健康食品等の安全性・有効性評価研究分野

文献情報

文献番号
200734051A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品等の安全性・有効性評価研究分野
課題番号
H19-食品-若手-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 弘志(熊本県立大学環境共生学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、わが国では「いわゆる健康食品」による肝毒性などの健康被害の報告が相次ぎ、さらにそれら単独の摂取のみならず、医薬品や食品との相互作用による影響も危惧されている。多くの「いわゆる健康食品」について生体影響は不明であるため、その安全性に対する国民の不安は大きく、それを解消すべく、健康食品の安全性・有効性の検査体制の徹底が求められている。本研究では、「いわゆる健康食品」の有効成分および非意図的含有成分の相互作用やそれらと医薬品・食品との相互作用について、ヒトへ外挿可能な線虫C. elegansをモデル生物として、迅速・簡便かつ網羅的に評価可能な新規in vivoスクリーニング手法を開発し、安全性・有効性を評価することを目的とする。
研究方法
本年度は「いわゆる健康食品」としてガジュツに着目し、その抽出成分を用いて、線虫に対する致死、成長・成熟および繁殖影響を指標とした生体影響評価試験をおこなった。また、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析をおこなった。
結果と考察
生体影響評価試験において1000 μg/ml以下のガジュツ抽出成分は線虫に影響しないことが確認された。そこで、1000 μg/mlのガジュツ抽出成分を24時間暴露し、DNAマイクロアレイにより遺伝子発現の網羅的解析を試みた。結果として、主にチトクロームP450 (CYP) やグルタチオンS-トランスフェラーゼ (GST) 遺伝子群の発現の増加が確認され、我々の先行研究との比較から、ガジュツの抗高脂血症薬・抗動脈硬化剤クロフィブレート様の作用、あるいは機能性食品素材としての可能性が示唆された。また、ガジュツ抽出成分によりCYP14A2, 14A3および34A3遺伝子の発現は増加した。我々の先行研究では、生体異物によりこれら遺伝子の発現変動は確認されていないことから、ガジュツ抽出成分は生体異物によるCYP遺伝子の発現応答プロファイルと異なる作用を有すると考えられた。さらに、酸化ストレス誘導剤パラコートを用いて、生体影響を惹起する暴露濃度を明らかにし、DNAマイクロアレイ解析から、パラコートはCYP、GST、脂質代謝関連およびABCトランスポーター遺伝子の発現に影響することを確認した。
結論
「いわゆる健康食品」の安全性・有効性評価において、線虫を用いた新規in vivoスクリーニング試験法は有効であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
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