文献情報
文献番号
200802001A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国の統計における死因及び傷病構造の把握精度の向上を図るための具体的な方策についての研究
課題番号
H19-統計・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山本 修三(社団法人日本病院会)
研究分担者(所属機関)
- 大井 利夫(社団法人日本病院会)
- 川合 省三(大阪南脳神経外科病院)
- 島津 邦男(埼玉精神神経センター)
- 西本 寛(国立がんセンターがん対策情報センターがん情報統計部)
- 藤原 研司(横浜労災病院)
- 三木 幸一郎(北九州市立門司病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ICD-10を用いた死因傷病統計における臨床病名把握の精度を、病名記入・病名コーディング・分類集計の各段階において向上させることを目指した。本結果は、医療機関における調査票の記入方法の改善等のミクロ的な成果のみならず、人口動態統計や患者調査等における死因・傷病構造等の統計調査の精度という統計情報の高度利用の推進に資することを目的とした。一方、WHOでは2015年のICD-11導入を目指して、日本も改訂作業に着手した。20年2月8日の社会保障審議会統計分科会傷病、傷害及び死因分類専門委員会の第5回会議ではWHOに改正への提案が提出され、今回は科学的知見に基づく日本発の提案としてICD-11に反映していくための方策に生かすことを目的とした。
研究方法
平成19・20年度の2年間は実際の病院でのその現状と課題を検証することを企画した。診療情報管理とICD-10のコーディングについて一定水準にある施設と考えた調査対象病院310施設に対して、死亡例及び退院例についてそれぞれ10症例ずつ、匿名化した形で「死亡診断書」及び「退院時要約」の提供を依頼した。その結果、133施設から回答を得た。死亡例1309件、退院例1327件を分析の対象とした。ICD専門委員会において各医学会の意見が提出され、その結果、最終的には16の提案がURCのプラットフォームに掲載され法医学4件、日本消化器病学会2件等であった。
結果と考察
前年度実施し調査研究でまとめた死亡例について分析した結果、死亡診断書に基づく原死因は新生物が668件で最も多く、次いで循環器による死亡が282件、呼吸器系によるものが158件と続いた。退院症例として分析対象となった1327件について、死亡例のときと同様に新生物が最多で、循環器系疾患、損傷・中毒、呼吸器系疾患と消化器系疾患と続いた。影響を及ぼす要因は概ね、病原体記載なし、細胞型記載なし、良性悪性記載なし、部位記載なし、部位不正確さ等に分けられた。URCでの議論と投票結果、日本から5件採用。
結論
死亡診断書の精度面から医師に対しての啓発が必要であり死亡診断書を記載するときに参照するマニュアルの更なる充実、より詳しい注意点を死亡診断書に例示する、死亡診断書の一欄の病名記載欄に仕切りを設けて詳細な記述を促す、死亡診断書の病名欄を上下逆にするなどの改革案を提案した。また診療情報管理士が関与が死亡統計精度の向上に期待できると考えられえる。ICD改定については関係者と認識を共有しつつ意見集約へと取り組みを推進していく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2010-01-15
更新日
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