人口動態変動および構造変化の見通しとその推計手法に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200801037A
報告書区分
総括
研究課題名
人口動態変動および構造変化の見通しとその推計手法に関する総合的研究
課題番号
H20-政策・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
金子 隆一(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 寿(東京大学大学院 数理科学研究科)
  • 佐々井 司(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部)
  • 岩澤 美帆(国立社会保障・人口問題研究所 情報調査分析部)
  • 守泉 理恵(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,149,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国はすでに恒常的人口減少過程に入り、また高齢化も世界の先頭を切って進んでいる。今後に見込まれる人口動態ならびに人口構造の歴史的変動は、わが国の社会経済基盤を根底から揺るがすものと考えられ、社会保障制度、社会経済体制はこれに対処する改革が急務となっている。本研究では将来人口推計手法の先端的技術と周辺科学の知見・技術を総合し、社会経済との連関を考慮しつつ、わが国の人口動態・構造変動のメカニズムの解明、モデル化、推計の精密化を図ることが目的である。
研究方法
本年度の研究では、人口動向に関するデータ収集・モニタリング体制確立に向けての経常的作業のほか、人口動態変動および構造変化に関する数理理論研究、モデル開発・応用研究、時系列ならびに地域別の出生率の実態分析・要因分析研究、見通し策定に関する方法論的研究、基礎データの精度改善の各種テーマによって、本事業の研究領域をカバーし、それらを構造化人口動態モデル、ならびに将来人口推計手法を軸とした方法論によって連携させながら研究を行った。
結果と考察
こうしたライフコースを軸とした各種分析の結果は以下の通り。状態別再生産数の地域・全国間の定量的関係の理論的解析では、多地域安定人口における地域再生産数の臨界水準が導出された。死亡年齢パターン変化の国際比較分析では、わが国の特異な高年齢方向シフトパターンが解明された。コーホート出生パターンの分析では、1960年生まれ世代を境に意図的・実質的低下の開始が見いだされた。地域別の出生変化パターンの「第二の人口転換」仮説の視点からの要因分析からは、’06年以降のわが国の出生率反転の様相がイタリア等と異なることがわかった。出生意欲と行動の関係の定式化(PAF法)に基づく推計試算とその可能性の分析では、予定・希望子ども数が3割前後過大であること、80年以降生まれ世代で反転上昇傾向が見られることなどがわかった。さらには人口統計の比較の結果では、戸籍簿による本籍人口が常に住基台帳や国勢調査による人口を上回っていることや精密化のための基礎統計の複合的活用に向けての具体的課題把握などの成果を得た。
結論
これらの成果は、わが国の人口動態変動および構造変化のメカニズム解明に寄与し、今後の事業において、人口動態見通しの策定と推計手法の開発、さらには関連する各種施策への指針の提供等に応用され得るものである。

公開日・更新日

公開日
2009-04-21
更新日
-