パートナーシップでつくるがん統計情報の国民への還元方法に関する研究

文献情報

文献番号
202008013A
報告書区分
総括
研究課題名
パートナーシップでつくるがん統計情報の国民への還元方法に関する研究
課題番号
19EA1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 ゆり(大阪医科大学 研究支援センター医療統計室)
研究分担者(所属機関)
  • 猿木 信裕(群馬県立がんセンター)
  • 片山 佳代子(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター (臨 床研究所)がん予防・情報学部)
  • 伊藤 秀美(愛知県がんセンター  がん情報・対策研究分野)
  • 片野田 耕太(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計・総合解析研究部)
  • 松田 智大(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター 国際連携研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国がん登録が2016年に開始し、がん登録情報の活用がますます求められている。本研究ではがん情報における社会のニーズを把握し、がん登録情報を中心としたがん情報ビッグデータを各種活用し、正しくわかりやすい情報を発信することを目的とする。その際、患者・家族や臨床現場とがん統計やコミュニケーションの専門家がパートナーシップを構築し、国民へのがん情報を還元するために都道府県や医療機関のがん情報発信の支援を行う。
研究方法
①患者・家族、臨床医・相談支援員のニーズ把握
令和元年度はどのようながん情報が必要かについて、がん患者団体等に研究協力を依頼し、患者・家族のニーズ把握を行った。令和2年度は特に直接患者にと関わる臨床医・相談支援員のニーズ把握を行った。2名の臨床医に対してインタビュー調査を行い、臨床の場面で使用するためにがん統計情報をインターネットで調べたことがあるか、また情報の不足感について聞き取りを行った。
②がん登録+臨床情報データセットの作成・解析
1995-2015年診断患者の6府県の住民ベースのがん登録情報を詳細に分析し、コンテンツに掲載する生存率の算出を行った。特に、がん種ごとに治療内容の分布や年齢・進行度別生存率のトレンドを分析するとともに、最新の情報に基づく長期生存率の推計や、サバイバー生存率の算出を行った。
③わかりやすい情報コンテンツ作成
令和元年度に試作したサバイバー生存率を紹介する動画は、②で分析したサバイバー生存率の最新版の公表ともに公開を行う。②で作成している各種統計情報をWeb上で表現するインタラクティブなInfographicツールについて、各種ソフトウェアの情報収集を行った。

④地域密着型情報発信(群馬・神奈川)
群馬県
1) J-CIP群馬のWebサイトを支援する。
2) 群馬県がん診療連携協議会の承認を得て、J-CIP群馬のデータを更新する。
3) J-CIP群馬に群馬の患者会の紹介を掲載する

神奈川県
1) J-CIP神奈川のwebサイト開発と運用
J-CIP神奈川制作委員会を発足して以来、患者目線によるがん情報とは何か?など、患者らとコンテンツの整理を行いながらサイトのコンテンツをまとめている。コロナ禍を考慮し、患者らと対面で協議ができない状況であったためオンライン会議システムを利用し、情報共有に努めた。

⑤がん情報教育コンテンツ開発
がん情報のコンテンツのわかりにくさを補完するために、がん情報を見る人、作る人を対象としたがんリテラシー向上を目的とした教育コンテンツの作成を検討した。
結果と考察
令和2年度は、がん統計情報のニーズ把握として、臨床医に対する聞き取りを行った。また、相談支援に寄せられた内容の詳細分析を見える化した。さらに情報発信に用いるがん統計コンテンツの作成において、1995-2015年の住民ベースのがん登録データを用いて、がん種別、性別・年齢階級別・進行度別・治療内容別の生存率や分布の情報について整理し、公開の準備を行った。
地域密着型情報発信について、群馬県では、医療圏ごとの詳細ながん情報について、更新を行うとともに、県内の患者会の紹介情報なども追加した。愛媛県や宮城県などでも同様な展開が行われており、地域間の交流を通して発展している。神奈川県ではがん患者支援団体や行政担当者とがん疫学研究者が協働してがん情報発信サイトを運営している。また、患者会への参加やピアサポートにつながりにくい男性患者へのインタビューを通じ、アンメットメディカルニーズを探る取り組みをお行った。さらに、行政のがん対策担当者などが、がん統計を視覚化し、評価できるFunnel Plotを使った教育コンテンツの充実を図った。
結論
がん統計情報を正しくかつ分かりやすく情報発信するために、がん患者や治療・支援を行う者、行政担当者、医療従事者、研究者、一般市民などすべての関係者間で協働して、コンテンツを作成し、改善していく必要がある。それにより、正しいデータに基づいたがん対策の企画・立案・評価が実施できる。

公開日・更新日

公開日
2021-07-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,925,000円
(2)補助金確定額
2,925,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,047,406円
人件費・謝金 359,414円
旅費 58,180円
その他 785,144円
間接経費 675,000円
合計 2,925,144円

備考

備考
自己資金により144円

公開日・更新日

公開日
2021-07-07
更新日
-