文献情報
文献番号
202009003A
報告書区分
総括
研究課題名
新旧(1980-2020年)のライフスタイルからみた国民代表集団大規模コホート研究:NIPPON DATA80/90/2010/2020
課題番号
H30-循環器等-指定-002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座 公衆衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
- 岡山 明(合同会社生活習慣病予防研究センター)
- 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
- 大久保 孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 奥田 奈賀子(人間総合科学大学 人間科学部 健康栄養学科)
- 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
- 門田 文(滋賀医科大学 医学部)
- 喜多 義邦(敦賀市立看護大学 看護学部)
- 西 信雄(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター)
- 早川 岳人(立命館大学 衣笠総合研究機構 地域健康社会学研究センター)
- 宮本 恵宏(国立研究開発法人国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター)
- 由田 克士(大阪市立大学大学院 生活科学研究科 食・健康科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
61,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
申請者らは、1980/1990/2010年国民健康栄養調査および循環器疾患基礎調査の対象集団、計約2万人のコホート研究 NIPPON DATA80/90/2010(以下ND80/90/2010)を継続してきた。国民健康栄養調査の拡大調査年である2020年に、最新のライフスタイルを反映した国民代表集団約1万人のコホート研究NIPPON DATA2020(以下ND2020)を構築し、長期追跡を開始する。ND80/90/2010/2020における過去40年のデータの横断解析・縦断解析、および、過去20年間の国民健康・栄養調査の推移解析により、国民の生活習慣病リスク要因の変化、地域格差・世代間格差の要因を明らかにし、生活習慣病予防のための最新の優先的課題を明らかにする。
研究方法
1) 国民健康・栄養調査の拡大調査年である2020年に、最新のライフスタイルを反映した国民代表集団約1万人のコホート研究ND2020を構築し、長期追跡を開始する。
2) ND2010コホート約3000人の毎年の生活習慣病発症調査を継続し、約10年間の脳卒中・心臓病・糖尿病発症リスク要因を明らかにする。
3) ND90の29年目の生死・死因の追跡を行い、ND80/90の長期追跡データから、生活習慣病の地域較差や世代間格差の要因を明らかにする。
4) ND80/90/2010における過去40年のデータの横断解析・縦断解析、および、過去20年間の国民健康・栄養調査の推移解析により、国民の生活習慣病リスク要因の変化、地域格差・世代間格差の要因を明らかにし、生活習慣病予防のための最新の優先的課題を明らかにする。
2) ND2010コホート約3000人の毎年の生活習慣病発症調査を継続し、約10年間の脳卒中・心臓病・糖尿病発症リスク要因を明らかにする。
3) ND90の29年目の生死・死因の追跡を行い、ND80/90の長期追跡データから、生活習慣病の地域較差や世代間格差の要因を明らかにする。
4) ND80/90/2010における過去40年のデータの横断解析・縦断解析、および、過去20年間の国民健康・栄養調査の推移解析により、国民の生活習慣病リスク要因の変化、地域格差・世代間格差の要因を明らかにし、生活習慣病予防のための最新の優先的課題を明らかにする。
結果と考察
ND2020の実施に向けて、調査計画を完成し、全国の都道府県や健診機関より調査実施協力の内諾を得て、全国調査実施の体制構築をした。しかし、COVID-19感染症の流行により調査を中止した。その他の研究計画は当初の計画どおり実施された。ND2010の10年目の発症追跡調査を実施した。発症報告例について医療機関問い合わせ調査とイベント判定を継続した。今年度は、COVID-19流行期の生活習慣の変化に関する設問を加えた。また、随時尿検査による塩分摂取量評価、尿中ナトリウム/カリウム比の再評価を行った。ND2010のベースラインデータを用いた横断分析では、心電図左房負荷等の左房異常所見がBNPと関連する事、飲酒日におけるエネルギー及び各種栄養素摂取量の特徴を論文公表した。
ND80研究では、ベースライン時に評価した古典的危険因子の冠動脈疾患死亡に対するリスク値が追跡期間の長短によりどのように変化するか、や、中年の収縮期単独高血圧と循環器疾患死亡の関連を論文公表した。ND90研究では、運動習慣がその後の循環器疾患死亡リスクを低減する事、カルシウム摂取がADL低下リスクを低減する事、などを報告した。また、腎機能と循環器疾患死亡に関する国際共同研究に参画し、メタアナリシス論文として公表した。過去20年間の国民健康・栄養調査の推移分析では、都道府県を2010年の平均余命別に4群に分類し、循環器疾患危険因子や栄養の推移を比較し、男性では、平均余命の長い群は、他の群と比較して、BMIやSBP血圧値、高血圧有病率が低い値で推移する傾向を認めたが、飲酒率や喫煙率の推移に差は認めなかった。栄養摂取状況については、女性で平均余命の長い群は、他の群と比較して、動物性たんぱくと飽和脂肪酸がやや低い値で推移する傾向を認めた。なお、2000年、2012年、2016年の高血圧の推移結果を活用し、日本の高血圧の推移に関する総説論文を公表した。これらの研究成果は高血圧治療ガイドライン2019でも活用され、プレスリリースなどにより、国民に広く周知、啓発に用いられるように努めた。
ND80研究では、ベースライン時に評価した古典的危険因子の冠動脈疾患死亡に対するリスク値が追跡期間の長短によりどのように変化するか、や、中年の収縮期単独高血圧と循環器疾患死亡の関連を論文公表した。ND90研究では、運動習慣がその後の循環器疾患死亡リスクを低減する事、カルシウム摂取がADL低下リスクを低減する事、などを報告した。また、腎機能と循環器疾患死亡に関する国際共同研究に参画し、メタアナリシス論文として公表した。過去20年間の国民健康・栄養調査の推移分析では、都道府県を2010年の平均余命別に4群に分類し、循環器疾患危険因子や栄養の推移を比較し、男性では、平均余命の長い群は、他の群と比較して、BMIやSBP血圧値、高血圧有病率が低い値で推移する傾向を認めたが、飲酒率や喫煙率の推移に差は認めなかった。栄養摂取状況については、女性で平均余命の長い群は、他の群と比較して、動物性たんぱくと飽和脂肪酸がやや低い値で推移する傾向を認めた。なお、2000年、2012年、2016年の高血圧の推移結果を活用し、日本の高血圧の推移に関する総説論文を公表した。これらの研究成果は高血圧治療ガイドライン2019でも活用され、プレスリリースなどにより、国民に広く周知、啓発に用いられるように努めた。
結論
ND2020の調査実施に向けて基本計画を完成し、全国の関係機関と連携して全国調査の実施体制を確立した。また、各ND80/90/2010からは、各種学会ガイドラインの作成、健康日本21推進、特定健診・特定保健指導の推進等、わが国の健康増進・生活習慣病予防対策立案への重要な提言を行う資料が得られた。今後も追跡調査、分析を続け、わが国の健康増進・生活習慣病予防対策立案のためのエビデンスの充実を図る。
公開日・更新日
公開日
2023-08-02
更新日
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