文献情報
文献番号
202016011A
報告書区分
総括
研究課題名
要介護者に対する疾患別リハビリテーションから維持期・生活期リハビリテーションへの一貫したリハビリテーション手法の確立研究
課題番号
20GA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
三上 幸夫(和歌山県立医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 田島 文博(公立大学法人 和歌山県立医科大学 医学部 医学科 リハビリテーション医学)
- 久保 俊一(京都府立医科大学)
- 三上 靖夫(京都府立医科大学大学院医学研究科 リハビリテーション医学)
- 河﨑 敬(京都府立医科大学 医学部医学科)
- 幸田 剣(和歌山県立医科大学医学部リハビリテーション医学講座)
- 大川 裕行(西九州大学 リハビリテーション学部)
- 上西 啓裕(宝塚医療大学 和歌山保健医療学部)
- 篠原 博(青森県立保健大学)
- 徳本 弘子(埼玉県立大学 保健医療福祉学部看護学科)
- 下川 敏雄(和歌山県立医科大学 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療保険の疾患別リハビリテーション治療が終了した後の、介護保険の維持期・生活期リハビリテーションでは、要介護者に対するリハビリテーションの提供実態は把握されていない。また、維持期・生活期リハビリテーションに関する研究のエビデンスも整理されていない。そこで、令和 2 年度は、1. 疾患別リハビリテーション治療が終了した要介護者を対象として、郵送による実態アンケート調査を実施し、疾患別の維持期・生活期リハビリテーション提供状況の実態を把握すること、2. 維持期・生活期リハビリテーションに関する研究の文献レビューからエビデンスを整理することを目的とした。
研究方法
1. 実態アンケート調査研究
研究デザイン:アンケート調査による横断研究。対象:疾患別のリハビリテーション治療が終了し、3か月以内に介護保険の維持期・生活期リハビリテーションに移行して、全国の介護事業所(訪問リハビリテーション事業所・通所リハビリテーション事業所・老人保健施設)でリハビリテーションを受けている要支援・要介護者(および家族・担当スタッフ)。方法:研究代表機関から各研究共同機関・研究協力機関にアンケート調査用紙と切手付き回収用封筒を郵送した。研究代表者および各研究分担者・研究協力者は対象者にアンケート調査用紙への記入を依頼した。記入済みのアンケート用紙は対象者が直接、研究代表機関に郵送した。研究代表機関ではアンケートを取りまとめ、解析を行った。
2. 文献レビュー研究
文献レビューはPRISMA声明に基づいて行った。Key Wordはリハビリテーション領域に関する制度、介入法、評価法を中心に網羅的に組み込んだ。検索エンジンは医中誌web、CiNii、Pubmed、CINAHL、CENTRALとした。抽出された論文に対してタイトルと抄録からCQに適したものを抽出した(一次スクリーニング)。次いで一次スクリーニングで抽出された論文を入手し、全文からCQに適したものを抽出した(二次スクリーニング)。最終的に文献レヴューWG会議を開催し、各論文のエビデンスの確定と整理を行った。
研究デザイン:アンケート調査による横断研究。対象:疾患別のリハビリテーション治療が終了し、3か月以内に介護保険の維持期・生活期リハビリテーションに移行して、全国の介護事業所(訪問リハビリテーション事業所・通所リハビリテーション事業所・老人保健施設)でリハビリテーションを受けている要支援・要介護者(および家族・担当スタッフ)。方法:研究代表機関から各研究共同機関・研究協力機関にアンケート調査用紙と切手付き回収用封筒を郵送した。研究代表者および各研究分担者・研究協力者は対象者にアンケート調査用紙への記入を依頼した。記入済みのアンケート用紙は対象者が直接、研究代表機関に郵送した。研究代表機関ではアンケートを取りまとめ、解析を行った。
2. 文献レビュー研究
文献レビューはPRISMA声明に基づいて行った。Key Wordはリハビリテーション領域に関する制度、介入法、評価法を中心に網羅的に組み込んだ。検索エンジンは医中誌web、CiNii、Pubmed、CINAHL、CENTRALとした。抽出された論文に対してタイトルと抄録からCQに適したものを抽出した(一次スクリーニング)。次いで一次スクリーニングで抽出された論文を入手し、全文からCQに適したものを抽出した(二次スクリーニング)。最終的に文献レヴューWG会議を開催し、各論文のエビデンスの確定と整理を行った。
結果と考察
1. 実態アンケート調査研究
