びまん性肺疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
202011065A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性肺疾患に関する調査研究
課題番号
20FC1033
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
須田 隆文(国立大学法人浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 千葉 弘文(札幌医科大学 医学部)
  • 今野 哲(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
  • 海老名 雅仁(東北医科薬科大学 医学部)
  • 坂東 政司(自治医科大学 内科学講座 呼吸器内科学部門)
  • 本間 栄(東邦大学 医療センター大森病院 医学部)
  • 慶長 直人(公益財団法人 結核予防会 結核研究所 生体防御部)
  • 針谷 正祥(東京女子医科大学 医学部)
  • 岸 一馬(東邦大学 医学部)
  • 宮崎 泰成(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 小倉 高志(神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科)
  • 吾妻 安良太(日本医科大学 医学部)
  • 西岡 安彦(徳島大学 医学部)
  • 近藤 康博(公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科)
  • 伊達 洋至(一般社団法人日本外科学会)
  • 井上 義一(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター, 臨床研究センター)
  • 寺崎 文生(大阪医科大学 医学部)
  • 上甲 剛(独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院 )
  • 服部 登(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院)
  • 岸 一馬(東邦大学 医学部)
  • 福岡 順也(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
16,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定難病である特発性間質性肺炎 (IIP),サルコイドーシス,肺胞蛋白症 (PAP),閉塞性細気管支炎 (BO) および類縁希少疾患(若年性・遺伝性間質性肺炎,肺胞微石症,肺骨化症など)を含むびまん性肺疾患 (ILD) を対象に,診断基準,重症度分類,診療ガイドラインの策定・改訂,全国レジストリを活用した多分野による診療体制の構築,関連学会や患者会と連携した普及・啓発活動の推進などを目的として調査研究を実施する.そしてその結果を,難病患者の実態把握、診断・治療の標準化,難病患者のQOL向上につなげることを目的とする.
研究方法
本研究では,①IIP分科会,②サルコイドーシス分科会,③難治性気道疾患分科会,④希少びまん性肺疾患分科会の4つの分科会に分けて研究を行った.また,各分科会は,それぞれ,12,2,2,3の部会から組織され,一部連携して研究を実施した.さらに,レジストリ研究については,AMED研究,医師主導研究であるPROMISE研究と連携して実施した.
結果と考察
① IIP分科会:
「特発性間質性肺炎―診療と治療の手引き[第3版]」の改訂をほぼ終了し,「特発性肺線維症(IPF)の治療ガイドライン[初版]」の改訂作業を開始した.また, IIP診断基準の改定案を策定した.現状の指定難病の重症度分類の妥当性を検証し,さらにより有用な重症度分類を提案し,重症度分類の改訂案を策定した.クライオ生検を施行されたびまん性肺疾患症例の全国調査を行った.さらに,びまん性肺疾患の病理診断を補助するAI診断システムの開発に成功した.IPF/UIPのCT診断基準の改訂試案を作成し,さらに周辺疾患である慢性(線維性)過敏性肺炎のCT診断基準の作成も行った.「間質性肺炎合併肺癌に関するステートメント[第1版]」の改訂作業を開始した.また,肺癌術後の間質性肺炎急性増悪の全国疫学調査を実施し,頻度,危険因子などを明らかにした.全国から間質性肺炎の急性増悪症例を収集し,予後因子を同定し,予後予測モデルを開発した.また,COVID-19パンデミック下における間質性肺炎の急性増悪の頻度や予後の変化について,全国アンケート調査を実施した.AMED研究班などと共同で,新たな前向きレジストリPROMISE/IBiS研究を開始した.PPFEの全国レジストリの構築を予定し,本年度はその予備調査を行った.IPFの急性増悪に対するPMX療法について,先進医療B研究の結果から有用性が確認され,適応拡大を申請した.間質性肺炎患者を対象に「新型コロナウィルス感染症に関する対応について」を執筆し,日本呼吸器学会ホームページに掲載した.全国の専門医を対象として,「間質性肺炎患者の緩和ケアに関するアンケート調査」ならびに「特発性肺線維症(IPF)患者の呼吸困難に対するケアと終末期意思決定に関するアンケート調査」を実施した.

② サルコイドーシス分科会:
厚労省に臨床個人調査票の利用申請を行い,すでに承認が得られた.関連学会と連携し,「サルコイドーシス・診療の手引き」の改訂作業を開始した.サルコイドーシス友の会と連携して,会報にサルコイドーシスに関する情報を掲載し,啓蒙活動を行なった.指定難病の診断基準の改訂案を作成し,厚労省に申請した.さらに,心臓サルコイドーシスの全国レジストリ(JACS)に参加した.

③ 難治性気道疾患分科会:
「難治性びまん性肺疾患診療の手引き」の英訳版をRespir Investigに発表した. 原発性線毛機能不全症(PCD)では,米国との共同研究を行い,PCDの新たな遺伝子異常を合計41遺伝子において見出し,また,効率的な診断体系を確立した.

④ 希少びまん性肺疾患分科会:
PAPの診療ガイドラインの改訂作業を開始し,現在,CQの作成を終了した.臨床個人調査票を用いた疫学調査に関しては,厚労省に臨床個人調査票の利用申請を行い,すでに承認が得られた.中央肺移植適応検討委員会への脳死肺移植申請の審査報告書から、若年性間質性肺炎の疫学調査を実施し,臨床的な特徴を明らかにした.特発性肺骨化症の全国調査の結果を解析した.
結論
4つの分科会,ならびにそれぞれに含まれる計20の部会は,このコロナ渦にもかかわらず,研究分担者,研究協力者の尽力で,大凡順調に研究をすすめることができた.とくにレジストリ研究は,AMED研究や医師主導研究と連携して効率的に症例登録が進んでおり,今後の結果の解析が待たれる.また,今回,新たに部会として設けた緩和治療部会では,日本呼吸器学会と共同で間質性肺炎の緩和医療に関する全国調査を実施し,大きなアンメットニーズである間質性肺炎の終末期緩和医療の問題を明らかにできることが期待されている.

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2022-03-31

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011065Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
21,600,000円
(2)補助金確定額
21,595,000円
差引額 [(1)-(2)]
5,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,184,118円
人件費・謝金 1,810,696円
旅費 37,330円
その他 5,579,481円
間接経費 4,984,000円
合計 21,595,625円

備考

備考
自己資金625円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2022-01-21