文献情報
文献番号
202009002A
報告書区分
総括
研究課題名
地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究
課題番号
H30-循環器等-一般-002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
磯部 光章(公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会 附属 榊原記念病院)
研究分担者(所属機関)
- 安斉 俊久(北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学教室)
- 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
- 江頭 正人(東京大学大学院医学系研究科)
- 木原 康樹(広島大学大学院 医系科学研究科)
- 香坂 俊(慶應義塾大学 医学部 循環器内科)
- 後藤 葉一(公立八鹿病院)
- 小室 一成(国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
- 齊藤 正和(順天堂大学 保健医療学部)
- 笹野 哲郎(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科循環制御内科学)
- 佐藤 幸人(兵庫県立尼崎総合医療センター)
- 筒井 裕之(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
- 福本 義弘(久留米大学 医学部内科学講座心臓・血管内科部門)
- 武藤 真祐(医療法人社団鉄祐会)
- 森田 啓行(東京大学医学部付属病院循環器内科)
- 山田 佐登美(学校法人川崎学園川崎医療福祉大学医療福祉部保健看護学科)
- 弓倉 整(弓倉医院)
- 弓野 大(医療法人社団ゆみの)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,130,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
心不全診療を中心とする循環器専門医と循環器診療を専門としない医師や多職種による連携推進を目的に、心不全患者の地域連携に関わる実効性のあるステートメントの作成、地域連携パス等を策定、実践ならびに検証することを目的とする。
研究方法
①かかりつけ医と多職種を対象とする心不全ガイドブック、医療・介護サービスQ&A、患者・家族・市民を対象とする教育用動画資料を作成する。
②地域連携の実態に関する研究を行う。
ⅰ)エキスパートオピニオンによるガイドラインの検証作業
日本の診療現場に合わせた適切性基準(AUC)を提示することを目的とした検証会議を開催する。
ⅱ)心不全の地域連携で目指す診療の目的(アウトカム)を設定し、診療の質指標を設定するためにRand-Delfi法によるアンケート調査により明らかにし、地域連携体制の確立を目指して、「心不全診療と連携に関する質指標」を提案する。
③成果の社会還元
ⅰ)学会発表・公開シンポジウム:
各関連学会学術集会において研究者達が研究成果を発表すると共に、かかりつけ医、多職種を対象とする公開シンポジウムをオンラインにて開催する。
ⅱ)研究成果はHPを公開して発表する。
②地域連携の実態に関する研究を行う。
ⅰ)エキスパートオピニオンによるガイドラインの検証作業
日本の診療現場に合わせた適切性基準(AUC)を提示することを目的とした検証会議を開催する。
ⅱ)心不全の地域連携で目指す診療の目的(アウトカム)を設定し、診療の質指標を設定するためにRand-Delfi法によるアンケート調査により明らかにし、地域連携体制の確立を目指して、「心不全診療と連携に関する質指標」を提案する。
③成果の社会還元
ⅰ)学会発表・公開シンポジウム:
各関連学会学術集会において研究者達が研究成果を発表すると共に、かかりつけ医、多職種を対象とする公開シンポジウムをオンラインにて開催する。
ⅱ)研究成果はHPを公開して発表する。
結果と考察
結果:
①心不全教育資材の作成
ⅰ)心不全ガイドブック:
グループ内討議、執筆、試用版の作成、CQの設定、一般かかりつけ医等からの評価、各協力学会との協議、パブリックコメントの収集などのプロセスを経て、「地域のかかりつけ医と多職種のための心不全診療ガイドブック」(資料1)を完成し、11月にHP上にて公表、冊子体も作成した。同時に動画「心不全による主な身体症状 静脈圧の推定」(資料2)、「心不全患者の運動療法」(資料3)をHPにて公開した。宣伝用のチラシ(資料4)も作成し、プレスリリースも行った(資料5)。
ⅱ)医療・介護サービスQ&A:
医療従事者向けのパンフレット「地域のかかりつけ医と多職種のための心不全における介護サービスの活用方法Q&A」(資料6)を完成させ、HPにて公開した。
HPにおいても11月から3月までの4か月あまりの間に合計14,701件のダウンロードがあり、広く一般への知識普及、啓発に役立っている(資料7)。
