介護者の確保育成策に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200801011A
報告書区分
総括
研究課題名
介護者の確保育成策に関する国際比較研究
課題番号
H19-政策・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松本 勝明(一橋大学 経済研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 笹谷 春美(北海道教育大学 教育学部)
  • 宮崎 理枝(大月市立大月短期大学 経済科)
  • 森川 美絵(国立保健医療科学院 福祉サービス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,644,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
介護者の確保育成策の国際的な動向・状況について、「介護供給の類型に応じた体系的な国際比較」、「利用者視点に立脚した介護の質の確保」、「介護者の労働環境と生活ニーズとのマッチング」、という視点から分析し、日本の政策形成に有用な情報・示唆を得ることを目的とする。
研究方法
20年度においては、横断比較の観点から特に重要と考えられる点に焦点を絞って、個別施策・先進事例について、より詳細な調査・情報収集を行った。以上の結果をもとに横断比較を行い、「介護供給における公私バランス」、「家族介護者の支援」、「介護従事者の確保」及び「介護専門職の養成」について考察・整理するとともに、日本への示唆を取りまとめた。
結果と考察
各事例国は、福祉国家レジーム論においてそれぞれ異なる類型に属する国とされており、介護供給における公的部門、市場部門及びインフォーマル部門のバランスに関しても、この4カ国にはそれぞれの類型に関連する特徴を見出すことができた。
家族介護者に関して特に注目されるのは、ドイツ、イタリア、アメリカだけでなく、公的責任による介護サービスの普遍的な保障を理念とするフィンランドにおいても、家族介護者を支援するための公的施策が講じられていることである。また、各国での具体的な施策としては、現金給付だけでなく、代替介護の確保、年金給付での配慮、相談・助言、講習など様々な施策が実施されている。
いずれの国においても、増大する介護ニーズに対応して必要な介護従事者を確保するための公的な施策が実施されている。ただし、具体的な施策の内容には、各国の介護供給の違いに応じた差異がみられる。特に注目される施策としては、労働条件改善のために介護従事者の給与水準に関する基準を定めるなどの公的関与や、中高年失業者や転職者などから介護従事者を確保するための再教育・資格取得の支援などが挙げられる。
介護専門職の養成に関して、事例国では、介護専門職に求められる専門性の範囲の拡大などに対応した養成教育の見直し、並びに広範なケアに対応できる新たな資格制度の導入及び介護職と看護職の共通基礎教育の試行が行われている。後者は、就労機会の拡大、介護従事者の確保にも効果を持つものである。
結論
介護を行う家族の負担を軽減し、家族介護を支援するための方策、介護従事者の労働条件の改善、中高年失業者・転職者から介護従事者を確保するための方策、専門性の拡大などに対応した専門職養成教育のあり方などに関して、日本への重要な示唆を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200801011B
報告書区分
総合
研究課題名
介護者の確保育成策に関する国際比較研究
課題番号
H19-政策・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松本 勝明(一橋大学 経済研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 笹谷 春美 (北海道教育大学 教育学部)
  • 宮崎 理枝 (大月市立大月短期大学 経済科)
  • 森川 美絵 (国立保健医療科学院 福祉サービス )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
介護者の確保育成策の国際的な動向・状況について、「介護供給の類型に応じた体系的な国際比較」、「利用者視点に立脚した介護の質の確保」、「介護者の労働環境と生活ニーズとのマッチング」、という視点から分析し、日本の政策形成に有用な情報・示唆を得ることを目的とする。
研究方法
介護類型及び事例国を設定し、共通調査項目に沿って、各国における介護の確保に関する公私関係、家族介護者の支援策、介護従事者の確保育成策などを把握するとともに、特に重要な個別施策・先進事例の詳細な調査を行った。以上の結果をもとに横断比較を行い、「介護供給における公私バランス」、「家族介護者の支援」、「介護従事者の確保」及び「介護専門職の養成」について考察・整理するとともに、日本への示唆を取りまとめた
結果と考察
各事例国は、福祉国家レジーム論においてそれぞれ異なる類型に属する国とされており、介護供給における公的部門、市場部門及びインフォーマル部門のバランスに関しても、この4カ国にはそれぞれの類型に関連する特徴を見出すことができた。
家族介護者に関して特に注目されるのは、ドイツ、イタリア、アメリカだけでなく、公的責任による介護サービスの普遍的な保障を理念とするフィンランドにおいても、家族介護者を支援するための公的施策が講じられていることである。また、各国での具体的な施策としては、現金給付だけでなく、代替介護の確保、年金給付での配慮、相談・助言、講習など様々な施策が実施されている。
いずれの国においても、増大する介護ニーズに対応して必要な介護従事者を確保するための公的な施策が実施されている。ただし、具体的な施策の内容には、各国の介護供給の違いに応じた差異がみられる。特に注目される施策としては、労働条件改善のために介護従事者の給与水準に関する基準を定めるなどの公的関与や、中高年失業者や転職者などから介護従事者を確保するための再教育・資格取得の支援などが挙げられる。
介護専門職の養成に関して、事例国では、介護専門職に求められる専門性の範囲の拡大などに対応した養成教育の見直し、並びに広範なケアに対応できる新たな資格制度の導入及び介護職と看護職の共通基礎教育の試行が行われている。後者は、就労機会の拡大、介護従事者の確保にも効果を持つものである。
結論
介護を行う家族の負担を軽減し、家族介護を支援するための方策、介護従事者の労働条件の改善、中高年失業者・転職者から介護従事者を確保するための方策、専門性の拡大などに対応した専門職養成教育のあり方などに関して、日本への重要な示唆を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200801011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究を通じて、事例国(フィンランド、ドイツ、イタリア及びアメリカ)における介護者の確保育成策に関する現状、施策の動向などに関する情報が得られた。また、介護を行う家族の負担を軽減し、家族介護を支援するための方策、介護従事者の労働条件の改善、中高年失業者・転職者から介護従事者を確保するための方策、専門性の拡大などに対応した専門職養成教育のあり方などに関して、日本への重要な示唆を得ることができた。
臨床的観点からの成果
本研究を通じて、日本における検討の基礎資料となる事例国の介護者確保策に関する情報、並びに検討に当たっての重要な論点や問題解決のための選択肢の提示に役立つ重要な示唆が得られた。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
求めに応じ、行政関係者に対して研究成果に関する説明を行った。
その他のインパクト
平成20年10月に開催された社会政策学会の秋季大会で、テーマ別分科会として、介護者の確保育成策に関する国際比較についての報告を行い、本研究成果を、専門家をはじめとする参加者に広く提供したほか、学会・シンポジウムなどの機会を通じて、成果の普及に努めている。また、求めに応じ、報道関係者及び介護従事者団体に対して研究成果に関する説明を行った。

発表件数

原著論文(和文)
11件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
松本 勝明
ドイツにおける介護者の確保育成策
一橋大学経済研究所世代間問題機構ディスカッション・ペーパー ,  (372)  (2008)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-