文献情報
文献番号
202011044A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
20FC1012
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
岳野 光洋(日本医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 広畑 俊成(帝京大学医学部)
- 中村 晃一郎(埼玉医科大学皮膚科)
- 後藤 浩(東京医科大学 医学部 眼科学講座)
- 田中 良哉(産業医科大学 医学部 第1内科学講座)
- 黒沢 美智子(順天堂大学医学部)
- 菊地 弘敏(帝京大学 医学部 内科学講座)
- 水木 信久(横浜市立大学 大学院医学研究科 視覚器病態学)
- 永渕 裕子(聖マリアンナ医科大学 内科学(リウマチ・膠原病・アレルギー内科))
- 井上 詠(慶應義塾大学医学部)
- 山口 賢一(聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center)
- 久松 理一(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部消化器内科学)
- 土橋 浩章(香川大学 医学部 内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科)
- 蕪城 俊克(自治医科大学附属さいたま医療センター 眼科)
- 南場 研一(北海道大学大学病院)
- 桐野 洋平(横浜市立大学 医学部)
- 石ヶ坪 良明(横浜市立大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では昨年度完成した「ベーチェット病診療ガイドライン2020」の普及させ、AMED研究と連携し、難病プラットフォームを基盤にした全国規模のベーチェット病(BD)のレジストリを構築し、これまでの臨床的課題に取り組むことで、国内のBD診療レベルの向上を目指す。また、これらの研究成果および関心事の高いCOVID19感染症に関する情報を研究班ホームページ、オンラインでの患者交流会などを通じて、国民に提供する。
研究方法
1. BD診療ガイドライン2020の普及:講演会、学術集会での発表、各病変分科会(眼病変、皮膚粘膜病変、神経病変、血管病変、腸管病変)で英文化を進める。
2. 全国規模のレジストリの構築:令和2年度に採択されたAMED研究「BDの病態解明および治療法開発を目的とした全国レジストリの構築」(研究代表者 水木信久)と連携し、難病プラットフォームを基盤にしたBD患者レジストリを構築する。
3. 疾患活動性、重症度評価の確立:各病変別分科会(眼病変、皮膚粘膜病変、神経病変、血管病変、腸管病変)別に治療指針の決定に役立つ疾患活動性指標、指定難病の認定に関わる重症度評価について検討する。
4. 患者への情報提供・交流研究班ホームページ、インターネットを利用したインターネット診療相談、オンライン患者交流会により患者と双方向性の情報交換を行った。
5. このほか、研究分担者は自施設患者などを対象に独自の研究を行った。
2. 全国規模のレジストリの構築:令和2年度に採択されたAMED研究「BDの病態解明および治療法開発を目的とした全国レジストリの構築」(研究代表者 水木信久)と連携し、難病プラットフォームを基盤にしたBD患者レジストリを構築する。
3. 疾患活動性、重症度評価の確立:各病変別分科会(眼病変、皮膚粘膜病変、神経病変、血管病変、腸管病変)別に治療指針の決定に役立つ疾患活動性指標、指定難病の認定に関わる重症度評価について検討する。
4. 患者への情報提供・交流研究班ホームページ、インターネットを利用したインターネット診療相談、オンライン患者交流会により患者と双方向性の情報交換を行った。
5. このほか、研究分担者は自施設患者などを対象に独自の研究を行った。
結果と考察
1. B病診療ガイドライン2020の普及:今年度はCOVID19感染症蔓延のため、国内外の講演会、学術集会などがほとんど中止となる中、皮膚粘膜病変、神経病変、腸管病変の各分科会よりガイドラインを英文化し、報告した。また、ガイドラインの運用上問題となる保険適応外治療薬の中で多くの症状に用いられるコルヒチンについて販売元の高田製薬とともに公知申請の準備を進めている。
2. 全国規模のレジストリの構築
AMED研究と連携し、難病プラットフォームを基盤にしたBD患者レジストリの構築の準備を進め、令和3年4月に中央倫理審査も承認され、来年度より本格指導が見込まれる。先行研究として「臨床所見に基づくベーチェット病の亜群分類およびゲノムワイド亜型解析によるエビデンス創出と全国的レジストリ構築」(研究代表者:横浜市大 桐野洋平)の多施設共同研究により、国際的な疾患活動性指標であるBehçet’s disease current activity form (BDCAF)の検証を行った。