ⅲ)患者教育用動画資料:
患者・家族の教育を支援するためのナレーション付き動画教材「心不全と上手に付き合うには~心不全自己管理のすすめ~」第5話(資料8)、「介護サービスに関するよくある質問」(資料9)を作成し、HPを通じて一般に公開を行った
②心不全診療検証結果の論文:
ⅰ)高齢心不全のガイドラインの内容を検証した。結果はESC Heart Failure誌に掲載された(資料10)。
ⅱ)地域格差のない心不全診療の質の向上を図るため、地域連携パスに代わる「地域における心不全診療の質を評価するための指標」を作成し、Rand-Delphi法によるアンケート調査を経て(資料11~14)、その結果を論文にまとめた(投稿中)。
③成果の社会への発信
ⅰ)以下の学会でシンポジウム等を通じて発表した。
第17回日本循環器看護学会 (令和2年10月)
第24回日本心不全学会 (令和2年10月)
第85回日本循環器学会 (令和3年3月)
ⅱ)公開シンポジウム:
「かかりつけ医によるこれからの心不全診療:循環器病対策基本計画制定を受けて」
令和3年3月6日(土)
オンライン&オンデマンド配信(資料15~16)
視聴数334再生、平均視聴時間84分、ページへの総アクセス数557回。
考察:
ⅰ)教育資材について:
本研究の成果物HPを通じて多数のダウンロードがなされている、その効果については今後の評価が必要である。
ⅱ)診療連携について:
アンケートにより、現状を集約した実態が明らかにされ、地域連携で検討すべきポイントが明確になった。今後は病院循環器医師とかかりつけ医の各医師の強みや多職種との連携を生かした相互にサポートできるプログラムの提案が期待される。
①心不全教育資材の作成
ⅰ)心不全ガイドブック:
グループ内討議、執筆、試用版の作成、CQの設定、一般かかりつけ医等からの評価、各協力学会との協議、パブリックコメントの収集などのプロセスを経て、「地域のかかりつけ医と多職種のための心不全診療ガイドブック」(資料1)を完成し、11月にHP上にて公表、冊子体も作成した。同時に動画「心不全による主な身体症状 静脈圧の推定」(資料2)、「心不全患者の運動療法」(資料3)をHPにて公開した。宣伝用のチラシ(資料4)も作成し、プレスリリースも行った(資料5)。
ⅱ)医療・介護サービスQ&A:
医療従事者向けのパンフレット「地域のかかりつけ医と多職種のための心不全における介護サービスの活用方法Q&A」(資料6)を完成させ、HPにて公開した。
HPにおいても11月から3月までの4か月あまりの間に合計14,701件のダウンロードがあり、広く一般への知識普及、啓発に役立っている(資料7)。
ⅲ)患者教育用動画資料:
患者・家族の教育を支援するためのナレーション付き動画教材「心不全と上手に付き合うには~心不全自己管理のすすめ~」第5話(資料8)、「介護サービスに関するよくある質問」(資料9)を作成し、HPを通じて一般に公開を行った
②心不全診療検証結果の論文:
ⅰ)高齢心不全のガイドラインの内容を検証した。結果はESC Heart Failure誌に掲載された(資料10)。
ⅱ)地域格差のない心不全診療の質の向上を図るため、地域連携パスに代わる「地域における心不全診療の質を評価するための指標」を作成し、Rand-Delphi法によるアンケート調査を経て(資料11~14)、その結果を論文にまとめた(投稿中)。
③成果の社会への発信
ⅰ)以下の学会でシンポジウム等を通じて発表した。
第17回日本循環器看護学会 (令和2年10月)
第24回日本心不全学会 (令和2年10月)
第85回日本循環器学会 (令和3年3月)
ⅱ)公開シンポジウム:
「かかりつけ医によるこれからの心不全診療:循環器病対策基本計画制定を受けて」
令和3年3月6日(土)
オンライン&オンデマンド配信(資料15~16)
視聴数334再生、平均視聴時間84分、ページへの総アクセス数557回。
考察:
ⅰ)教育資材について:
本研究の成果物HPを通じて多数のダウンロードがなされている、その効果については今後の評価が必要である。
ⅱ)診療連携について:
アンケートにより、現状を集約した実態が明らかにされ、地域連携で検討すべきポイントが明確になった。今後は病院循環器医師とかかりつけ医の各医師の強みや多職種との連携を生かした相互にサポートできるプログラムの提案が期待される。
結論
心不全ガイドブック、患者向け各教育動画、医療サービスに関するパンフレット、病診連携パスに代わる医療の質指標の論文等を発表した。各学会学術集会や公開シンポジウムでの発表、討議を通じて本研究の成果について周知し、成果を挙げることが出来た。また、わが国における心不全の地域連携の実態と問題点が明らかとなったことで、今後の循環器病対策推進基本計画における心不全の地域連携の目指す方向性を示し、医療・介護の質向上に寄与することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2022-05-16
更新日
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