国家検定の国際調和に関する研究

文献情報

文献番号
200735023A
報告書区分
総括
研究課題名
国家検定の国際調和に関する研究
課題番号
H18-医薬-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎智彦(国立感染症研究所 ウイルス一部)
  • 佐々木次雄(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 堀内善信(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 高橋元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 布施晃(国立感染症研究所 安全性研究部)
  • 浜口功(国立感染症研究所 安全性研究部)
  • 鹿野真弓(医薬品医療機器総合機構 生物系審査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国におけるワクチンの国家管理体制を調査し、わが国におけるワクチンの国家管理の在り方について提言する。また、わが国と諸外国の基準では、ワクチンに対する力価試験や安全性試験方法が異なるものもあるので、その整合性を図るべき努力をする。更に、国家検定等を含めたわが国のワクチン品質・有効性・安全性の担保の方策全体の中での承認審査の位置づけやGMP査察のあり方についても考察する.
研究方法
管理体制調査は、研究班員が調査可能な国の担当者に依頼した.今年度までに調査できた国は欧州の5ヶ国、アジア6ヶ国である.日本脳炎ワクチンの力価試験は,株化細胞を用いる方法で実施した.異常毒性否定試験は,モルモットの体重を指標に統計解析した.日本の国家検定の実績調査は年報より整理し.制度に関する諸先輩のコメントは,当所学友会報誌に掲載されていたものを抽出した.
結果と考察
各国の管理制度について比較検討した結果, 審査・承認システムは、国ごとに独自性があり,ワクチンの認証および検定の相互承認は進んでいないことが明らかになった.国家検定機関は,国の機関が検定を行い,国際標準規格への対応も進んでいた.検定の方法は大半の国が試験とSLPで審査を行い、検定の頻度は大半が全ロットを文書審査と試験を実施し, GMP査察はNCLとは別組織が2〜3年に一回の割合で定期査察を実施していた.日本脳炎ワクチン力価試験の国際標準化については力価試験の参照候補品を日本が供給することになった.
結論
世界の各国の検定制度の概要が明らかになった.日本脳炎ワクチンの国際標準品の標準化では,Vero細胞法による力価検査法の試験結果をふまえて,各国と協議する.異常毒性否定試験では,SPFグレードのモルモットを用いて試験する際,過去に集計されているクリーングレードの母集団の成績が利用可能なことを確認した.国家検定制度のあり方を過去の国家検定実績及び諸先輩の発言等から考察した結果, 検定部門を研究部門から切り離すことでは、感染症の予防,診断,治療および疫学を司る感染研の現機能が減退することになり,国家的観点から見ると経済性,安全保障の面から後退することとなる。ワクチンに対する国家検定は,力価試験とサマリーロットプロトコルの評価を中心におこなうことが望ましい結論となった.

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
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