文献情報
文献番号
202008045A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に及ぼす影響に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20EA1017
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
片野田 耕太(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計・総合解析研究部)
研究分担者(所属機関)
- 祖父江 友孝(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
- 伊藤 ゆり(大阪医科大学 研究支援センター医療統計室)
- 齋藤 英子(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん統計・総合解析研究部)
- 福井 敬祐(広島大学 大学院先進理工学系研究科 数学プログラム)
- 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
- 堀 芽久美(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん統計・総合解析研究部)
- 田中 詩織(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動:
研究分担者 福井 敬祐
大阪医科大学研究支援センター医療統計室(令和2年4月1日~令和2年7月31日)
→ 広島大学大学院先進理工学系研究科(令和2年8月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
国のがん対策推進基本計画(以下、基本計画)(第1 期・第2 期)の全体目標の一つ、10 年間で「がんの年齢調整死亡率(75 歳未満)の20%減少」は達成されなかった。原因として喫煙率やがん検診受診率の目標値が達成できなかったことなどが定性的に指摘されたが、定量的な事後評価は行われていない。第3 期基本計画では全体の数値目標は設定されなかったが、国内外では事例が多数あり、国のがん対策における全体目標の事後的、将来的な意義を検証する必要がある。本研究では、がん対策の立案および評価における年齢調整死亡率および年齢調整罹患率の現状把握として、都道府県がん対策における年齢調整死亡率・罹患率の目標値、設定根拠などを文献的に調査してまとめることを目的とした。
研究方法
①都道府県がん対策推進計画の調査
47都道府県のがん対策のウェブサイトからがん対策推進計画を入手し、死亡目標、罹患目標、対象年齢などの条件、設定根拠に関する情報を抽出した。
②米国および英国の健康計画およびがん対策計画の調査
公表資料を基に、米国における健康計画Healthy People、米国各州のうち参考となる取組を実施しており公開資料の多い州のがん対策計画、英国・イングランドにおけるNHS Long Term Plan, NHS Cancer Programmeについて、計画の策定方法、計画の概要、目標の設定方法、モニタリング・フィードバックシステム、目標の評価方法、達成状況等について調査した。
③胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化のためのモデル構築を行う。
47都道府県のがん対策のウェブサイトからがん対策推進計画を入手し、死亡目標、罹患目標、対象年齢などの条件、設定根拠に関する情報を抽出した。
②米国および英国の健康計画およびがん対策計画の調査
公表資料を基に、米国における健康計画Healthy People、米国各州のうち参考となる取組を実施しており公開資料の多い州のがん対策計画、英国・イングランドにおけるNHS Long Term Plan, NHS Cancer Programmeについて、計画の策定方法、計画の概要、目標の設定方法、モニタリング・フィードバックシステム、目標の評価方法、達成状況等について調査した。
③胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化のためのモデル構築を行う。
結果と考察
①都道府県がん対策推進計画の調査
国のがん対策推進基本計画では第3期から全体目標に年齢調整死亡率が含まれなかったが、都道府県レベルでは多くの計画で継続して採用されていた。がんの一次予防、二次予防、医療の充実、いずれの分野においても最終アウトカムは罹患率と死亡率であり、がん対策全体の構成の中でその位置づけを考える必要がある。
②米国および英国の健康計画およびがん対策計画の調査
米国、英国とも、がん対策企画・立案・評価におけるガバナンスに関して、全体の委員会の下に多くのサブ委員会やWGが設定されていた。特に英国では専門家だけでなく、患者・市民参画を多様な関係者の参与があった。日本とのもう一つの大きな違いは、計画の進捗評価のためのデータベースの充実ぶりであるといえる。特に米国ではタイムリーに誰もがWeb上で視覚的に目標の達成度を確認できるWebシステムが構築されていた。日本においても専門家、患者・市民が参画できる体制を構築し、計画の策定、評価、次期計画への反映をシームレスに実施する必要がある。
③胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化のためのモデル構築を行った。
国のがん対策推進基本計画では第3期から全体目標に年齢調整死亡率が含まれなかったが、都道府県レベルでは多くの計画で継続して採用されていた。がんの一次予防、二次予防、医療の充実、いずれの分野においても最終アウトカムは罹患率と死亡率であり、がん対策全体の構成の中でその位置づけを考える必要がある。
②米国および英国の健康計画およびがん対策計画の調査
米国、英国とも、がん対策企画・立案・評価におけるガバナンスに関して、全体の委員会の下に多くのサブ委員会やWGが設定されていた。特に英国では専門家だけでなく、患者・市民参画を多様な関係者の参与があった。日本とのもう一つの大きな違いは、計画の進捗評価のためのデータベースの充実ぶりであるといえる。特に米国ではタイムリーに誰もがWeb上で視覚的に目標の達成度を確認できるWebシステムが構築されていた。日本においても専門家、患者・市民が参画できる体制を構築し、計画の策定、評価、次期計画への反映をシームレスに実施する必要がある。
③胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化のためのモデル構築を行った。
結論
がんの一次予防、二次予防、医療の充実、いずれの分野においても最終アウトカムは罹患率と死亡率であり、がん対策全体の構成の中でその位置づけを考えるとともに、計画の策定、評価、次期計画への反映をシームレスに実施する体制を構築する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2021-06-16
更新日
-