文献情報
文献番号
200738020A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の実態解明及び具体的対応方策に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岸 玲子(北海道大学大学院医学研究科 予防医学講座公衆衛生分野)
研究分担者(所属機関)
- 柴田 英治(愛知医科大学医学部衛生学講座)
- 長谷川 友紀(東邦大学医学部医療政策・経営科学)
- 河合 俊夫(中央労働災害防止協会大阪労働衛生総合センター)
- 瀧川 智子(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科公衆衛生学)
- 圓藤 陽子(東京労災病院産業中毒センター)
- 西條 泰明(旭川医科大学医学部健康科学講座)
- 森本 兼曩(大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学)
- 吉村 健清(福岡県保健環境研究所)
- 田中 正敏(福島学院大学福祉学部福祉心理学科)
- 齋藤 育江(東京都健康安全研究センター環境保健部環境衛生研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
シックハウス症候群(SHS)は欧米で注目を集めたシックビルディング症候群と同様と考えられる。最近の知見では、化学物質のみならず真菌など生物環境なども原因と考えられるが、十分解明されていない。そこで、建築・住まい方など多様な課題について研究を進め、実態解明を行い、予防対策を明らかにすることを目的とした。
研究方法
統一プロトコルによる全国6地域(北海道、福島、名古屋、大阪、岡山、北九州)の一般住宅と居住者(524軒624名)対象の調査データを解析し、真菌・バクテリアが室内の有機物を分解して発生する微生物由来揮発性有機化合物(MVOC)とSHS症状との関連を検討した。西日本地区(北九州、岡山、大阪)では、一般住宅(57軒)の殺虫剤使用状況と室内空気中濃度の調査、および旭川市内の1小学校の児童(278人)を対象にAnderssonらが開発した児童向けのシックビルディング症候群の調査票M080を用いて調査を実施した。さらに、SHSの相談体制と実態について、全国525箇所の保健所を対象に郵送法調査を実施した。研究成果を踏まえ、SHSに関する相談窓口で使用するマニュアルを作成した。
結果と考察
全国調査データ解析の結果、MVOC8物質のうち2-ペンタノールがSHSのリスク要因として示された。西日本地区調査でクロルピリホス、フェノブカルブ、ダイアジノンの濃度が室内濃度指針値を超えた住居はなかったが、「ゴキブリ駆除剤の使用」と「ダニ駆除剤の使用」が女性でSHSのリスクを上昇させていた。小学校の児童対象の調査では、SHSの自覚症状が自宅の湿度環境悪化と有意に関連した。郵送法調査で回答があった保健所(442箇所)の81.9%にSHS相談窓口の設置があった。担当職員が住宅環境調査の技術を取得しているのは約50%であり、他機関との連携がある場合の連携先として室内環境測定技術のある機関、SHSの診断が可能な医療機関があげられた。以上の研究成果をマニュアルに反映させた。
結論
世界的にエビデンスの乏しいMVOCとSHSとの関連、日本の住居での殺虫剤汚染実態を明らかにできた。児童対象の調査では、MM080 for schoolの使用が有効であった。マニュアルは、SHSの実態解明と具体的な予防対策と支援の方法を含んでおり、多様な機関の相談窓口担当者、さらに一般の人々にとっても有用と考える。
公開日・更新日
公開日
2008-06-02
更新日
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