3. 疾患活動性、重症度評価の確立
1)全般的指標:BDCAFについて横浜市大を中心とした約300例のコホートで検証し、多くの患者に口腔潰瘍、関節痛が残存していることがわかった。
2) 眼病変:先に開発したBehҫet’s Disease Ocular Attack Score (BOS24)の半年間の累計値による眼活動性スコア(BOS24-6M)を眼病変活動性指標として定めた。
3) 皮膚粘膜症状:皮膚粘膜症状はBDCAFの主要構成要素で、全般的指標で解析された。
4) 腸管病変;韓国のグループが立案したDisease activity index for intestinal Behçet‘s disease(DAIBD)、OMERACTのClinical GI ActivityとEndoscopic GI Activityを検討し、消化管症状と内視鏡所見を主体にした基準の策定が必要と考えられた。
5) 血管病変:血管炎症候群の疾患活動性評価法であるBirmingham Vasculitis Activity Score (BVAS)、Vasculitis damage index (VDI)などが一部適応可能であると思われた。
6) 神経病変:レジストリの評価項目に、①神経型以外の脳MRI情報、②HLA-DRB1*0901の有無、③血清IL-6、④NIH imagerによるMRI上pons面積定量を追加した。
4. COVID-19 感染症の情報:国内発症1例を含めたCOVID-19 感染症合併B病患者報告例につき解析し、B病患者は感染罹患リスク、重症化リスクが高くないこと、感染がB病増悪につながらないことなどの情報をまとめ、今後、ワクチンの病状への影響について検討予定である。
2. 全国規模のレジストリの構築
AMED研究と連携し、難病プラットフォームを基盤にしたBD患者レジストリの構築の準備を進め、令和3年4月に中央倫理審査も承認され、来年度より本格指導が見込まれる。先行研究として「臨床所見に基づくベーチェット病の亜群分類およびゲノムワイド亜型解析によるエビデンス創出と全国的レジストリ構築」(研究代表者:横浜市大 桐野洋平)の多施設共同研究により、国際的な疾患活動性指標であるBehçet’s disease current activity form (BDCAF)の検証を行った。
3. 疾患活動性、重症度評価の確立
1)全般的指標:BDCAFについて横浜市大を中心とした約300例のコホートで検証し、多くの患者に口腔潰瘍、関節痛が残存していることがわかった。
2) 眼病変:先に開発したBehҫet’s Disease Ocular Attack Score (BOS24)の半年間の累計値による眼活動性スコア(BOS24-6M)を眼病変活動性指標として定めた。
3) 皮膚粘膜症状:皮膚粘膜症状はBDCAFの主要構成要素で、全般的指標で解析された。
4) 腸管病変;韓国のグループが立案したDisease activity index for intestinal Behçet‘s disease(DAIBD)、OMERACTのClinical GI ActivityとEndoscopic GI Activityを検討し、消化管症状と内視鏡所見を主体にした基準の策定が必要と考えられた。
5) 血管病変:血管炎症候群の疾患活動性評価法であるBirmingham Vasculitis Activity Score (BVAS)、Vasculitis damage index (VDI)などが一部適応可能であると思われた。
6) 神経病変:レジストリの評価項目に、①神経型以外の脳MRI情報、②HLA-DRB1*0901の有無、③血清IL-6、④NIH imagerによるMRI上pons面積定量を追加した。
4. COVID-19 感染症の情報:国内発症1例を含めたCOVID-19 感染症合併B病患者報告例につき解析し、B病患者は感染罹患リスク、重症化リスクが高くないこと、感染がB病増悪につながらないことなどの情報をまとめ、今後、ワクチンの病状への影響について検討予定である。
結論
「B病診療ガイドライン2020」の普及を進めつつ、次のステップとして、AMED研究と連携した難病プラットフォームを基盤にしたB病患者レジストリの構築を目指し、エビデンスの欠如、疾患活動性、重症度評価などの課題に取り組んでいる。
研究成果やCOVID-19関連情報をホームページやオンライン交流会を通じて、患者を含む国民に還元していく。
研究成果やCOVID-19関連情報をホームページやオンライン交流会を通じて、患者を含む国民に還元していく。
公開日・更新日
公開日
2021-07-01
更新日
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