質量分析、分子イメージング、リンパ組織構築等を有効活用した機能性人工タンパク質製剤の高感度な安定性評価法、抗原性試験法の確立

文献情報

文献番号
200735047A
報告書区分
総括
研究課題名
質量分析、分子イメージング、リンパ組織構築等を有効活用した機能性人工タンパク質製剤の高感度な安定性評価法、抗原性試験法の確立
課題番号
H19-医薬-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
堤 康央(独立行政法人医薬基盤研究所 基盤的研究部創薬プロテオミクスプロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 角田 慎一(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 鎌田 春彦(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 水口 裕之(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 末松 佐知子(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 吉岡 靖雄(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、生物学的あるいは化学的アプローチにて、疾病治療効果や安定性に優れた“機能性人工タンパク質”を創出しようとする試みが注目されており、タンパク質のアミノ酸配列改変体や各種融合タンパク質、ポリエチレングリコール(PEG)もしくは糖鎖修飾タンパク質などが開発されている。しかし例えばPEG化タンパク質の場合、PEGを蛋白質に結合させる際に、PEGがランダムに結合してしまうため、結合分子数・部位の違いはバイオコンジュゲート体の分子的・機能的不均一性をもたらす結果となるなど、品質に問題を残している。さらに、アミノ酸置換体や融合タンパク質、糖鎖改変タンパク質は、抗原性という新たな問題を生み出してしまう。そこで本プロジェクトでは、機能性人工タンパク質製剤のレギュレーションに必至な安定性、抗原性の新規評価法の確立を目的とする。
研究方法
タンパク質製剤の抗原性評価方法の確立に向けて必要となる要素技術として、タンパク質の細胞内導入技術、変性蛋白質の質量分析法を用いた評価系の基礎検討、サイトカイン産生法としてのアデノウイルスベクター開発、人工リンパ組織構築法の検討、リンパ管内皮細胞の特性解析およびHLAアレイ構築に向けた基礎検討を行った。
結果と考察
 タンパク質の細胞内への効率的導入を可能とするペプチドの創製、リンパ管誘導制御法開発に向けての評価系に関する有用な知見を得ることができた。タンパク質製剤等のタンパク質変性状態ならびに分子不均一性を評価しうる方法論として、HDMS解析の有用性が示唆された。また、エンブレルを熱処理、酸化処理することで、アミロイド繊維形成を伴うタンパク質変性が誘導されること、酸化処理群では、マクロファージの活性化を惹起する可能性が示唆された。一方で、ヘルパーウイルスの混在率が1%以下のguttedアデノウイルスベクターの産生系を確立した。また、人工リンパ組織へのリンパ球の遊走と集積にはCCL19, CCL21および CXCL13以外のサイトカイン(ケモカインを含む)が直接的あるいは間接的に関与していることが示唆された。また、リンパ管新生制御の評価法に関して基礎的情報を収集できた。
結論
機能性人工タンパク質製剤のレギュレーションに有用な抗原性、安定性等の評価法確立に向けた基礎情報を集積することができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-