グローバル社会に対応した健康危機サーベイランスシステム:情報分析・グレーディング手法の開発と評価

文献情報

文献番号
200738025A
報告書区分
総括
研究課題名
グローバル社会に対応した健康危機サーベイランスシステム:情報分析・グレーディング手法の開発と評価
課題番号
H19-健危-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
今井 博久(国立保健医療科学院 疫学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 元(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 近藤 久禎(日本医科大学 救急医学)
  • 福田 吉治(国立保健医療科学院 疫学部)
  • 星 佳芳(国立保健医療科学院 研究情報センター)
  • 中尾 裕之(国立保健医療科学院 疫学部)
  • 八幡 裕一郎(国立保健医療科学院 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
NBC(核、生物、化学)に代表される多様な健康危機の発生の可能性が高まり、それらを早期に察知し、迅速に対応するシステムの構築が必要とされている。2007年6月に発効された改正国際保健規則(IHR2005)により、特定の感染症のみならず、「国際的に公衆衛生上脅威となりうるおそれのある事象(国際的な健康危機事象)」について報告する必要がある。しかしながら、IHR2005は「国際的な健康危機事象」について「健康被害の重み付け(グレーディング)」や「報告方法」などについての具体的な方法論については示されておらず、加盟国の判断による状況である。従って、我が国において「国際的な健康危機事象」に関してどのようにして「グレーディング」をするかが急務な課題である。本研究は地域で発生した健康危機事象についてグレーディングの検討を目的とした。
研究方法
本研究はサーベイランスシステムの構築はグレーディングの設定のために過去に報告された健康危機に関する事例を収集し、分野ごとにグレーディングを検討した。グレーディングの対象とした分野は「原因不明健康危機」、「感染症」、「医薬品医療機器等安全」、「医療安全」、「災害有事・重大健康危機」、「食品安全」、「飲料水安全」、「生活環境安全」の8分野とした。グレーディングにあたり、過去事例を収集し、分野ごとに報告より「脅威」、「深刻さ」、「量的広がり」に基づいて検討を行った。
結果と考察
8分野全てで共通する項目は健康危機情報の入り口が「原因不明健康危機」であった。「原因不明健康危機」を除く個々の分野では起因病原体あるいは起因物質等の毒性により「脅威」、「深刻さ」及び「量的広がり」がグレーディングと関連していた。しかしながら、集積性の点から鑑みると、「流通」や「入手方法」の違いにより「脅威」レベル、「深刻さ」のレベル及び「量的広がり」のレベルが異なることが分かった。
IHR発効により国際的な健康危機情報の迅速な報告及び対策が重要である。本研究では国際的な健康危機の第一報によりグレーディングを行った。地域における健康危機では早期対策を行うことが重要でり、健康危機の迅速な対策は健康危機の広がりを最低限に食い止める事がにつながる。本研究で検討したグレーディングの活用が期待できる。
結論
本研究は起因病原体あるいは起因物質の検出前にグレーディングする事で、起因病原体あるいは起因物質検出まで対策を待たずに行えるために、健康危機の最低限の広がりに食い止めることが可能になると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
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