文献情報
文献番号
202011077A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性腎障害に関する調査研究
課題番号
20FC1045
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
成田 一衛(国立大学法人新潟大学 大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
研究分担者(所属機関)
- 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
- 和田 隆志(国立大学法人 金沢大学 事務局)
- 丸山 彰一(名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学)
- 旭 浩一(岩手医科大学 医学部)
- 清水 章(日本医科大学医学部 病理学 (解析人体病理学))
- 安藤 昌彦(名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部データセンター)
- 杉山 斉(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 廣村 桂樹(群馬大学大学院医学系研究科内科学講座腎臓・リウマチ内科学)
- 木村 友則(医薬基盤・健康・栄養研究所 難治性疾患研究開発支援センター)
- 鈴木 祐介(順天堂大学 腎臓内科)
- 横尾 隆(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系臨床医学域腎臓内科学)
- 坪井 直毅(藤田医科大学 医学部)
- 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 中川 直樹(旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野)
- 武藤 智(順天堂大学 医学部)
- 望月 俊雄(東京女子医科大学 医学部 多発性嚢胞腎病態研究部門)
- 服部 元史(東京女子医科大学腎臓小児科)
- 岩野 正之(福井大学医学部)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部 腎臓内科)
- 古市 賢吾(金沢医科大学 腎臓内科学)
- 鈴木 仁(順天堂大学医学部大学院医学研究科腎臓内科学)
- 臼井 丈一(筑波大学医学医療系)
- 和田 健彦(東海大学医学部)
- 西尾 妙織(北海道大学 北海道大学病院 内科Ⅱ)
- 金子 佳賢(新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎研究センター 腎・膠原病内科学分野)
- 忰田 亮平(新潟大学医歯学総合病院 腎・膠原病内科)
- 大塚 忠司(新潟大学医歯学総合病院 腎・膠原病内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
27,690,000円
研究者交替、所属機関変更
【所属期間変更情報】
1.研究分担者:安藤 昌彦
所属機関名:京都大学(環境安全保健機構健康科学センター ( 平成14年9月1日~平成23年12月31日)→所属機関名:名古屋大学医学部附属病院(平成24年1月1日以降)へ異動。
2.研究分担者:旭 浩一
所属機関名:福島県立医科大学 医学部 ( 平成18年10月1日~30年8月31日) → 所属機関名:岩手医科大学 医学部(平成30年9月1日以降)
3.研究分担者:坪井 直毅
所属機関名:名古屋大学医学部附属病院 (平成21年5月1日~平成28年6月30日) →名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座 腎臓内科(平成28年7月1日~平成30年8月31日)
→ 藤田医科大学 医学部 腎臓内科学(平成30年9月1日以降)
4.研究分担者:武藤 智
所属機関名:帝京大学 医学部( 平成15年7月1日~29年3月31日) → 所属機関名:順天堂大学 医学部(平成29年4月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
研究事業は難治性腎障害に関する調査研究を行い、医療水準の向上と良質かつ適切な診療提供体制の構築に貢献することを目的とする。本事業の主な対象となる7つの腎領域指定難病 (IgA腎症、多発性嚢胞腎、急速進行性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、一次性ネフローゼ症候群、一次性膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎)、および腎疾患の小児・成人移行医療については、より有効な周知と普及、腎予後・生命予後の改善,QOLの向上に繋がる効果的な運用が必要である。そのために、日本腎臓学会、日本小児腎臓病学会等の関連学会、ならびに各疾患患者会などとの緊密な連携の下、普及・啓発をすすめる。
また、日本腎臓学会との連携で構築運営されている腎疾患登録システム (J-RBR(日本腎生検レジストリー)/J-KDR(日本腎臓病レジストリー))、J-RBRと連携した腎病理バーチャルスライドシステム、電子カルテから直接データを抽出するJ-CKD-DB(日本慢性腎臓病データベース)など大規模データベースが構築されているが、これらをさらに有効活用する取り組みが求められる。指定難病臨床調査個人票データを活用した研究である「深層学習を応用した難治性腎疾患の階層化に関する研究」にも着手している。疾患頻度や重症度の調査、既存レジストリーとの比較、人工知能を活用したクラスター解析を実施する。本研究事業では、これらを通してエビデンスの蓄積、治療指針の検証、改訂を行うことも目的とする。
