文献情報
文献番号
202018011A
報告書区分
総括
研究課題名
計画相談支援等におけるモニタリング実施標準期間の改定に伴う効果検証についての研究
課題番号
19GC1004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
石山 麗子(国際医療福祉大学 大学院 医療福祉経営専攻)
研究分担者(所属機関)
- 田村 和宏(立命館大学 産業社会学部)
- 曽根 直樹(日本社会事業大学大学院 福祉マネジメント研究科)
- 髙木 憲司(和洋女子大学 家政学部 家政福祉学科)
- 酒井 恵美子(国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,377,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は2018(平成30)年度障害福祉サービス等報酬改定の一つである,計画相談支援等におけるモニタリング実施標準期間の改定によるモニタリング実施頻度の高まりによる効果の検証を行い,次期報酬改定の参考データとして,計画相談支援の質の向上に資するモニタリング実施頻度の提案を行うことであった.しかし,1年目の質的研究で得られた結果を踏まえ,2年目の2020(令和2)年度研究の仮説を見直し,2020年度研究の目的は,利用者や連携先が相談支援専門員に対してモニタリングを求める状況,対象を浮彫りにし,計画相談支援において,相談支援専門員が重点的に行うモニタリングについて明らかにするすることとした.
研究ごとの目的について,研究1は,2019年度の質的研究の結果をもとに作成したアンケート調査票を用いて,2018(平成30)年度報酬改定に伴うモニタリング実施頻度の影響の実態を明らかにすること,研究2は,計画相談支援において相談支援専門員が行う重点的に行うモニタリングの実施例を浮彫りにすること,研究3は,計画相談支援において相談支援専門員が実施すべきモニタリング項目を整理することである.
研究ごとの目的について,研究1は,2019年度の質的研究の結果をもとに作成したアンケート調査票を用いて,2018(平成30)年度報酬改定に伴うモニタリング実施頻度の影響の実態を明らかにすること,研究2は,計画相談支援において相談支援専門員が行う重点的に行うモニタリングの実施例を浮彫りにすること,研究3は,計画相談支援において相談支援専門員が実施すべきモニタリング項目を整理することである.
研究方法
研究1.の方法は,質問紙票による横断的研究で,全国3,330か所の計画相談支援事業所を系統抽出法にて抽出し,郵送法により,1,111カ所,相談支援専門員2,212人,利用者情報票4,927から回答を得た(回収率33.4%).調査期間は2020年4月~5月で,初めての緊急事態宣言と重複するため,期間を延長して6月3日とした.研究2.の方法は,研究1の結果,2019年度研究の質的研究の結果と,委員会の意見を踏まえ,相談支援専門員が重点的にモニタリングを行う例を作成した.研究3は.研究1,研究2,の結果と委員会の意見を踏まえ,相談支援専門員が実施すべきモニタリング項目を整理した.
結果と考察
研究1の結果(速報)は,2020年10月5日に,厚生労働省社会援護局障害福祉部へ「計画相談支援専門員等調査(速報)」として提出した.2018年,2019年に相談支援専門員が実施したモニタリング実施回数,自治体が支給決定した回数,理想だと思う回数は,いずれも有意に増回した.モニタリング実施標準期間の改定に伴う影響として「そう思う」と回答した上位項目には「本人が相談支援専門員の顔を覚えてくれた」,「親近感を持ってもらえるようになった」があり.相談支援専門員が利用者に関わった期間が1~3年が5割を占めたことから,計画相談支援の作成において礎となる,利用者の相談支援専門員の役割理解,信頼に関する機能が果たされたと考えた.また「相談支援専門員が利用者の今使っているサービスへの満足度がわかった」からは,モニタリングにおいてサービスの評価が行われている効果がわかった.相談支援専門員が行うモニタリングには,利用者が求める,連携先が求める,相談支援専門員が必要だと判断するモニタリングがあった.また,「利用者の成長が見えるようになった」など年齢別の効果も明らかになったことため,今後は年齢別のモニタリング方法を検討する際の一助となる.相談支援専門員が行うサービス等利用計画は利用者と必要な社会資源を「つなぐ」機能を,モニタリングはそれを「深める」機能を果たす.それは,サービスの質,利用者の満足度,新たな生活課題の発見,連携先との調整などであり,そのプロセスでは相談支援専門員に高い連絡調整能力が問われる.そして利用者や連携先であるサービス事業所や他法にもわたる他機関は,その連絡調整を相談支援専門員に期待している.
研究2は,研究1の結果と委員会の委員の意見から「重点的にモニタリングを行う例」を【モニタリング頻度増が必要な利用者】,【社会生活不適応】,【生活環境要因】,【家庭環境要因】,【パーソナリティの傾向】,【介護保険への意向】,【学校/保育所との連携】に分類した.研究3.実施すべきモニタリング項目は,【意思決定支援】を含めた6つの領域が示された.
これらから計画相談支援において,相談支援専門員が行うモニタリングは,利用者や連携先の求めに応じて機動的かつ柔軟に対応することがケアマネジメントの質に資することが示唆された.加えて利用者の意思に基づくサービス利用の重要性を鑑みれば,意思決定の支援に関する記録の様式や方法,ひいては面談の方法等に関するツールや教育も必要である.
研究2は,研究1の結果と委員会の委員の意見から「重点的にモニタリングを行う例」を【モニタリング頻度増が必要な利用者】,【社会生活不適応】,【生活環境要因】,【家庭環境要因】,【パーソナリティの傾向】,【介護保険への意向】,【学校/保育所との連携】に分類した.研究3.実施すべきモニタリング項目は,【意思決定支援】を含めた6つの領域が示された.
これらから計画相談支援において,相談支援専門員が行うモニタリングは,利用者や連携先の求めに応じて機動的かつ柔軟に対応することがケアマネジメントの質に資することが示唆された.加えて利用者の意思に基づくサービス利用の重要性を鑑みれば,意思決定の支援に関する記録の様式や方法,ひいては面談の方法等に関するツールや教育も必要である.
結論
計画相談支援における相談支援専門員のモニタリングには,2018(平成30)年報酬改定の標準期間と,利用者や連携先の求めに応じて重点的に行うモニタリングがあり,利用者や連携先は,それを求めている.計画相談支援におけるモニタリングの質の向上には,両方のモニタリングに対応することと,高度な連絡調整力の必要性が示唆された.
公開日・更新日
公開日
2021-09-14
更新日
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