循環器病に関する適切な情報提供・相談支援のための方策と体制等の効果的な展開に向けた研究

文献情報

文献番号
202009051A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器病に関する適切な情報提供・相談支援のための方策と体制等の効果的な展開に向けた研究
課題番号
20FA1023
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 享(国立大学法人京都大学 医学研究科 脳神経外科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 恵宏(国立研究開発法人国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター)
  • 平田 健一(神戸大学大学院医学研究科 内科学講座循環器内科学分野)
  • 小室 一成(国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 前村 浩二(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環病態制御内科学)
  • 野出 孝一(佐賀大学 医学部)
  • 橋本 洋一郎(熊本市立熊本市民病院 神経内科)
  • 冨永 悌二(東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座神経外科学分野)
  • 藤本 茂(自治医科大学内科学講座神経内科学部門)
  • 吉田 和道(京都大学 医学部)
  • 秋山 美紀(慶應義塾大学 環境情報学部)
  • 早坂 由美子(法 由美子)(日本医療ソーシャルワーカー協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,277,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本各地のPSC(脳卒中領域)および急性期病院・高度循環器専門病院(心臓病その他の循環器病)における相談窓口とそれに該当する部署の現状と課題を明らかにし,相談窓口をどのように設置し,体制を整備し、どのように支援を行っていくかに関して,モデル構築を行なうこと.
研究方法
以下の3つのワーキンググループ(WG)に
分かれて研究を進めた. 脳卒中WG・循環器WG・患者支援WG

令和2年度の各WGの研究を以下の通り進めた.
脳卒中WG
①循環器病における医療・患者支援体制に関する海外先行論文のレビュー ②班員のいる4府県から選別したPCSを対象にしたアンケートによる実態調査
循環器WG
①国内外の循環器疾患患者における, 相談内容・情報提供内容と相談窓口, 情報ニーズの実態を明らかにするための文献レビュー 
②文献レビューの結果を参考に, 施設調査を行うための調査票作成
患者支援WG
循環器病患者が治療を経て地域生活を継続する上での困難や中長期的なニーズを把握と, 社会参加やパーソナルリカバリー(意味のある人生の再開)に影響を与える要因に関するグローバルなエビデンスを得ることを目的として, 2015 年~2020 年に出版された英文誌のシステマティックレビューを収集とそれらの検討

定期的に3WGでmeetingをremote開催し, 各WGの進捗確認と, それらを統合した本研究の方向性について議論した.
結果と考察
脳卒中WG
①最終的に206論文(英文186論文, 和文20論文)を分析した結果, 介護,リハビリテーション,心理サポートは医療者側からのアプローチも患者側からのニーズも頻度が高かった.一方で就労,訪問サービスについては情報提供が不十分であることが判明した.
②本研究班分担研究者が勤務する4府県(宮城県,栃木県,京都府,熊本県)のPSC 62施設に対してアンケート調査を行い回収率は100%であった. 既に医療連携や相談体制ができている施設もあるが,回復期・生活期(維持期)までを含めた情報共有や支援体制の充実を図ることが必要であり,非かかりつけ患者に対する行政や地域の相談窓口との連携体制構築の必要性が示唆された.

循環器WG
①最対象とする病態は, 心不全・重症心不全・補助人工心臓・心臓移植・虚血性心疾患・心筋梗塞・不整脈とし, 最終的に88論文が分析対象となった. 入院から在宅医療まで継続的な医療・護の提供には, 医療者間, 医療者・介護者間における相談支援・情報提供の実態および情報ニーズを明らかにする必要があるが, 医療者が提供している情報と患者の情報ニーズが一致していない可能性が示唆された.
②前記の文献レビュー結果により, 患者の情報ニーズを考慮した情報提供内容の検討が必要であることが判明したため, 施設調査を行うための調査票を作成した.

患者支援WG
最終的に12本のシステマティックレビュー論文を調査した. その中, 5本は患者または家族の退院後から生活 期において体験した困難やニーズに関するもの, 7本はは脳卒中生存者 の社会参加やパーソナルリカバリーをエンドポイ ントにしたシステマティックレビューであった. 退院後の困難やニーズは身体機能, 活動や参加, 環境ニーズな ど多岐にわたっていた. 社会参加やパーソナルリカバリーに寄与する要因としては, 個々に必要な情報, 用具, アクセス可能な環境や交通手段, セルフマネジメントに関する教 育, 周囲の態度や支援、運動リハビリテーション, 心理プログラム等であった.

脳卒中・循環器病患者の最終的なゴールは社会参加であることを念頭に, 相談支援においては個々人のニー ズにあった情報提供, サービスや地域資源との接続, さらにはアクセシビリティなど環境 改善も視野に入れた働きかけが重要であると考えられる.
結論
脳卒中および循環器病患者に対して, 個々の症例の病状・病期に応じたアクセスしやすい多面的サポートは, 退院後ケアの質的向上に有効であるが, 現状の体制は不十分である. 相談支援においては患者および家族のニーズに即した情報提供が重要であり, その実現に向けた脳卒中と循環器病に関する専門の包括的相談窓口の設置には,行政サポートが必要である.

公開日・更新日

公開日
2022-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009051Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,260,000円
(2)補助金確定額
4,260,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,977,793円
人件費・謝金 195,942円
旅費 43,160円
その他 65,779円
間接経費 983,000円
合計 4,265,674円

備考

備考
5674円を自己負担より支出したため

公開日・更新日

公開日
2022-05-06
更新日
-