少子化社会における保育環境のあり方に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200801017A
報告書区分
総括
研究課題名
少子化社会における保育環境のあり方に関する総合的研究
課題番号
H19-政策・一般-017
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
民秋 言(白梅学園大学 子ども学部子ども学科)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 重稀(仁愛女子短期大学)
  • 高野 陽(東洋英和女学院大学)
  • 吉岡 眞知子(東大阪大学こども学部)
  • 成田 朋子(名古屋柳城短期大学)
  • 河野 利津子(比治山大学短期大学部)
  • 清水 益治(神戸女子大学)
  • 千葉 武夫(聖和大学短期大学部)
  • 森 俊之(仁愛大学)
  • 川喜田 昌代(玉城保育専門学校)
  • 鈴木 岩雄(名古屋芸術大学)
  • 水上 彰子(富山福祉短期大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,173,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保育環境に関する我が国の基準の中では、児童福祉施設最低基準が、最も法的拘束力をもつ。しかし、今日の保育ニーズの多様化は、この基準の検討を必要としてきている。そこで本研究では、我が国の認可保育所における保育環境の実態を明らかにした上で、そのあるべき姿を提言することを目的とした。2年次に当たる今年度は、人的環境、中でも保育士の数に焦点を当て、文献研究、実態調査及び比較調査を行った。
研究方法
1.諸外国にみる様々な人的配置の基準をOECD(2006)やUNICEF (2008)に基づいて調べ、検討した。2.児童福祉施設最低基準制定の変遷とこれに対する日本における研究動向を調べた。3.保育士の業務に関する実地・観察調査を行った。4.人的環境に関する全国質問紙調査(対象は全国にある認可保育所の10分の1)を行った。
結果と考察
1.保育者と子ども比率および1グループあたりの最大子ども数については、基準を設けていない国、州や地方ごとに統一基準を設定している国、推奨基準を設定している国がみられた。2.保育所の人的配置については、昭和23年に制定された「児童福祉施設最低基準」によって初めて法令上の位置付けがなされた。その後、経済成長とともに基準の改善がなされたが、平成10年以降、改善はない。3.保育士の業務は、多岐にわたっており、それらが同時進行的に複雑に生じてきていた。4.保育士の数は、子どもと保育士の行動に大きな影響を与えると保育士は判断した。また保育がもつ条件よって、保育士の数が子どもや保育士の行動に与える影響は一様でなかった。さらに必要な人的配置の基準は業務によって異なることが示唆された。これらの結果は、次の5つの意義に関連づけて議論された。1.人的配置基準を検討する最初のステップ、2.業務内容のプロセス評価の足がかり、3.業務内容に応じた養成・研修カリキュラムの構築、4.保育士のあらゆる業務に対するマニュアル作り、5.保育士の業務遂行にかかるチェックリスト作り。
結論
6つの提言が導かれた。1.人的配置基準は当面、現行の基準のとおりとする、2.現行の人的配置のもとで、改定保育所保育指針に基づく業務内容を分析する、3.業務内容のプロセス評価の基準を検討する、4.保育士のあらゆる業務内容をマニュアル化する、5.保育士の業務遂行にかかるチェックリストを作成する、6.業務内容に応じた養成・研修のカリキュラムを構築する。

公開日・更新日

公開日
2009-05-19
更新日
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