我が国における公衆衛生学的観点からの健康診査の評価と課題

文献情報

文献番号
202009049A
報告書区分
総括
研究課題
我が国における公衆衛生学的観点からの健康診査の評価と課題
課題番号
20FA1021
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
和田 高士(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平井 都始子(奈良県立医科大学附属病院 総合画像診断センター)
  • 祖父江 友孝(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
  • 立道 昌幸(東海大学 医学部 基盤診療学系衛生学公衆衛生学)
  • 中野 匡(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 加藤 公則(新潟大学 大学院医歯学総合研究科 生活習慣病予防検査医学講座)
  • 杉森 裕樹(大東文化大学 スポーツ・健康科学部健康科学科)
  • 後藤 励(慶應義塾大学 大学院経営管理研究科)
  • 川野 伶緒(広島大学 病院広島臨床研究開発支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「我が国における公衆衛生学的観点からの健康診査の評価と課題」と題する研究において,とくに法定外健診の代表である人間ドックに照準にあてて,その評価と課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
人間ドックは,法定健診である特定健康診査,事業主健診,がん検診の検査項目を包括し,結果説明を行っている。検証を行う準備として,①諸外国のがん検診の状況確認を5つのがん検診について情報収集を行った。②人間ドックに関する実態調査を行った。また、東南アジアの職域健診については日本に準じている国もあり,東南アジアの職域健診に関する調査も合わせて実施した。
評価として,③人間ドック受診者のプロフィール,主観的健康感について人間ドック受診者と国民健康基礎調査結果と比較,④定期健康診断受診者と人間ドック受診者での有病率の差異,⑤特定保健指導受診者と人間ドック受診者でのメタボリックシンドローム該当率,治療状況の差異,⑥疾病発症予防の観点から未治療者の次回健診までの治療開始率を人間ドック受診者と一般健診受診者での差異を比較した。
課題として⑦腹部超音波検診の精度管理実態調査,精度管理のテキストとなる腹部超音波判定マニュアルの改訂作業を行った。⑧正常眼圧緑内障が7割を占める現状から,眼圧値の異常検出率を調査した。⑨画像検査所見用語,部位についての標準化作業と英訳化を行った。⑩第3者に理解しやすい人間ドック結果報告書のありかたを探った。⑪人間ドックの検査項目の中にも, 検査結果の情報が有益な医学的な判断の根拠とならないものがある。関節症状が診断に必須である関節リウマチに関するリウマトイド因子(RF)検査を,人間ドックで全例実施することでの,内科受診の機会費用を例として, 価値の低い検査費用が社会的にどの程度費用を発生しているか試算を行った。
結果と考察
①諸外国のがん検診の状況の実態調査から,わが国のがん検診を統一したガイドラインのもとに実施する体制を構築するとともに,ガイドラインの更新を迅速に行う体制を整備することが最優先課題であった。②人間ドックの精度管理は,血液検査等の精度管理体制は43.4%,画像読影では,専門医が実施しているのは60.4%であるが,二重読影をしているのは89.7%であった。がん検診の精度管理は,要精査率,がん発見率を把握しているのは66.6%,62.5%であった。東南アジアにおける職域における定期健診については,各国での事情は異なり,特に国で項目を設定して実施しているところは少なく,ほとんどが所属医師と医療機関との間にて裁量で決められていた。③主観的健康感「よい・まあよい」の比率は,人間ドック受診者(男性64.8%,女性54.8%)であり,国民生活基礎調査(男性40.1%,女性37.0%)に比べ著しく高値であった。④人間ドック受診者は、職域健診に比べて生活習慣病,CKDの有病率は低かった。⑤メタボリックシンドローム(MS)基準該当者の割合は,人間ドック受診者(12.9%)は特定保健指導受診者(15.1%)に比べて低かった。その差は年齢とともに広がりをみせた。MS基準該当者及び予備群該当者に照準をあてた薬剤使用率,非使用率の比較から,人間ドック受診者では,一般国民データと比べて薬剤が必要な人にはしっかりと服用され,内服していない者はより少ない実態が明らかとなった。⑥受診時の心房細動の治療率は一般健診に比べ人間ドックで高値であった。未治療者が1年以内に治療を開始した率は一般健診に比べ人間ドックで極めて高値であった。人間ドックでの口頭結果説明という仕組みにより疾病発表予防の観点で他の健診に比べ優位性を認めた。⑦腹部超音波検診の精度管理では,総合評価が低い施設は2016年から2019年で減少していた。高い評価施設は,複数の有資格者が在籍すること,教育や内部の精度管理が充実しやすい環境があることがうかがえられた。腹部超音波判定マニュアル(2014年版)の改訂作業を行い2021年版を作成した。⑧緑内障有病率が上昇する中年層以上では眼圧値のベースラインは想定以上に低く, 現行の眼圧検査はスクリーニング検査として機能していない事実が浮き彫りとなった。⑨画像検査所見用語,部位は50施設で7万種類が使用されていることが判明した。標準部位200種,標準所見用語556種を設定し,英訳化した。⑩人間ドック結果報告書は検査項目が多い。理解しやすくするのは指導欄と結果欄の独立表記ではなく,臓器・病態別分類を行い,それぞれにおいて判定・結果・解説・方針のセット表記が望まれた。⑪機会費用の単価の設定によって異なるが, 機会費用の額は最小の場合は約1400円, 最大であれば約5200円と試算された。
結論
法定外健診の代表である人間ドックに照準に調査し,健康診査としての評価と課題が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2022-06-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
11,915,000円
差引額 [(1)-(2)]
85,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,180,457円
人件費・謝金 576,654円
旅費 0円
その他 6,458,257円
間接経費 2,700,000円
合計 11,915,368円

備考

備考
自己資金368円

公開日・更新日

公開日
2022-05-06
更新日
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