5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究−ドナー評価・管理と術中管理体制の新たな体制構築に向けて−

文献情報

文献番号
202014004A
報告書区分
総括
研究課題名
5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究−ドナー評価・管理と術中管理体制の新たな体制構築に向けて−
課題番号
19FF1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
嶋津 岳士(大阪大学大学院医学系研究科 救急医学)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 裕司(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 吉矢 和久(関西医科大学)
  • 射場 治郎(大阪大学医学部附属病院)
  • 藤野 裕士(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 中村 元(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 別所 一彦(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 松本 博志(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 加藤 和人(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 横田 裕行(日本体育大学大学院 保健医療学研究科)
  • 織田 順(東京医科大学)
  • 田崎 修(長崎大学病院)
  • 中森 靖(関西医科大学)
  • 江川 裕人(東京女子医科大学)
  • 森松 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 西田 修(藤田保健衛生大学)
  • 齋藤 大蔵(防衛医科大学校防衛医学研究センター)
  • 市丸 直嗣(住友病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
7,357,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における脳死下臓器提供数は、他国に比べ極めて少ない。一般市民に対する調査では、臓器提供をしてもよいという市民の割合は約4割と欧米に比べて決して低くないことから、臓器提供に関わる医療機関の体制整備が十分ではないことが脳死下臓器提供数が少ない要因として指摘されている。これまでの厚生労働科学研究助成事業等の成果もあり、選択肢提示や法的脳死判定体制については多くの5類型施設のなかで院内整備が進み、今後これらの施設をモデルとして更に多くの施設で体制整備を進めていく基盤ができつつある。しかしながら、ドナー評価・管理体制や術中管理体制、家族のサポート体制などについては、メディカルコンサルタント(MC)のサポート、重症患者の家族への継続的な支援体制の整備をはじめとして、課題が多い。これらの課題に対処するために、本研究では、5類型施設が自立して、質の高いドナー評価・管理を行うための体制整備を行い、そのためのマニュアル(詳細版)および手順書(ベッドサイドで利用できる簡易版)を作成して、さらに質の高い臓器提供体制の構築を目指す。
研究方法
初年度に引き続き、各関連学会との調整を行い、①ドナー評価・管理マニュアル作成班(日本移植学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会)、②摘出手術術中マニュアル作成班(日本麻酔科学会)、③重症救急患者家族サポート体制班(5類型施設、日本組織移植学会、JOT)、④マニュアル検証班(5類型施設、日本組織移植学会、医の倫理、法医学)、の4分担班を編成し担当する検討を実施した。①から③班については、前年度に行った5類型施設ならびに全国のメディカルコンサルタント(MC)医師へのアンケート調査の結果や内外の文献資料等を参考として、担当する項目についてのマニュアルならびに手順書(案)を作成した。①、②班が担当するマニュアル等については、担当学会の委員会および理事会での承認を得て完成版(第1版)とする。③については、家族サポートの特殊性を考慮して、「マニュアル」とはせずに、「重症患者家族サポートの考え方」としてとりまとめる。④班は完成したマニュアルと手順書についての検証を行うとともに倫理委員会での審査に向けての準備を開始する。
結果と考察
初年度に作成したマニュアルは、関係者によるフィードバックならびに各理事会での承認を経て、現在マニュアル(第1版)の最終段階にある。この臓器提供におけるドナー評価・管理、臓器提供手術術中管理、家族サポート体制に関するマニュアル、手順書は、できる限り多くの5類型施設において使用が可能なものを目指すという当初の研究目的に合致するものとなった。このマニュアルは、研究参加施設(大阪大学医学部附属病院、長崎大学病院、関西医科大学総合医療センター、大阪急性期総合医療センターの予定)で倫理委員会を通し、実際に使用して検証を行う予定であったが、COVID-19感染症拡大の影響もあり作業が遅延している。今後、上記施設以外の5類型施設についても作成したマニュアルを配布しアンケート調査を行うとともに、完成したマニュアルを使用して臓器提供を行った症例数が10例を超えた時点で、問題点・課題を抽出する。問題・課題抽出の方法としては、参加したスタッフに対するアンケートと実際の臓器提供数、臓器の状態の評価、提供できなかった臓器の評価により行う予定である。 
結論
当初の研究目的に合致する、臓器提供におけるドナー評価・管理、臓器提供手術術中管理、家族サポートに関するマニュアルと手順書(第1版)が作成された。今後、実症例での検証ならびに関係者からのフィードバックによる改定を行ったうえで、全国の5類型施設が使用しやすい形(ハンドブックなどの教科書、教育用ビデオ)にして、その普及を目指す。また、マニュアル、手順書は、多様な施設で使用できるようにするため、施設の規模別、協力体制別にいくつかのバージョンを作成していき、より多くの施設が自立して臓器提供の過程を行えるような形を目指す。マニュアルの内容を踏まえて、さらに質の高い臓器提供体制の構築を目指す提言としたい。 

公開日・更新日

公開日
2021-07-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-07-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202014004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,564,000円
(2)補助金確定額
3,372,000円
差引額 [(1)-(2)]
6,192,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 994,212円
人件費・謝金 0円
旅費 39,140円
その他 132,641円
間接経費 2,207,000円
合計 3,372,993円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-12-01
更新日
-