輸血用血液製剤の安全性向上に関する研究

文献情報

文献番号
200735035A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液製剤の安全性向上に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-031
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
水落 利明(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 水澤 左衛子(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
  • 鈴木 哲朗(国立感染症研究所ウイルス第2部)
  • 巽 正志(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、性状の明らかなパネル検体を作成し、それらを用いてのウイルス抗原(HBsAg, HCV core Ag, HIV gag p24 Ag)検出用体外診断キットの性能評価を行なうことを目的とした。また遺伝子検出法については、ウイルス遺伝子(HBV DNA, HCV RNA, HIV RNA)検出を対象としたNAT検査のコントロールサーベイ実施を目的とした。
研究方法
HCVコア抗原検出診断薬によって遺伝子型間/株間で検出感度が異なる可能性が示唆されたアミノ酸多様性がコア蛋白検出の感度に影響するかどうかを明らかにするため、変異体を作製し各野生型コア蛋白と比較解析を行った結果、FEIA法ではコア蛋白のアミノ酸48番が検出感度に影響することが明らかとなった。
世界での流行状況と国内感染者でのsubtype分布を踏まえて作成した分子クローンHIV-1 p24 gag抗原量を、現在国内で市販されているHIV-1抗原・抗体同時測定キットメーカーの協力を得て測定し、各キットの抗原検出感度を比較した。
HCV-NATコントロールサーベイ: HCV-RNA国内標準品および陰性検体を加えたパネルを作製し、血漿分画製剤の国内製造販売業者及び輸入販売業者の海外製造元、さらにはHCV-NATを実施している国内民間衛生検査所に配布し、測定結果を回収後、国立感染症研究所において解析した。

結果と考察
HCVコア抗原の検出においては、検出キット間での抗原検出感度に相違があることが明らかになった。より高い精度で多様性の高い種々のHCVコア抗原測定に対応するためには、検出キットにおいて使用する抗コア抗原ペプチド抗体を見直すなど改良の余地がある。
HIV抗原/抗体同時測定キットの性能比較において明らかになった検出感度の違いは重要であり、今後は全ての市販キットについてコントロールサーベイを実施する必要性が示唆された。
HCV-NATコントロールサーベイの結果は薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会に報告される予定である。

結論
 遺伝子多型を網羅するリコンビナント抗原(HBsAg, HCV core Ag, HIV gag Ag)は抗原検出キットの性能検査に非常に有用であることが示された。
HCV-NATのコントロールサーベイの結果、全ての施設における全てのキットにおいて目標検出感度(100IU/mL)を達成していることが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-03-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200735035B
報告書区分
総合
研究課題名
輸血用血液製剤の安全性向上に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-031
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
水落 利明(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 水澤 左衛子(国立感染症研究所血液・安全性研究部 )
  • 鈴木 哲朗(国立感染症研究所ウイルス第2部)
  • 巽 正志(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎ウイルスおよびHIV感染の迅速、高感度、かつ正確な診断は、輸血用血液製剤の安全性を確保するための最重要課題である。本研究班は、そのようなウイルス混入に対する血清学的検査法および遺伝子検出法の性能評価および最適化を検討する目的で構成された。肝炎ウイルスおよびHIVには様々な遺伝子型が存在することから、現在国内で承認を受け販売されている血清学的診断キットがそのような遺伝子型の異なった抗原を遺漏なく検出できるかについて検討した。また、遺伝子検出法に関しては、その精度管理の観点から、NAT(遺伝子増幅法)検査のコントロールサーベイを実施することが薬事・食品衛生審議会血液特別部会安全性調査会の指示により決定したことを受けて、HBV-NATおよびHCV-NATを対象としたコントロールサーベイを血漿分画製剤の国内製造販売業者及び輸入販売業者の海外製造元、さらにはHCV-NATを実施している国内民間衛生検査所を対象に実施した。
研究方法
種々のgenotype由来HCVコア抗原を用いてコア抗原検出用体外診断薬の評価を行った。
種々のHIV-1感染性分子クローン由来HIV-1 p24 抗原を用いた抗原検出キットの性能評価を行った。
HBV-DNA国内標準品、およびHCV-RNA国内標準品を用いてパネルを作製し、これらを用いてコントロールサーベイを行なった。

結果と考察
HCVコア抗原の検出においては、検出キット間での抗原検出感度に相違があることが明らかになった。より高い精度で多様性の高い種々のHCVコア抗原測定に対応するためには、検出キットにおいて使用する抗コア抗原ペプチド抗体を見直すなど改良の余地がある。
HIV抗原/抗体同時測定キットの性能比較において明らかになった検出感度の違いは重要であり、今後は全ての市販キットについてコントロールサーベイを実施する必要性が示唆された。
NATコントロールサーベイの結果は薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会に報告される予定である。

結論
遺伝子多型を網羅するリコンビナント抗原(HBsAg, HCV core Ag, HIV gag Ag)は抗原検出キットの性能検査に非常に有用であることが示された。
HBV-NATとHCV-NATのコントロールサーベイの結果、全ての施設における全てのキットにおいて目標検出感度を達成していることが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-03-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200735035C

成果

専門的・学術的観点からの成果
遺伝子多型を網羅するリコンビナント抗原(HBsAg, HCV core Ag, HIV gag Ag)は抗原検出キットの性能検査に非常に有用であることを示した。またこれらの抗原を用いてキット間で測定感度に違いがあることが明らかになり、今後の抗原検出キット作成において有用な情報を与えることができた。
HBV-NATおよびHCV-NATのコントロールサーベイの結果、全ての施設における全てのキットにおいて目標検出感度(100IU/mL)を達成していることが示された。

臨床的観点からの成果
肝炎ウイルス(HBV, HCV)およびHIVの感染を早期にかつ正確に診断することは、臨床的観点から非常に重要である。本研究により作成された遺伝子多型に対応したリコンビナント抗原パネルは、現在国内で市販されている体外診断薬キットの性能検査をする上で有益なものである。
NATコントロールサーベイにより、各検査施設で行っているHBV-DNAおよびHCV-RNAに対するNAT試験法について、その感度をバリデーションすることができたことも臨床的観点からの成果である。
ガイドライン等の開発
本研究ではガイドライン等の開発は行っていない。
その他行政的観点からの成果
本研究で実施されたHBV-DNAおよびHCV-RNAについてのNATコントロールサーベイの結果は薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会に報告された。
その他のインパクト
なし。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
20件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Mizuochi T, Okada Y, Umemori K et al.
Evaluation of 10 commercial diagnostic kits for in vitro expressed hepatitis B virus (HBV) surface antigens encoded by HBV of genotypes A to H.
J. Virol. Methods , 136 , 254-256  (2006)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-