小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の発展に資する研究

文献情報

文献番号
202011015A
報告書区分
総括
研究課題名
小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の発展に資する研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-017
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
檜垣 高史(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究開発監理部 生命倫理研究室)
  • 三平 元(千葉大学大学院医学研究院附属法医学教育研究センター)
  • 石田 也寸志(愛媛県立中央病院 小児医療センター)
  • 高田 秀実(愛媛大学 医学部)
  • 落合 亮太(公立大学法人横浜市立大学 学術院 医学群 医学研究科 看護学専攻)
  • 滝川 国芳(京都女子大学 発達教育学部)
  • 及川 郁子(東京家政大学)
  • 樫木 暢子(愛媛大学大学院教育学研究科)
  • 三沢 あき子(京都府立医科大学 小児科学教室)
  • 新家 一輝(名古屋大学大学院 医学系研究科総合保健学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,309,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年1月より、都道府県、指定都市、中核市、児童相談所設置市(以下「実施主体」という)は、幼少期から慢性的な疾病に罹患していることにより、自立に困難を伴う小児慢性特定疾病児童等(以下「小慢児童」という)について、地域支援の充実により自立促進を図るため、小児慢性特定疾病児童等自立支援員(以下「自立支援員」という)を配置する等して小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(以下「自立支援事業」という)を実施している。
自立支援事業の実施内容は、実施主体間で差異があることが指摘されており、保育所・幼稚園の就園、就学・学習支援など教育に関連すること、きょうだい、就労に関連すること、等の支援ニーズが高いことが明らかにされた。
自立支援事業の発展を目的として、収集したすべての情報をあわせて編集し、医療-福祉-教育-就労との機能的連携・情報共有が円滑にできるように、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業取組資料集(小慢自立支援事業実施手引き)やガイドブックなどの自立支援員研修教材(以下「教材」という)を完成させる。