アンケート調査用紙は1370部配布し、合計600部(回収率:43.9%)を解析対象とした。要介護となった原因は脳血管障害・頭部外傷と運動器の疾患・外傷が大部分を占めた。リハビリテーションの頻度は医療保険で多く、介護保険では少ない傾向がみられた。医療保険の疾患別リハビリテーション治療では、可動域訓練・持久力訓練・筋力増強訓練・ADL訓練と幅広く行われていた。介護保険のリハビリテーションも医療保険の疾患別リハビリテーション治療と同様の傾向がみられた。介護事業所の種類は訪問事業所が27%、通所事業所が48%であり、介護施設は21%であった。医療機関からリハビリテーション実施計画書を入手出来たのは44%であり、入手出来なかったのは52%であった。医療保険のリハビリテーション処方について、疾患別分類では、運動器と脳血管が多い結果であったが、24%は分からないとの回答であった。医療保険のリハビリテーション診療と介護保険のリハビリテーションでの評価内容では、FIMとBarthel Indexの利用頻度が両者で逆転していた。また、医療保険リハビリテーション診療での評価項目について未記載(不明)が228部あった。
2. 文献レビュー研究
検索エンジンにて15,572論文が抽出され、899の重複論文を除外した。14,673論文に対し一次スクリーニングを実施し、13,699論文が除外された。981論文に対して二次スクリーニングを実施し、333論文(和文292論文、英文41)が選出された。研究デザインとしては、システマティックレビュー1件、無作為化比較研究17件、比較研究(non-RCT)26件、コホート研究38件、前後比較研究81件、症例対照研究29件、横断研究141件であった。この333論文中に記載されていた評価項目ではTimed Up & Go Test が最も多く、握力、MMSE、Barthel Index、FIMが上位5位を占めていた。
アンケート調査用紙は1370部配布し、合計600部(回収率:43.9%)を解析対象とした。要介護となった原因は脳血管障害・頭部外傷と運動器の疾患・外傷が大部分を占めた。リハビリテーションの頻度は医療保険で多く、介護保険では少ない傾向がみられた。医療保険の疾患別リハビリテーション治療では、可動域訓練・持久力訓練・筋力増強訓練・ADL訓練と幅広く行われていた。介護保険のリハビリテーションも医療保険の疾患別リハビリテーション治療と同様の傾向がみられた。介護事業所の種類は訪問事業所が27%、通所事業所が48%であり、介護施設は21%であった。医療機関からリハビリテーション実施計画書を入手出来たのは44%であり、入手出来なかったのは52%であった。医療保険のリハビリテーション処方について、疾患別分類では、運動器と脳血管が多い結果であったが、24%は分からないとの回答であった。医療保険のリハビリテーション診療と介護保険のリハビリテーションでの評価内容では、FIMとBarthel Indexの利用頻度が両者で逆転していた。また、医療保険リハビリテーション診療での評価項目について未記載(不明)が228部あった。
2. 文献レビュー研究
検索エンジンにて15,572論文が抽出され、899の重複論文を除外した。14,673論文に対し一次スクリーニングを実施し、13,699論文が除外された。981論文に対して二次スクリーニングを実施し、333論文(和文292論文、英文41)が選出された。研究デザインとしては、システマティックレビュー1件、無作為化比較研究17件、比較研究(non-RCT)26件、コホート研究38件、前後比較研究81件、症例対照研究29件、横断研究141件であった。この333論文中に記載されていた評価項目ではTimed Up & Go Test が最も多く、握力、MMSE、Barthel Index、FIMが上位5位を占めていた。
結論
1. 実態アンケート調査研究
実態アンケート調査から医療保険と介護保険のリハビリテーション間における連携は十分に取れていない事が明らかとなった。今後は両者間の連携を深め、一貫したリハビリテーション手法と評価法を確立する必要がある。
2. 文献レビュー研究
エビデンスでは認知機能・運動機能(転倒)・生活機能に着目するものが多く、疾患概念に乏しい結果であり、測定評価は行っているものの、各マネジメントの科学的な効果検証まで行っているものは少ない結果であった。今後は医療との連携に十分配慮し、科学的根拠をもってマネジメントを行う必要がある。
実態アンケート調査から医療保険と介護保険のリハビリテーション間における連携は十分に取れていない事が明らかとなった。今後は両者間の連携を深め、一貫したリハビリテーション手法と評価法を確立する必要がある。
2. 文献レビュー研究
エビデンスでは認知機能・運動機能(転倒)・生活機能に着目するものが多く、疾患概念に乏しい結果であり、測定評価は行っているものの、各マネジメントの科学的な効果検証まで行っているものは少ない結果であった。今後は医療との連携に十分配慮し、科学的根拠をもってマネジメントを行う必要がある。
公開日・更新日
公開日
2021-07-14
更新日
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