されるようになった。また、現在このサイトは全くスマートフォン対応をしていないが、完全にレスポンシブ化したサイトの骨組みをクラウドサーバ上に構築し、そのまま栄養研に提供した。これを活用することで当該サイトのさらなる検索順位向上、大幅なコストダウンが期待できる。
②指定成分等含有食品を流通させているものは、健康被害の報告義務があること等の指定成分等含有食品制度自体を知らないが、適切な情報提供により販売を取りやめることが期待できる。このことが本研究より明らかになった。
③指定成分等含有食品の利用者はインターネットに親和的である、健康食品を濫用している傾向があるなど、消費者の特性はある程度明らかになっていたが、具体的な情報提供先は絞り込めていなかった。しかし、性風俗産業従事者に利用者が多いことが明らかになり、どこにアプローチすべきかが明確になった。

公開日・更新日

公開日
2022-01-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2022-01-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202024019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
指定成分等含有食品の利用者像を過去の研究よりも明示的にし、情報提供の対象を絞り込んだ。指定成分等含有食品の流通の状況や商品パッケージへの警告文の記載状況などを明らかにした。指定成分等含有食品の利用者が同時に検索している単語を明らかにし、検索エンジン最適化のために必要な情報を明らかにした。
臨床的観点からの成果
本研究は臨床的な研究でないためそれに関連した成果はないが、子宮体癌や肺塞栓といった重篤な疾患の患者が、発病前に標準的な医療を受けるよりも指定成分等含有食品を含む多くの健康食品を利用して症状を緩和しようとしていることを明らかにした。イソフラボンは肝がんを抑制する働きがあると考えられているが、国がんのコホート研究では逆の結果が出ている。その理由の一端は健康食品の過度な利用かもしれない。
ガイドライン等の開発
ガイドラインに関連した研究成果はない。
その他行政的観点からの成果
栄養研の指定成分等含有食品に関する解説ページについて、検索エンジン最適化の観点から商品名と同時に検索されている単語を調査し、それらを当該ページに組みこむことで、検索順位が上がり、トップページに表示されるようになった。
その他のインパクト
類似した研究テーマをもつ2つの研究班と合同で、一般市民向けのシンポジウムを2回開催した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
藤井仁、湯川慶子、新井一郎他
薬局等を対象とした「指定成分 等含有食品」の認知度および流通状況に関する横断研究
Therapeutic Research , 49  (2021)
原著論文2
湯川慶子、藤井仁、溝口貴文他
新聞、インターネットを通じた消費者への健康食品に関する注意喚起の伝達状況に関する分析
薬理と治療 , 49 (1)  (2021)
原著論文3
湯川慶子、児玉知子、新井一郎他
健康被害報告例のある健康食品プエラリア・ミリフィカのパッケージの特徴および消費者の嗜好に関する調査
Therapeutic Research , 42  (2021)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
202024019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,164,000円
(2)補助金確定額
8,864,000円
差引額 [(1)-(2)]
300,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,802,102円
人件費・謝金 1,374,122円
旅費 32,310円
その他 4,305,466円
間接経費 1,350,000円
合計 8,864,000円

備考

備考
支出合計の千円以下を切り捨てた超過分11000円は自己資金による。

公開日・更新日

公開日
2023-09-05
更新日
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