文献情報
文献番号
202006042A
報告書区分
総括
研究課題名
テレワーク等新しい働き方に対応したストレスおよびメンタルヘルス対策への提言と好事例集の作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
20CA2044
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
堤 明純(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 江口 尚(北里大学 医学部)
- 井上 彰臣(北里大学 医学部)
- 今井 鉄平(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 今村 幸太郎(東京大学 大学院医学系研究科 精神保健学分野)
- 小林 由佳(東京大学 大学院医学系研究科精神保健学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,193,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、テレワーク等に対応したメンタルヘルス対策について、企業および労働者へのアンケート調査・分析を通して、業種・職種等別にストレス増加・減少傾向を分析・分類し、ストレス増加群に対して効果が期待できる、好事例集の作成につなげることを目的とした。
研究方法
事前調査として、産業医、産業保健職のネットワークを活用して事業場の課題を聴取した。先行研究も参考に文献を調査し、業種、職種別のみならず職場となる家庭の要因等、リモートでの仕事に影響を与える要因を探索した。これら事前調査や文献調査の結果を踏まえ、企業向け郵送調査及び労働者向けインターネット調査といった量的調査のための調査票を作成した。
企業向け・労働者向けの量的調査により、テレワーク等によってストレスやメンタルヘルスが悪化する群および課題の同定を試みた。企業向け調査は、神奈川産業保健総合支援センターと常時連絡している神奈川県下の事業場について、テレワーク導入にあたり生じたストレス・メンタルヘルス関連の課題を聴取した。労働者向けには、テレワークを経験した(経験している)労働者に、テレワーク導入後に起こった変化を尋ねる横断調査と、COVID-19 の流行以降に在宅勤務を開始した労働者を対象とした既存のコホートを追跡し、在宅勤務中の労働者の精神健康に影響を与える要因について縦断的に検討した。
研究分担者の産業医、産業保健職のネットワークを活用し、量的調査の結果を基に同定されるストレス・メンタルヘルス増悪群に焦点をあてたインタビュー調査を実施し、ストレス・メンタルヘルス増悪群が取り組みやすく、メンタルヘルス悪化要因に対処している事例を、好事例として選定した。
企業向け・労働者向けの量的調査により、テレワーク等によってストレスやメンタルヘルスが悪化する群および課題の同定を試みた。企業向け調査は、神奈川産業保健総合支援センターと常時連絡している神奈川県下の事業場について、テレワーク導入にあたり生じたストレス・メンタルヘルス関連の課題を聴取した。労働者向けには、テレワークを経験した(経験している)労働者に、テレワーク導入後に起こった変化を尋ねる横断調査と、COVID-19 の流行以降に在宅勤務を開始した労働者を対象とした既存のコホートを追跡し、在宅勤務中の労働者の精神健康に影響を与える要因について縦断的に検討した。
研究分担者の産業医、産業保健職のネットワークを活用し、量的調査の結果を基に同定されるストレス・メンタルヘルス増悪群に焦点をあてたインタビュー調査を実施し、ストレス・メンタルヘルス増悪群が取り組みやすく、メンタルヘルス悪化要因に対処している事例を、好事例として選定した。
結果と考察
労働者および事業者に対する量的な調査およびインタビュー調査より、テレワークへの適応が困難な労働者を同定した。新入社員、中途入社の労働者は、テレワークの不用意な導入が、メンタルヘルス増悪要因となること。家庭の事情がテレワーカーのメンタルヘルスに影響し、独居の労働者は精神的な健康度が悪化する傾向があること。個人属性では、若年より中高年層でのリスクが高く、テレワーク(働き方)および働き場所の選択ができないことはストレス増につながることが示唆された。
労働者のメンタルヘルスに影響するテレワークの心理社会的ストレス要因としては、労務管理のむつかしさによる量的負担の増加(長時間労働のリスク)、管理が十分にできないことに対する不安が「監視するシステム」(いわゆるマイクロマネジメント)につながり、労働者のメンタルヘルス不調やハラスメントにつながる可能性が聴取された。孤立は、心身の不調の重大なリスクファクターであり、その対策としてのコミュニケーションの活性化は重要であること、高い仕事の要求度(量的な負担)、低いコントロール、低い支援は、テレワークにおいても有意なストレス要因であることが示された。さらに、不十分な環境整備が、テレワーク労働者のストレス要因となっており、テレワーク労働者のメンタルヘルスに影響する在宅の作業環境には、テレワークを可能にする機器およびネット環境、人間工学的事項に加えて、家族との関係等の過程の事情も含まれることが確認された。そのほか、メンタルヘルスに影響する要因として、筋骨格系や視覚系への身体的な負担およびアルコール等の依存のリスクが上がる可能性があり、労働者の公平性も課題として挙げられた。
労働者のメンタルヘルスに影響するテレワークの心理社会的ストレス要因としては、労務管理のむつかしさによる量的負担の増加(長時間労働のリスク)、管理が十分にできないことに対する不安が「監視するシステム」(いわゆるマイクロマネジメント)につながり、労働者のメンタルヘルス不調やハラスメントにつながる可能性が聴取された。孤立は、心身の不調の重大なリスクファクターであり、その対策としてのコミュニケーションの活性化は重要であること、高い仕事の要求度(量的な負担)、低いコントロール、低い支援は、テレワークにおいても有意なストレス要因であることが示された。さらに、不十分な環境整備が、テレワーク労働者のストレス要因となっており、テレワーク労働者のメンタルヘルスに影響する在宅の作業環境には、テレワークを可能にする機器およびネット環境、人間工学的事項に加えて、家族との関係等の過程の事情も含まれることが確認された。そのほか、メンタルヘルスに影響する要因として、筋骨格系や視覚系への身体的な負担およびアルコール等の依存のリスクが上がる可能性があり、労働者の公平性も課題として挙げられた。
結論
確認されたテレワーク導入に伴うメンタルヘルス増悪要因に対し、種々の対策が行われていることがインタビュー調査から明らかになった。そのうち、個人労働者対策として、テレワークの適性の見極めをする仕組みの必要性があること。職場の心理社会的要因への対策として、自宅に限らず働く場所を選択させること他、人間工学的な要素を含む作業環境の改善、労務管理のヒント、コミュニケーション活性化に関連する好事例や、ストレスチェックの活用等を盛り込んだ提言を作成した。提言では、労働者の自宅を含めて産業保健がカバーする管理の範囲が拡張される可能性とその留意事項、テレワークに適合しやすい要素の検討、健康の社会的決定要因になり得るテレワーク実施率の格差についての研究の必要性等、誰もが活躍できる社会を目指して検討していくべき課題について言及した。成功裏にテレワークを導入している事業場のストレス・メンタルヘルス対策を行っている好事例やテレワーク導入で課題となった事例をまとめた。
公開日・更新日
公開日
2024-08-15
更新日
-