漢方医学の証に関する分類の妥当性検討

文献情報

文献番号
200802002A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方医学の証に関する分類の妥当性検討
課題番号
H19-統計・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 賢治(慶應義塾大学 医学部漢方医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石野尚吾(日本東洋医学会会長)
  • 崎山武志(日本東洋医学会会長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
漢方医学独特の診断方法である「証」に関する分類を確立し、国内外における伝統医学統計情報の基盤を作る。
研究方法
WHO西太平洋地域事務局(WHO/WPRO)で主催の会議の席で、2007年度にWHO/WPROで作成し、WHO-FIC会議で原則関連分類にする方向で検討されている東アジア伝統医学分類(ICTM-EA)に関して今後どのように進めるのかについて検討した。東アジア伝統医学の広がりは西太平洋地域に止まらず、欧米で幅広く用いられているため、WHO本部の懸案として継続したい意向がWHO本部から為され, WHO/WPROとの調整が必要となった。海外での動向と連動する形で国内における証コードを決定する必要性があり、その作業を行う。特に平成18年度の統計情報研究(特別研究)で行った証に関する専門家アンケートの結果を受けて、コードしやすい分類を作成する必要があり、わが国の伝統医学に関する学会の連盟である。日本東洋医学サミット会議にて検討した。
結果と考察
2008年4月14日?16日にスイス・ジュネーブにてWHO-FICの諮問委員会が開催された。2007年11月のイタリア・トリエステにおけるWHO-FIC会議ではICTM EAを関連分類に入れることが原則認められたが、WHO本部の承認が得られないとのことで、正式な承認は見送られた。その背景として、上記のように既に東アジア伝統医学に関する諸問題はWHO/WPROの扱う範囲を超えていて、今後はWHO本部で扱うことが決定された。WHOの動向と呼応する形で、国内の証のコードを整備した。2008年9月23日に日本東洋医学会事務局にて日本東洋医学サミット会議(日本東洋医学会、和漢医薬学会、日本生薬学会、全日本鍼灸学会、富山大学医学部WHO伝統医学協力センター、北里大学東洋医学総合研究所WHO伝統医学協力センターの六団体)の席にて証のコードについて検討し、1陰陽2虚実3寒熱4表裏5六病位6気血水7腹診に対するコーディングルールも案として盛り込み、冊子とした。
結論
東アジア伝統医学分類(ICTM EA)のアルファ版がWHO西太平洋地域事務局を中心として、日中韓豪で作成したが、そこと連携する形で日本漢方の証コードを作成した。今後WHO本部中心にWHO/WPROが実務を担い、ICTM EAの検証作業が推進される予定であるが、わが国においても漢方の証コードの検証をし、その結果を踏まえてICTM EAに対する日本の貢献をすることが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2010-03-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-10-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200802002B
報告書区分
総合
研究課題名
漢方医学の証に関する分類の妥当性検討
課題番号
H19-統計・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 賢治(慶應義塾大学 医学部漢方医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石野尚吾(日本東洋医学会会長)
  • 崎山武志(日本東洋医学会理事)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
漢方医学独特の診断方法である「証」に関する分類を確立し、国内外における伝統医学統計情報の基盤を作る。       
研究方法
平成18年度に作成した漢方証コードを再度見直し、WHO本部、WHO西太平洋事務局などと討議しながら、わが国の事情に則した漢方証コードを作成する。
結果と考察
東アジア伝統医学分類(ICTM EA)アルファ版を決定するために2007年8月オーストラリアのブリスベンにて会議を行った。その結果を、2007年WHO-FIC年次総会で報告し、ICDの関連分類として行く方向で認められた。わが国での証の検証作業を行うためにコンピュータで入力できるプラットフォームを作成した。2008年6月24-26日に韓国ソウルでWHO/WPROの会議が開催され、ICTM EAに関してはアルファ版ができているが、各国の政府関係者、専門家に回覧し、意見を募る。検証作業についてはICDとのダブルコーディングも考えられるが、香港などでは中医師が西洋病名であるICDをコードすることが不可能であり、また西洋医学会からの反発もあり得るとのことで、ICTM EAのみのコーディングを行うこととする、の2点が決定された。
2008年4月14日~16日にスイス・ジュネーブにおけるWHO-FICの諮問委員会ならびに2008年11月8日、9日における北京でのWHO関係者との話し合い、さらに2009年3月16-18日にWHO本部(ジュネーブ)でICD担当者と伝統医学担当者が主催した会議の結果、東アジア伝統医学分類をICD-11に組み入れるかどうかの検討をWHO/WPROからWHO本部の案件とすることが決定された。WHOの動向と呼応する形で、2008年9月23日に日本東洋医学会事務局にて日本東洋医学サミット会議にて証のコードについて検討し、決定した。コーディングルールも案として盛り込み、冊子にした。
結論
東アジア伝統医学分類(ICTM EA)のアルファ版がWHO西太平洋地域事務局を中心として、日中韓豪で作成したが、そこと連携する形で日本漢方の証コードを作成した。今後WHO本部中心にWHO/WPROが実務を担い、ICTM EAの検証作業が推進される予定であるが、わが国においても漢方の証コードの検証をし、ICD11への道筋をつけていくべきと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-03-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200802002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
今後の医療情報時代を見据えて、世界の主流である西洋医学はICDという共通言語が確立しているが、伝統医学に関してはまだ、整備されていない。世界の伝統医学の中でも、日中韓で盛んである東アジア伝統医学は世界中に普及しており、その標準化が望まれている。日本の漢方医学はその一部として、WHOの標準化と歩調を合わせ、用語の整備、診断コードの整備が必要であった。本研究では、そうしたニーズに答えるべく、証コードの整備を行った。本研究の成果は統計情報のみなら研究・教育にも応用可能である。
臨床的観点からの成果
わが国では医師の7割以上が漢方薬を使用しているが、漢方の統計情報は存在しない。その理由は保険診療の中で、漢方薬の保険請求が西洋医学的病名によってなされるからである。しかし、実地の診療では、同じ西洋医学的診断でも、複数の漢方の薬を使い分けており、それがきちんと体系だって統計や、研究、教育に表れないのは問題である。本研究で、漢方独特の診断である「証」のコード化への道筋をつけたことは、漢方の臨床をより精緻なものとして表現できる基盤が整備されたものと考える。
ガイドライン等の開発
WHO西太平洋地域事務局では2005年より、日中韓を中心に国際共同プロジェクトとして整備してきて、2007年8月にα版が完成した。伝統医学疾病分類と証分類の二つから成るが、わが国では西洋医学とともに漢方医学が用いられているため、伝統医学疾病分類は混乱を招くものとして、漢方医学独特の「証」コードのみ採用し、ICDとのダブルコードとすることが望ましいと考える。現在わが国には漢方医学の統計情報が存在しないが、本研究の成果が今後の漢方の診療・研究・教育を発展させる基盤になることが望まれる。
その他行政的観点からの成果
2014年に予定されているWHOのICD10からICD11への改訂に際して、東アジア伝統医学分類が取り入れられることが検討されている。1900年に始まるICDの歴史の中で初めてのことであり、西洋医学一本であった世界保健の仕組みが大きく転換することを意味する。本研究での成果である漢方医学「証コード」備は、ICD11に反映されていくことが期待され、このことは漢方の国際化の基盤となることが期待されるのみならず、世界標準のICD11に入ることで、わが国の医療行政にも影響があるものと思われる。
その他のインパクト
「漢方の証」コードパンフレットは、時事通信に取り上げられ、全国規模で紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-23
更新日
-