高次脳機能障害の障害特性に応じた支援者養成研修カリキュラム及びテキストの開発のための研究

文献情報

文献番号
202018034A
報告書区分
総括
研究課題名
高次脳機能障害の障害特性に応じた支援者養成研修カリキュラム及びテキストの開発のための研究
課題番号
20GC1008
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 浦上 裕子(国立障害者リハビリテーションセンター病院 第一診療部 精神科(研究所併任))
  • 今橋 久美子(藤田 久美子)(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 脳機能系障害研究部)
  • 渡邉 修(東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)
  • 鈴木 匡子(東北大学 大学院医学系研究科高次機能障害学)
  • 上田 敬太(京都大学医学部附属病院精神科神経科)
  • 青木 美和子(札幌国際大学人文学部心理学科)
  • 廣瀬 綾奈(千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション治療局小児言語聴覚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
10,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高次脳機能障害の支援については、障害福祉制度の整備は進んだが、現場の支援者には未経験な者も多く、同障害の特性に応じた支援が十分行われているとは言えない。この課題に対応するため、申請者は平成30、令和元年度厚労科研を用いて「高次脳機能障害の障害特性に応じた障害福祉サービスにおける支援ガイドライン」を開発した。また支援の実態調査及び分析を行い、障害福祉サービス現場の支援者養成が喫緊の課題であることが明らかとなった。これらの結果に基づき、本研究は、高次脳機能障害者に対する支援者養成研修のカリキュラムおよびテキストを開発し、同障害者への適切な支援につなげることを目的とする。高次脳機能障害に対応可能な支援者を増やすことで、同障害者が住み慣れた地域で生活を営める体制整備の推進を図る。
研究方法
1)先行する各種養成研修について情報収集および分析を行う。2)1)を参考に基礎編および応用編カリキュラムを作成する。3)カリキュラムに沿って、研究代表者および研究分担者がテキストを作成する。
4)モデル研修および受講者アンケートを行い、結果に基づいてカリキュラムおよびテキストを修正する。
倫理面に配慮し、研修テキストには、個人が特定されるデータは使用しない。事例報告等を行う場合は、所属機関の倫理審査委員会の承認を得たうえで、インフォームドコンセントを徹底し、対象者及び家族の同意を得る。また、個人が特定できないように格別の注意を払う。加えてコンピューター犯罪のリスクを完全に防御されるよう最大限の努力をする。
結果と考察
1)先行する養成研修の情報収集と分析:強度行動障害、ホームヘルパー、ガイドヘルパー、障害福祉従業者等の養成研修の実施要項を集め、対象、参加要件、時間数、講義・演習内容、受講のメリット等を比較した。2)研修会基礎編および応用編カリキュラム作成:1)の比較結果に基づき、研究分担者、支援拠点機関、行政、当事者団体等との意見交換の結果、基礎編と応用編、各12時間(6時間×2日間)とした。3)基礎編テキスト作成:令和元年度開発した高次脳機能障害の障害特性に応じた障害福祉サービスにおける支援ガイドラインを研修用に改稿するとともに、診断評価、リハビリテーション、意思疎通支援、ライフステージ(小児期・成人期・高齢期)に応じた支援、演習課題を追加作成中である。編集にあたり、研究分担者および研究協力者(先進的取り組みを行っている高次脳機能障害支援拠点機関、行政、障害福祉サービス等事業所、当事者団体、関連学会)の意見を集約している。4)モデル研修および受講者アンケート:基礎編テキストを用いて福祉行政担当職員研修を行い、24人が参加した。(COVID-19感染拡大防止のため人数を制限した。)アンケート結果は、内容の理解については「理解できた」11人(46%)、「ある程度理解できた」13人(54%)、総合評価は「大変参考になった」16人(67%)、「ある程度参考になった」8人(33%)であった。自由回答として、「当事者が市の窓口や手続き、書類について望むことを知りたい。」「実践報告を聞きたい。」「窓口の担当者に求めるレベルとしては、少し詳しすぎる。」「分かりやすく、テキストに書き込みもしやすかった。」などが挙げられた。
予定通りに進捗し、基礎編および応用編カリキュラム、基礎編テキストについておおよその内容を確定した。試行したモデル研修は、COVID-19感染拡大防止のため人数を制限した。研究申請時には集合型の研修を想定していたが、状況に鑑み、オンラインでも使用可能な仕様を検討する。本研究は、神経内科学、脳神経外科学、リハビリテーション医学、神経心理学、社会福祉学等、分野横断型の取り組みであり、高次脳機能障害者・児の生活支援を多角的にとらえて補完しあい、社会への還元を目指す試みである。障害特性に応じたサービスを提供できる人材の育成は、社会的要請に基づく課題であり、その成果は障害福祉行政施策に直接寄与するものである。
結論
高次脳機能障害の障害特性に応じた支援者養成研修カリキュラム及びテキスト試案を開発し、研修会で試用した。今後は研修会での試用と修正を重ねて改善を図る。

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202018034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
8,381,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,619,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,073,972円
人件費・謝金 2,368,050円
旅費 0円
その他 789,917円
間接経費 1,150,000円
合計 8,381,939円

備考

備考
千円未満の端数を0にするために自己資金を使用したため

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-