バイオテロの曝露状況の推定、被害予測・公衆衛生的対応の効果評価のための数理モデルを利用した天然痘ワクチンの備蓄及び使用計画に関する研究

文献情報

文献番号
200737003A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテロの曝露状況の推定、被害予測・公衆衛生的対応の効果評価のための数理モデルを利用した天然痘ワクチンの備蓄及び使用計画に関する研究
課題番号
H19-テロ-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大日康史(国立感染症研究所感染症情報センター )
  • 金谷泰宏(防衛医科大学校防衛医学研究センター・特殊環境医学)
  • 内山巌雄(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻)
  • 庵原俊昭(国立病院機構三重病院小児科)
  • 一戸貞人(千葉県市原健康福祉センター)
  • 加來浩器(東北大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康危機管理・テロリズム対策システム研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
11,594,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は、数理モデルを用いた患者発生予測モデルの開発、それに基づいた行政及び医療機関での公衆衛生的対応の枠組みを検討する。
研究方法
現在存在する中で最も精密な感染症拡散モデルを用いて、天然痘が交通ハブで散布された場合の患者発生状況を予測するモデルを構築した。また、テロの発生から感染の終息までの一連の国、県及び医療機関等の対応の流れを整理し、シナリオを作成した。水痘ワクチンが定期接種化されている米国の水痘流行を調査し、同時に本邦で市販されている水痘ワクチンの有効性について検討した。
結果と考察
シミュレーションの結果、東京都が構築中の症候群サーベイランスでは、迅速については、発症者が発生する初日に探知される確率が最も高かった。また、自治体における公衆衛生対応では、種痘の手技の特殊性などの意識は欠落していたことが明らかになった。作成した教育用DVDを活用し、院内感染予防のための教育普及を効果的に行うことができた。水痘の流行阻止に集団免疫率が関与していることを示しており、米国では2007年から水痘ワクチンの2回定期接種を実施し、流行排除を目指すことになった。
結論
 バイオテロによる曝露状況の推定アルゴリズム開発のための患者発生状況予測モデル開発と症候群サーベイランスの精度評価においては、東京都の症候群サーベイランスは良好な精度を持つと判断された。天然痘対策としての水痘予防接種に関しては本邦でも水痘ワクチンを定期接種化し、2回接種にすれば水痘流行を排除することができ、天然痘診断が容易になることを示唆している。
 本年度開発したシミュレーション結果をデータにして、来年度バイオテロによる曝露状況の推定アルゴリズムを開発する。また、その自治体での活用について検討する。また、都道府県の天然痘マニュアルにおける衛生研究所の役割、特に健康危機管理における病原体診断、サーベイランスについて検討する。

公開日・更新日

公開日
2016-06-03
更新日
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