疾患多発家系集積データと大規模ジェノタイピングを併用した新規糖尿病発症原因遺伝子の同定とテーラーメード医療への応用

文献情報

文献番号
200807027A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患多発家系集積データと大規模ジェノタイピングを併用した新規糖尿病発症原因遺伝子の同定とテーラーメード医療への応用
課題番号
H20-ゲノム・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 暢也(京都大学医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 長嶋 一昭(京都大学医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
  • 小泉 昭夫(京都大学医学研究科 環境遺伝学分野)
  • 松田 文彦(京都大学医学部附属ゲノム医学センター)
  • 池田 正毅(正名会池田病院)
  • 岡本 元純(大津赤十字病院)
  • 矢野 秀樹(彦根市立病院)
  • 山本 泰三(京都桂病院)
  • 水野 展寿(滋賀県立成人病予防センター)
  • 安田 浩一朗(大阪府済生会野江病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
43,510,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
代表的生活習慣病である糖尿病について、疾患感受性遺伝子の多くは未同定のままである。糖尿病多発家系を多数蓄積した上で連鎖解析およびハプロタイプ解析により候補遺伝子の絞込みを行い、より効率的に糖尿病発症原因候補遺伝子を絞り込み、機能解析およびCase-Control解析を行うことにより、日本人糖尿病発症原因遺伝子の同定と病態形成メカニズムの解明を行うことを目的とする。
研究方法
新規糖尿病発症原因遺伝子を同定するため、以下の方法を用いた。
1.糖尿病家族歴濃厚家系の収集
京都大学医学部附属病院および研究分担者所属病院にて3世代以上にわたり糖尿病患者を有する糖尿病家族歴濃厚家系を集積。承諾を得られた患者および親族に関して血液検体採取・ゲノムDNA抽出を行った。
2.ゲノム解析
抽出したゲノムDNAを用いて全ゲノムワイドの連鎖解析を行い、糖尿病感受性遺伝子群の絞り込みを行い、有意な連鎖領域に関してfine mappingを行った。
3.候補遺伝子の検証
候補遺伝子の検証方法として、「in vitro解析」と「糖尿病患者および非糖尿病患者各々約500名によるCase-Control解析」を行う。本年度は、地域と連携してコホートデータを収集・整理を進めた。
結果と考察
本年度は、糖尿病家族歴濃厚家系30家系(100名)以上の研究参加の承諾を得、採血を行った。5家系での連鎖解析の結果、染色体1番に有意な連鎖を認めた。同領域に関して、1cMの解像度でfine-mappingを行い連鎖領域を絞りこんだ。現在、同候補領域中の遺伝子群から、候補遺伝子を選択し、両端100bpをふくむ全エクソンの配列の決定が順次進行中である。
1万人を対象にしたゲノム疫学コホート事業(ながはま0次予防コホート事業)に加え、秋田県能代市(能代コホート)および岐阜県高山市(丹生川村コホート)でのゲノムコホートデータの収集・整理を進めた。
糖尿病家族歴濃厚症例の解析により、GWASでの解析に比べ、小規模の検体数で、より効率的な疾患発症原因遺伝子の絞り込みができる可能性がある。
結論
3世代以上にわたる糖尿病家族歴濃厚家系の調査を行い、30家系、100名以上の研究参加の承諾を得、5家系での連鎖解析の結果、染色体1番に有意な連鎖を認めた。 fine-mappingを行い連鎖領域を絞り込み、候補領域中に存在する遺伝子群における解析を進行中である。

公開日・更新日

公開日
2011-11-04
更新日
-