がん患者のディーセント・ワーク実現のための就労継続・職場復帰プログラムの実用化研究

文献情報

文献番号
202008041A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者のディーセント・ワーク実現のための就労継続・職場復帰プログラムの実用化研究
課題番号
20EA1013
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
土井 俊彦(国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 先端医療科)
研究分担者(所属機関)
  • 西田 俊朗(独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院)
  • 坂本 はと恵(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 サポーティブケア室)
  • 坪井 正博(国立がん研究センター 東病院呼吸器外科)
  • 立道 昌幸(東海大学医学部)
  • 堀之内 秀仁(独立行政法人国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、がん確定診断前後からの離職予防、治療開始後の仕事と治療の両立支援を目的として、先行研究で確立した「『仕事とがん治療の両立 お役立ちノート』(以下、お役立ちノート)を用いた両立支援プログラム ver1.0」(以下、両立支援プログラム)」の最適化、最良化、普及と社会実装化を目指す。
研究方法
(1)“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”(以下、お役立ちノート)を用いて行う両立支援プログラム」を用いた前向き観察研究(令和2年・3年度)
(2)“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”(お役立ちノート)および介入マニュアルの妥当性検証と改良(令和2年3年度)
(3)新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発(令和2年~4年度)
(4)両立支援プログラムの付加価値の検討(令和3年~4年度)
令和2年度は上記(1)~(3)を実施した。
結果と考察
1.「“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”を用いて行う両立支援プログラム」を用いた前向き観察研究
平成30年仕事と治療の両立支援モデル事業採択施設のうち本研究へ参加5施設における追跡調査を実施、研究参加施設に通院中の患者85名が登録、追跡調査は令和2年5月で終了した。
尚、令和2年度に新規参加予定であった施設に関しては、COVID-19感染拡大により倫理審査委員会の遅延ならびに倫理審査委員会終了後も体制的に患者登録が困難な状況が生じた。この状況を受け、研究者間の協議を重ねた結果、令和2年10月に研究全体の患者登録を終了することに決定した。
こうした状況を受け、本研究班における「“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”を用いて行う両立支援プログラム」の有用性検証については、新たに「“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”を用いて行う両立支援プログラム」の社会実装化に関する前向き観察研究」として実施することに決定した。
本研究は、下記2.の研究で構築したWEB版両立支援プログラム用いて、(1)WEB化の利点と課題の抽出を行うとともに、(2)今後実施する、WEB版両立支援プログラム改良時のコントロールデータ取得を目的として前向き観察研究を実施するものである。

2.“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”(お役立ちノート)および介入マニュアルの妥当性検証と改良
事業主および、お役立ちノートを用いた両立支援プログラムの実践経験を有する医療機関7施設へのヒアリングを実施した。主たるヒアリング項目は、(1)施設規模や地域性からみたお役立ちノートの改良点、(2)マンパワーの軽量化を目的として考えられる改良点、(3)従来のお役立ちノートの対象者である正規雇用者に加え、非正規雇用者・中小事業就労者・AYA世代・自営業者らに適応拡大した場合に必要と考えられる情報、の4点である。   
ヒアリング結果の詳細分析は現在実施中であるが、調査対象施設の90%以上から共通して確認された事項は以下の3点である。(1)既存の冊子版お役立ちノートでは、日々刻々と変化する公的制度や治療内容等に関する各種情報の情報更新が困難である、(2)患者本人、事業所、主治医、相談員等の両立支援の登場人物間での情報共有が物理的に煩雑、かつタイムラグが生じる、(3)今後補完すべき情報としては、がん治療の概略・疼痛緩和・運動・スキンケア・外見ケア・がん治療と食事・患者会・社会保障制度詳細版、である。
 また、上記ヒアリング結果を反映する形で、改良版お役立ちノート、診療情報提供書作成ツール、Q&AコンテンツのWEB化に着手した。令和3年度前半にはWEBサイト(試用版)の運用を開始する予定である。尚、就業状況・診療情報提供書作成ツールは、個人情報が保護されたクラウド環境の整備が必要不可欠となるため、令和3年度内完成を目指して整備進めている。

3.新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発
柏の葉スマートシティと意見交換を実施中である。令和2年度は医療機関と行政の就労支援事業といった既存の支援資源と柏の葉スマートシティが有する就職支援体制の実態把握に留まった。令和3年度は、各組織間の連携方法の検討を行うとともに、企業啓発・求人開拓を推進し、マッチングシェアシステムの試験運用開始を目指す予定である。
結論
令和2年度は、先行研究で提案した「仕事とがん治療の両立 お役立ちノートを用いた両立支援プログラム ver1.0」(両立支援プログラム)」の活用実績のある施設からのヒアリング結果をもとに、お役立ちノート(冊子媒体)の改良版作成ならびにWEB化構築に着手した。あわせて、WEB版両立支援プログラムを用いて実施する前向き観察研究の研究計画書を作成中である。

公開日・更新日

公開日
2021-09-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-09-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
11,630,667円
差引額 [(1)-(2)]
369,333円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 323,730円
人件費・謝金 6,557,937円
旅費 0円
その他 1,980,000円
間接経費 2,769,000円
合計 11,630,667円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-07-07
更新日
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