文献情報
文献番号
200736002A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質による子どもへの健康影響に関する研究
課題番号
H17-化学-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 恒久(東海大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 中澤 裕之(星薬科大学 薬品分析化学)
- 和泉 俊一郎(東海大学 医学部産婦人科学)
- 近藤 文雄(愛知医科大学 医学部薬理学講座)
- 堀江 正一(埼玉県衛生研究所 水・食品担当部食品衛生科学)
- 塩田 邦郎(東京大学大学院 農学生命科学研究科細胞生化学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
26,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
化学物質の胎児期を含む子供への影響を多面的に検討するため、ヒトでの実態を生体内代謝と暴露源を含めて検討すると共に、初期発生における影響をエピジェネシスのレベルで検討。
研究方法
①ヒトの暴露実態を検討するため、以下の定量法を確立し生体試料を中心に測定。1)重金属等は湿式酸分解法で前処理のICP-MS法。2)揮発性有機化合物3種は、ヘッドスペース-GC/MS法による一斉分析法の前処理法。3)フタル酸モノエステル類5種はGC/MS法による一斉分析法。4)血清・尿・母乳中の有機フッ素化合物(PFCs)の分析法は、ハウスダストに利用し暴露源を解明も。5)ニコチン・コチニンの分析法。6)ハウスダスト中のポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)及び有機塩素系物質、食品中のPBDEsは高精度微量分析法で暴露源を。7)家庭用殺虫剤のピレスロイド系農薬は代謝物のLC/MS/MS高感度分析法。
②結果を総括した生体試料の濃度範囲において、化学物質の胎盤機能と胎児発生におけるエピジェネティックな影響について、ES細胞ゲノムに及ぼす変化をRLGS 法等で解析。
②結果を総括した生体試料の濃度範囲において、化学物質の胎盤機能と胎児発生におけるエピジェネティックな影響について、ES細胞ゲノムに及ぼす変化をRLGS 法等で解析。
結果と考察
子どもが母体や生活環境を通じて種々の化学物質に暴露されていることを解明。:PFCsは、ハウスダストが室内環境で生活する子どもへの暴露指標となり、母乳を介した乳児への暴露も示唆。喫煙の暴露評価では、2002 年に比し2006 年のコチニンの妊婦検出率が低い。PBDEsの食事摂取は一日許容摂取参照値の千分の一以下で、デカBDEの暴露経路の一つにハウスダストを示唆。母子の血清・母乳中のフタル酸モノエステル類濃度を解明。胎脂中で高濃度DEHPを検出:当該試料の長期暴露解析試料としての有用性を示唆。重金属類、フタル酸エステル類、揮発性有機化合物の血中・尿中の調査で、高頻度・高濃度に検出される物質を検出し、一部子宮内膜症との関係を示唆。有機リン系農薬クロルピリホスは、尿中グルクロン酸抱合体として、0.2-0.5ng/mLレベルで検出:その他は操作ブランクレベル以下であった。従来の毒性学試験等と異なり、初期発生胚のモデルとしたES細胞においてヒト血中程度の低濃度の化学物質がエピジェネティックな影響を与え得ることを明らかにした。
結論
本研究により種々の化学物質の分析方法を確立し生体試料等の分析を行いその暴露源を一部追及。さらにエピジェネティックな影響を解明。
公開日・更新日
公開日
2008-04-11
更新日
-