また、日本腎臓学会との連携で構築運営されている腎疾患登録システム (J-RBR(日本腎生検レジストリー)/J-KDR(日本腎臓病レジストリー))、J-RBRと連携した腎病理バーチャルスライドシステム、電子カルテから直接データを抽出するJ-CKD-DB(日本慢性腎臓病データベース)など大規模データベースが構築されているが、これらをさらに有効活用する取り組みが求められる。指定難病臨床調査個人票データを活用した研究である「深層学習を応用した難治性腎疾患の階層化に関する研究」にも着手している。疾患頻度や重症度の調査、既存レジストリーとの比較、人工知能を活用したクラスター解析を実施する。本研究事業では、これらを通してエビデンスの蓄積、治療指針の検証、改訂を行うことも目的とする。
研究方法
研究組織は、「研究代表者」が統括する「疾患登録・調査研究分科会」と「診療ガイドライン分科会」の2つの分科会、「研究管理推進委員会」「事務局」を合わせて研究班全体を統括する「研究運営委員会」で構成する。研究推進委員会は、「指定難病における重症度の見直しを行い、疾患間での重症度分類の整合性をはかる。医療提供体制における問題点についても全体を総括しながら、検討する。「疾患登録・調査研究分科会」では各WGにおいて各疾患の診療実態と予後を検討し、2次研究を行う。「診療ガイドライン分科会」はダイジェスト版とスマートフォン対応エッセンス版を作成する。
結果と考察
研究管理推進委員会の成果から、腎臓病領域の指定難病における疾患群間の診断基準や重症度分類の整合性や公平性を担保につながることが期待される。
腎臓病総合レジストリー(腎生検例J-RBR/非腎生検例J-KDR)は、改訂が行われ、新システムでの登録は、問題なく積み上がっている。今後も登録症例数を増加させ、我が国における腎疾患の実態をより正確に表していくと考えられる。J-RBRのデータが連結した腎生検病理組織のバーチャルスライドシステムは、500症例の登録に達した。日本腎臓学会のワーキンググループのもとで、今後の研究への活用が模索されている。
各ワーキンググループは、指定難病上記7疾患を対象とし、これら疾患の診断基準・重症度分類・治療指針の検証を行っている。治療法未確立の腎障害に対する普及・啓発、診療体制の整備に貢献するに資する充実した研究成果を挙げている。
中でも、重点4疾患は、診療ガイドライン2020年度版が作成公表されている。今後、ダイジェスト版を作成し、ホームページへの公開と英訳を予定している。さらに、現場の医師が簡便に情報を得られるように、スマートホンで閲覧できるような形態とすることを検討している。今後、広く周知され、専門医および専門医不在の地域における非専門医による難治性腎疾患の診療をサポートすることが期待される。
また、日本小児腎臓病学会との連携により、小児期、15歳未満に腎代替療法を開始した症例の長期的なアウトカムを調査し、医学的な面とともに社会的、心理的、精神的な実態調査を行う。
「深層学習を応用した難治性腎疾患の階層化に関する研究」では、厚生労働省より臨床調査個人票のデータ提供を受け、研究に着手している。病態の多様性、異質性を正しく理解し、適切な治療法を選択、あるいは開発することにつなげていくことが期待される。
腎臓病総合レジストリー(腎生検例J-RBR/非腎生検例J-KDR)は、改訂が行われ、新システムでの登録は、問題なく積み上がっている。今後も登録症例数を増加させ、我が国における腎疾患の実態をより正確に表していくと考えられる。J-RBRのデータが連結した腎生検病理組織のバーチャルスライドシステムは、500症例の登録に達した。日本腎臓学会のワーキンググループのもとで、今後の研究への活用が模索されている。
各ワーキンググループは、指定難病上記7疾患を対象とし、これら疾患の診断基準・重症度分類・治療指針の検証を行っている。治療法未確立の腎障害に対する普及・啓発、診療体制の整備に貢献するに資する充実した研究成果を挙げている。
中でも、重点4疾患は、診療ガイドライン2020年度版が作成公表されている。今後、ダイジェスト版を作成し、ホームページへの公開と英訳を予定している。さらに、現場の医師が簡便に情報を得られるように、スマートホンで閲覧できるような形態とすることを検討している。今後、広く周知され、専門医および専門医不在の地域における非専門医による難治性腎疾患の診療をサポートすることが期待される。
また、日本小児腎臓病学会との連携により、小児期、15歳未満に腎代替療法を開始した症例の長期的なアウトカムを調査し、医学的な面とともに社会的、心理的、精神的な実態調査を行う。
「深層学習を応用した難治性腎疾患の階層化に関する研究」では、厚生労働省より臨床調査個人票のデータ提供を受け、研究に着手している。病態の多様性、異質性を正しく理解し、適切な治療法を選択、あるいは開発することにつなげていくことが期待される。
結論
本研究全体として、滞りなく成果が上がっている。今後、AMEDとの連携、指定難病 7疾患の判定・重症度分類の検証、申請書様式の見直し、申請書のデータベース化と2次利用、申請を促す普及活動、診療体制の整備とバーチャルスライドの症例登録の充実、2020年度版ガイドラインの普及を着実に履行していく。
成果として腎臓疾患の発症・増悪の抑制、腎代替療法を要する患者数の抑制に結びつく医療水準の向上が期待される。
成果として腎臓疾患の発症・増悪の抑制、腎代替療法を要する患者数の抑制に結びつく医療水準の向上が期待される。
公開日・更新日
公開日
2021-07-01
更新日
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