WHO 統合国際診断面接第5版(CIDI 5.0)日本語版の開発と信頼性・妥当性の検証および活用のための体制整備に資する研究

文献情報

文献番号
202018049A
報告書区分
総括
研究課題名
WHO 統合国際診断面接第5版(CIDI 5.0)日本語版の開発と信頼性・妥当性の検証および活用のための体制整備に資する研究
課題番号
20GC1023
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
西 大輔(東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中尾 智博(九州大学大学院医学研究院 精神病態医学分野)
  • 倉田 明子(広島大学病院 精神科)
  • 小笠原 一能(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 吉内 一浩(東京大学 医学部附属病院)
  • 木村 充(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 臨床研究部)
  • 高橋 美保(東京大学 教育学研究科臨床心理学コース)
  • 吉岡 京子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 大西 弘高(東京大学 医学系研究科 医学教育国際研究センター医学教育国際協力学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHO統合国際診断面接(Composite International Diagnostic Interview, CIDI)は、WHOが開発、公表している現時点では唯一の、うつ病、不安障害などの比較的頻度の高い精神疾患の診断をつけるための情報を包括的に収集できる精神保健疫学調査用の構造化面接である。精神障害の国際的診断基準がDSM-IVからDSM-5に、ICD-10からICD-11に変更されたことに伴い、CIDIは第5版(CIDI 5.0)に改訂された。CIDI 5.0を日本でも使用できるように整備することは、わが国の精神障害の疫学研究の基盤整備として、精神障害に関するさまざまな臨床研究で共通して診断、症状評価を行う上で、またDSM-5やICD-11による精神障害の診断を国内に広く普及する上で、きわめて有用と考えられる。
 本研究は、CIDI 5.0の日本語版を開発し、その信頼性と妥当性をDSMチェックリストやICD診断との比較、および少数の精神疾患群と地域住民群との比較により検討することを目的であり、2020年度はそのための準備を行った。
研究方法
CIDI5.0の英語版を日本語に翻訳した。CIDI5.0はCIDI3.0と共通の文章が多いため逆翻訳は不要と考えられたが、翻訳業者に和訳を依頼した後、複数の研究者によって和訳を確認し必要に応じて修正を行った。
また、面接システム(PC上で各設問が表示され回答を入力するとインターネット上のサーバーに回答が保存できるもので、対面の面接にも用いられるもの)のベータ版を作成した。さらに、世界精神保健調査を統括するハーバード大学が主催する面接員トレーニング用のウェビナーを本研究チーム5名が受講した。さらに、研究計画書を策定し、主機関の倫理委員会に申請した。
令和3年2月23~24日に開催された研究班会議(以下、班会議とする。)では、CIDI5.0の開発に向けてプライマリケア医・心理師・保健師との連携の可能性について検討を行った。
(倫理面への配慮)
本研究は人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守して行われる。主機関においては研究計画の承認を受けた。共同研究機関においては倫理審査を申請中または申請準備中である。
結果と考察
CIDI5.0の日本語版が完成し、それを搭載した面接システムのベータ版も完成した。CIDI5.0の日本語版を実施できる面接者5人が養成された。5人が受講したウェビナーをもとに、日本における面接員トレーニング用の研修プログラムを開発する予定である。また、主機関の倫理委員会から研究計画の承認を得た。
班会議では、保健師は地域において精神科受診に対して当事者やその親族から極めて強い抵抗を示される場合が多々あり、CIDI5.0を地域保健の現場で活用できれば、これまでよりも円滑に当事者を早期に精神科医療につなげられる可能性があること等が共有された。

CIDI5.0の日本語版とそれを搭載した面接システムのベータ版も完成したこと、および日本において面接員が養成され面接員トレーニング用の研修プログラムを開発するめどが経ったことなどから、2021年度に実施予定の患者群調査および地域住民調査の準備は順調に進んでいると考えられる。また、患者群調査を実施予定の共同研究機関では、倫理審査を申請中または申請準備中であり、早ければ2021年6月頃から患者群調査を開始可能になると考えられる。
結論
2020年11月に採択されてから約5か月の間に、CIDI5.0英語版の日本語への翻訳、面接システムの開発、面接者の養成を行い、主機関の倫理委員会から研究計画の承認を得た。2021年度に実施予定の研究に向けた準備は順調に進んでいると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202018049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
50,000,000円
(2)補助金確定額
50,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,398,441円
人件費・謝金 344,537円
旅費 0円
その他 2,107,237円
間接経費 1,153,000円
合計 5,003,215円

備考

備考
自己資金3,215円

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-