行政と住民ネットワークの連携による孤立予防戦略の検証

文献情報

文献番号
200801042A
報告書区分
総括
研究課題名
行政と住民ネットワークの連携による孤立予防戦略の検証
課題番号
H20-政策・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 佳典(東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 陽二(日本大学法学部)
  • 角野 文彦(滋賀県健康福祉部健康推進課)
  • 星 旦二(首都大学東京 大学院・都市環境科学研究科)
  • 福島 富士子(国立保健医療科学院・公衆衛生看護学部)
  • 小林 江里香(東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所)
  • 深谷 太郎(東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、首都圏のベットタウンを対象に、1)追跡研究により、地域で孤立している高齢者の実態把握、孤立に至る要因、予後を解明すること、2)介入研究により,地域で展開される社会活動が、副次的に日常の見守り・安否確認につながるかどうかを検証すること、3)啓発に向けた研究により、孤立予防策を他地域へ普及啓発する際の要件を明らかにすることである。
研究方法
1)追跡研究
埼玉県和光市において65歳以上の在宅高齢者2,528名を対象にベースライン調査を行った(回収率=70.1%)。
2)介入研究
川崎市多摩区においてネットワーク化された介護予防体操のプログラムを展開している高齢者集団を介入地区と対照地区の2つに区分し、調査を行い262票の有効回答を得た。その後、一般参加者の孤立予防を目的とする介入プログラムを考案した。
3)普及啓発に向けた研究
A.多摩市において研究分担者が既に収集した大規模追跡研究データを再分析した。
B.須坂市の20歳以上の住民1500人を対象として調査を行い、601票の有効回答(回収率=40.3%)を得た。
結果と考察
1)追跡研究
独居者の26.0%、同居者の28.7%が操作的定義(同居家族以外との交流が週1回未満)に基づくと社会的孤立に該当した。孤立者では、将来への不安や抑うつ傾向が高く、独居の孤立者は緊急時の備えも不十分であった。
2)介入研究
上記、体操プログラムを運営するボランティアは一般参加者に比べて、健康度が高かった。ボランティアと孤立予防策を協議し、ボランティア自身の心がけをまとめた「体操ボランティア秘伝書」を作成した。この秘伝書を活用し、声かけ・仲間づくりへの行動・意識の変容を促す予定である。
3) 普及啓発に向けた研究
A.社会活動性が低いことが、6年後の総死亡と3年後の要介護状態を予測することが示され、孤立予防活動を支援する住民・ボランティアへの啓発に際して、社会活動を支援することの互酬的意義を明らかにした。
B.住民活動が伝統的に活発な地域の調査から、ソーシャル・キャピタル指標を地域診断に用いることの妥当性を示した。
結論
孤立者は将来への不安など心理的問題を抱えている割合が高かった。孤立化の予防策として、既存の社会活動の継続・参入が期待されるが、現状では不十分であることがわかった。活動の主催者・支援者への啓発策を提示することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
-