地域医療構想の達成のための病院管理者向け組織マネジメント研修プログラムの開発研究

文献情報

文献番号
202022016A
報告書区分
総括
研究課題名
地域医療構想の達成のための病院管理者向け組織マネジメント研修プログラムの開発研究
課題番号
19IA1006
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
福田 敬(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 柿沼 倫弘(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 佐藤 大介(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 橋本 廸生(公益財団法人日本医療機能評価機構)
  • 筧 淳夫(工学院大学 建築学部建築デザイン学科)
  • 渋谷 明隆(北里大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年のわが国の医療政策の重要課題として、都道府県における地域医療構想の策定がある。地域医療構想は、地域における病床の機能分化・連携を推進しつつ、医療・介護サービスの提供体制を確保するものである。
 一方で、サービス提供者である病院においては、人口高齢化に伴う医療ニーズの変化、医療技術の進歩等による業務内容の変化などから、病院職員の負担増が課題となっている。これについては、業務の効率化・合理化等による負担軽減、勤務環境の改善など、医師をはじめとする病院職員の働き方改革が、国の施策として進められているところである。
 このような医療機能分化や働き方改革等の施策に対応し、かつ安定した病院経営を行っていくためには、各病院の幹部職員の役割が大変重要である。しかしながら、経営管理・組織運営・施設管理などといった病院の事業継続のための人材育成については、病院の自助努力に任されているのが実態である。そこで本研究では、病院の幹部職員を対象とした体系的な研修プログラムを開発・提示することを目的として研究を行った。
研究方法
本研究では下記(1)〜(3)の研究課題を実施した。
(1)公的・民間病院の再編統合後の事例に関する計量テキスト分析(分担研究1)
 公的医療機関と民間医療機関が再編統合した事例を対象として、オンライン形式インタビューを実施した。インタビューでの発話におけるキーワードの出現の特性と共起関係について明らかにするため、インタビュー調査のテキストデータを用いて計量テキスト分析を実施した。
(2)病院幹部に対する参加型オンライン研修の工夫(分担研究2)
 前年度に引き続いて、新型コロナウイルス感染症のため集合型研修の実施が困難な状況となっている。このような状況下で、オンライン形式においてもいかに主体的な参加型学習方法が可能であるかを検証した。
(3)地域医療構想の達成のための病院管理者向け研修の企画と評価(分担研究3)
 ①病院の再編統合、②医師の働き方改革、の2つを重点テーマとした病院幹部職員向け研修プログラムを開発し、国立保健医療科学院において実際に研修を実施することにより、地域医療構想の達成のために必要な病院管理者向け研修の企画と評価を行った。今年度は新型コロナウイルス感染症のため、オンライン形式により研修を実施した。
結果と考察
 地域医療構想の達成に向けて、病院管理者が学習すべきテーマは、自院が存続すればよしとするような経営哲学ではなく、地域全体を持続可能とする考え方が求められている。この考え方は、これまでの病院管理研修での優先課題とは異なるものであり、今日的な課題であると思われる。
 分担研究3では、地域医療構想と医師の働き方改革という2大重要施策について企画した研修プログラムの実施・評価を行ったが、その内容については引き続き検討・改善を講じる必要がある。とくに、研修受講者の設定および多数希望者があった場合の選定基準と、演習パートの内容について改善を図り、受講者自身の課題を解決する演習プログラムを充実させることが今後の課題と考える。
 いっぽう今般の新型コロナウイルス感染症に対応する形で導入されたオンライン形式による研修であるが、分担研究2で示したように、大きな可能性を持っていることが分かった。これまで業務多忙のため研修参加日程の確保が困難であった医療者にとって、勤務先等から簡便に参加できるオンライン研修のほうが利便性が高いと評価されることも想定され、今後の病院管理者向け研修のあり方として、集合形式だけでなくオンライン形式も積極的に活用することも検討したい。
結論
医療政策にはさまざまな課題があるが、自治体職員だけでなく実際に医療サービスを提供する病院等の医療機関が、当該医療政策の意義やねらいについて正しく理解し、実践する必要がある。とくにトップである病院長が、政策の推進に向けて具体的な検討・意思決定を行うことが、地域医療構想の達成、医師の働き方改革の推進において欠かせないものと思われる。医療政策の理念をどのように具体的な行動へ落とし込むかは、重要かつ難しい課題であり、研修内容・実施方法についてPDCAサイクルを継続して改善を図ることが重要と考える。