研究方法
1:自立支援事業実施手引き・自立支援員研修教材作成
2:自立支援事業の先進事例・好事例等に関する情報収集・分析
3:保健所における相談支援の実態調査
4:自立支援事業全国実施状況調査・分析、
5:移行期医療支援事業との連携に関する情報収集・分析および患者団体における「生活アンケート」調査の監修
6:小慢児童の保育所・幼稚園就園実態調査及び就園支援に関する情報収集・分析
7:小慢児童の就学・学習支援に関する情報収集・分析
8:小慢児童の就職支援、就労支援に関する情報収集・分析
9:小慢児童のきょうだい支援に関する情報収集・分析
結果と考察
研究1:架空事例のモデル対応の検討をもとに「自立支援員による相談対応モデル集」(以下「対応モデル集」)を作成した。この対応モデル集をもとに、「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業取組資料集」などの、自立支援員研修教材を編集した。
研究2:好事例アンケートを行い、先進事例・好事例等について情報収集・分析し、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業取組資料集のなかにまとめた。
研究3:全国保健所(469箇所)対象のアンケート調査とヒアリング調査を含めた2次調査を分析し、「保健所における小児慢性特定疾病児童等相談支援等好事例集2020」を作成した。すべての実施主体に配布し、全国において支援体制が広がることが期待される。
研究4:自立支援事業全国実施状況調査により平成27年度からの経年推移を捉え、慢性疾病を有する子どものQOLおよび社会支援等に関する全国調査における関連項目の結果もあわせて分析し、現状と課題としてまとめた。過去5 年間の取組状況の変化等も示した。
研究5:成長に合せた自立支援を計画的に提供しつつ、移行期医療支援と連携できるように情報収集・分析した。
研究6:保育所に質問紙調査とヒアリング調査を実施し、就園のための情報共有シートを作成した。自立支援員等による入園支援を促進するための「慢性疾患児の自立支援のための就園に向けたガイドブック」を作成し、保育所・幼稚園に配布し、普及、広報を行った。
研究7:公的施策の「学習支援」に焦点化し、自立支援事業との連携の実態を、情報収集・分析した。コーディネーターの役割についても情報収集・分析した。就学時における「病気の子どもの情報共有シート」を作成した。
研究8:小慢患者の雇用に特化した企業側の雇用に関する意識調査研究を行い公表した。この結果を受けて、「デルファイ法」により、自立支援事業に関わる様々な立場の者を対象として就労に向けて検討していくべき項目を取捨選択し、「就労時に主に患者が整理しておくべき情報共有シート」を作成した。
研究9:きょうだい支援団体の慢性疾病のある児童及び障害をもつ児童のきょうだい支援活動取組事例(令和元年度)と、全国の小児医療機関を対象とした「病気をかかえる子どものきょうだい児支援 実態調査」について分析し、さらに令和2年度には、6医療機関より取組事例について情報収取を行い「小慢児童のきょうだい児支援取組事例集」を編集した
結論
本研究において収集した支援内容に関する情報を集約して作成された資料集などを公表することで、全国の自立支援員は、より多くの患者や家族に対して、医療と福祉と教育と就労の機能的融合を視野に入れた、尚一層質の高い相談支援を行うことが可能となり、自立支援事業の均てん化および自立支援事業の尚一層の発展が期待できる。本資料集を実際の支援や自立支援員の研修などで用いるなどして、小慢自立支援員その他の関係者からの助言をもとにアップデートを行い、自立支援事業の発展に資するため、今後の課題を明らかにして提案していくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202011015B
報告書区分
総合
研究課題名
小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の発展に資する研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-017
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
檜垣 高史(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究開発監理部 生命倫理研究室)
  • 三平 元(千葉大学大学院医学研究院附属法医学教育研究センター)
  • 石田 也寸志(公益財団法人聖ルカ・ライフサイエンス研究所 臨床疫学センター)
  • 高田 秀実(愛媛大学 医学部)
  • 落合 亮太(公立大学法人横浜市立大学 学術院 医学群 医学研究科 看護学専攻)
  • 滝川 国芳(京都女子大学 発達教育学部)
  • 及川 郁子(東京家政大学)
  • 樫木 暢子(愛媛大学大学院教育学研究科)
  • 三沢 あき子(京都府立医科大学 小児科学教室)
  • 新家 一輝(名古屋大学大学院 医学系研究科総合保健学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年1月より、都道府県、指定都市、中核市、児童相談所設置市(以下「実施主体」)は、幼少期から慢性的な疾病に罹患していることにより、自立に困難を伴う小児慢性特定疾病児童等(以下「小慢児童」)について、地域支援の充実により自立促進を図るため、小児慢性特定疾病児童等自立支援員(以下「自立支援員」)を配置する等して小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(以下「自立支援事業」)を実施している。
自立支援事業の積極的な実施及び内容の充実を図るとともに、地域間格差が生じないようにするために、先行研究により示されたニーズに基づき、自立支援事業の先進的事例・好事例の収集、保健所の役割、保育所・幼稚園への就園、就学・学習支援、就労支援、きょうだい支援、移行期医療支援事業との連携などに関する実態調査・分析を行った。それらの情報をもとに、医療-福祉-教育-就労との機能的連携・情報共有を円滑にできるようにすること目的としたガイドブックや自立支援事業実施の手引きなどの小慢自立支援員研修教材を作成するために、平成30年度~令和2年度にかけて以下の研究を計画・施行した。
研究方法
1:自立支援事業実施手引き・自立支援員研修教材作成
2:自立支援事業の先進事例・好事例等に関する情報収集・分析
3:保健所における相談支援の実態調査
4:自立支援事業全国実施状況調査・分析、
5:移行期医療支援事業との連携に関する情報収集・分析
6:小慢児童の保育所・幼稚園就園実態調査及び就園支援に関する情報収集・分析
7:小慢児童の就学・学習支援に関する情報収集・分析
8:小慢児童の就職支援、就労支援に関する情報収集・分析
9:小慢児童のきょうだい支援に関する情報収集・分析
結果と考察
研究1:自立支援事業実施手引きの作成にむけて、自立支援員の実際の相談概要を収集し架空事例のモデル対応の検討をもとに「自立支援員による相談対応モデル集」(以下「対応モデル集」)を作成した。この対応モデル集をもとに、「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業取組資料集」などの、自立支援員研修教材を編集した。
研究2:先行研究(平成28-29年度)の「好事例集」をうけて、任意事業の実施状況についてアンケートを行い、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業取組資料集のなかで、自立支援事業の先進事例・好事例等に関する情報を分析してまとめた。
研究3:全国保健所(469箇所)対象のアンケート調査とヒヤリング調査を含めた2次調査を分析し、「保健所における小児慢性特定疾病児童等相談支援等好事例集2020」を作成した。すべての自立支援事業実施主体に配布し、全国において支援体制が広がることが期待される。
研究4:自立支援事業全国実施状況調査により平成27年度からの経年推移を捉え、小児慢性特定疾病対策における自立支援事業に関する現状と課題としてまとめた。
研究5:成長に合せた自立支援を計画的に提供しつつ、移行期医療支援と連携できるように情報収集し分析した。
研究6:保育所に質問紙調査とヒヤリング調査を実施し、就園のための情報共有シートを作成した。
自立支援員等による入園支援を促進するための「慢性疾患児の自立支援のための就園に向けたガイドブック」を作成し、保育所・幼稚園に配布した。
研究7:教育に関する公的施策と自立支援事業との連携の実態を、情報収集・分析した。
就学時における、「病気の子どもの情報共有シート」を作成し研究1に反映させた。
研究8:小児慢性特定疾病を有する患者に関して、雇用可能性と合理的配慮を企業規模別に明らかにし、自立支援員の役割を検討するために、小慢児童の雇用に特化した企業側の雇用に関する意識調査研究を行い公表した。就労に向けて検討していくべき項目の重要性を「デルファイ法」により取捨選択し、「就労時に主に患者が整理しておくべき情報共有シート」を作成した。
研究9:きょうだい支援団体の慢性疾病のある児童及び障害をもつ児童のきょうだい支援活動取組事例(令和元年度)をまとめた。きょうだい支援の内容としては、「相談支援」「啓発活動」「語り合いの場づくり」「レクリエーション」が上位に挙がった。全国の小児医療機関を対象とした「病気をかかえる子どものきょうだい児支援 実態調査」について分析し「小慢児童のきょうだい児支援取組事例集」を編集し公表した。
結論
本研究において収集した支援内容に関する情報を集約して作成された資料集などを公表することで、自立支援事業の均てん化が可能となり、自立支援事業の尚一層の発展が期待できる。本資料集を実際の支援や自立支援員の研修などで用いるなどして、自立支援員その他の関係者からの助言をもとにアップデートを行い、自立支援事業の発展に資するため、今後の課題を明らかにして提案していくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202011015C

収支報告書

文献番号
202011015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,800,000円
(2)補助金確定額
10,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,101,412円
人件費・謝金 1,195,038円
旅費 0円
その他 6,012,690円
間接経費 2,491,000円
合計 10,800,140円

備考

備考
自己資金 140円

公開日・更新日

公開日
2021-12-07
更新日
-