薬用植物資源の安定確保と有効活用のための基盤的技術の研究

文献情報

文献番号
200811012A
報告書区分
総括
研究課題名
薬用植物資源の安定確保と有効活用のための基盤的技術の研究
課題番号
H19-生物資源・指定-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木内 文之(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 修(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
  • 柴田 敏郎(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
  • 河野 徳昭(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
  • 吉松 嘉代(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源・創薬モデル動物研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬用植物種子並びに培養物の長期保存技術並びに既存農業機械の活用による薬用植物栽培の低コスト化技術を開発することにより,薬用植物資源を将来に亘って安定して確保するための基盤を整備する.また,薬用植物への迅速な遺伝子導入法を開発することにより,薬用植物の更なる活用の可能性を広げる.
研究方法
薬用植物種子の保存条件設定の基礎となる保存並びに発芽試験条件並びに保存可能年数を検討するとともに,培養物の超低温保存条件を検討した.野菜用の収穫機,苗の選別機,定植機,根切り機,洗浄機の薬用植物栽培への応用を検討した.また,薬用植物に適用できる迅速な遺伝子導入法として,種子に対する直接遺伝子導入法並びに花粉を介した種子への遺伝子導入を検討した.
結果と考察
4℃で保存したシソ種子の貯蔵年数による発芽率の変化を調べ,この条件での保存可能年数を明らかにするとともに,メハジキ,アイ等の発芽試験条件を設定した.また,オウレン,オニゲシ等の超低温保存条件を昨年度に引き続き検討するとともに,ニチニチソウ,ウラルカンゾウについて,成分含量等の観点から優良クローンを選抜した.野菜用に開発され,現在農家に普及している農業用機械の薬用植物栽培への応用を検討し,機械を一部改良することにより,ゴボウ収穫用機械がトウキの苗の掘り取りに,ゴボウ用に開発された根切断機がトウキの残茎部の切り取り作業に応用可能であることを示したが,野菜用の定植機の応用については,改善すべき課題が明らかになった.ケシを材料にして種子への直接遺伝子導入法を,GFP遺伝子の一過的発現を指標として検討し,昨年度形質転換に成功した条件に9M硫酸による種子の前処理を加えることにより,形質転換効率を最大10.8%にまで改善するとともに,ハトムギ種子への遺伝子導入を行い,約3割程度の個体に遺伝子導入ができることを明らかとした.また,花粉を介した遺伝子導入をケシについて検討し,成熟種子を得ることができた.更に,遺伝子導入を確認するための新たなマーカーとして赤色蛍光タンパク質DsRed2を利用するために,各種遺伝子組換え用のベクターを構築した.
結論
薬用植物種子並びに培養物の長期保存のための基礎データを収集するとともに,既存の農業機械が,その一部改良することにより,薬用植物栽培にも応用できることを示した.また,薬用植物種子への遺伝子の直接導入に向けた技術を進展させることができた.

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-