公開日・更新日

公開日
2022-07-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202022016B
報告書区分
総合
研究課題名
地域医療構想の達成のための病院管理者向け組織マネジメント研修プログラムの開発研究
課題番号
19IA1006
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
福田 敬(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 柿沼 倫弘(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 佐藤 大介(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 橋本 廸生(公益財団法人日本医療機能評価機構)
  • 筧 淳夫(工学院大学 建築学部建築デザイン学科)
  • 渋谷 明隆(北里大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年のわが国の医療政策の重要課題として、都道府県における地域医療構想の策定がある。本研究では地域医療構想の達成に資する、病院の幹部職員を対象とした体系的な研修プログラムを開発・提示することを目的として研究を行った。
研究方法
本研究では下記(1)〜(5)の研究課題を実施した。
(1)医療機関の再編統合事例に関する現地調査・オンライン調査
 地域医療構想の議論の中で、地域もしくは医療機関の状況によっては、近隣の別医療機関と再編統合する事例がある。そこで再編・統合を達成した医療機関および関連自治体を対象に、再編・統合に至った背景・経緯および再編・統合の基本計画・組織体制ならびに再編統合後の医療機能・病院経営の状況等に関するヒアリング調査を実施した。
(2)病院の再編統合に関する計量テキスト分析
 3つの医療機関の再編統合事例について、各々の状況の相違によるキーワードの出現の特性と共起関係について明らかにするため、インタビュー調査のテキストデータを用いて計量テキスト分析を実施した。
(3)ケースメソッド法による医療機関の再編統合事例の教材開発
 医療機関の再編統合について、現地取材およびケースライティング技法について参照しながら、「独立行政法人山形県・酒田市病院機構の改革プラン」と題したケースメソッド法で用いる研修用教材を開発した。
(4)病院幹部職員の人材育成プログラムのあり方
 地域医療を支える医療機関の長である病院管理者は、医師として臨床には長けているが、管理者としては、多くの場合、体系的に組織マネジメントについて学習する機会がなく、その研修プログラムが求められている。とくに研修対象者である病院幹部職員が多忙でかつ成人であるという観点から、研修プログラム開発における効果的かつ効率的な人材育成のプログラムのあり方について検討した。
(5)地域医療構想の達成のための病院管理者向け研修の企画と評価
 上記(1)〜(4)までの研究成果等を踏まえて、①病院の再編統合、②医師の働き方改革、の2つを重点テーマとした病院幹部職員向け研修プログラムを開発し、国立保健医療科学院において実際に研修を実施することにより、地域医療構想の達成のために必要な病院管理者向け研修の企画と評価を行った。
結果と考察
 地域医療構想の達成に向けて、病院管理者が学習すべきテーマは、自院が存続すればよしとするような経営哲学ではなく、地域全体を持続可能とする考え方が求められている。この考え方は、これまでの病院管理研修での優先課題とは異なるものであり、今日的な課題であると思われる。
 本研究では、医療機関の再編統合をテーマとしたケースメソッド教材を開発したが、教材を監修した学識経験者らの意見として、これからの病院管理者には、地域の医療需要の的確なデータと将来予測、経営学的な知識、医師の働き方に関する労務管理の知識など、医師の専門性とは異なる事項が求められることが指摘された。さらに、これらの事項を効率的に思考・学習するための方法として、ケースメソッドは有効なものであり、唯一の正解ではなく多様な意見について議論することの重要性が指摘された。
 本研究ではこのケースメソッド教材を活用する場として、地域医療構想と医師の働き方改革という2大重要施策について企画した研修プログラムの実施・評価を行ったが、その内容については引き続き検討・改善を講じる必要がある。とくに、研修受講者の設定および多数希望者があった場合の選定基準と、演習パートの内容について改善を図り、受講者自身の課題を解決する演習プログラムを充実させることが今後の課題と考える。
結論
医療政策にはさまざまな課題があるが、自治体職員だけでなく実際に医療サービスを提供する病院等の医療機関が、当該医療政策の意義やねらいについて正しく理解し、実践する必要がある。とくにトップである病院長が、政策の推進に向けて具体的な検討・意思決定を行うことが、地域医療構想の達成、医師の働き方改革の推進において欠かせないものと思われる。医療政策の理念をどのように具体的な行動へ落とし込むかは、重要かつ難しい課題であり、研修内容・実施方法についてPDCAサイクルを継続して改善を図ることが重要と考える。

公開日・更新日

公開日
2022-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-07-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202022016C

収支報告書

文献番号
202022016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,500,000円
(2)補助金確定額
4,233,000円
差引額 [(1)-(2)]
267,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,342,062円
人件費・謝金 541,350円
旅費 60,324円
その他 289,602円
間接経費 0円
合計 4,233,338円

備考

備考
自己資金:338円

公開日・更新日

公開日
2023-04-26
更新日
-