食品中の複数の化学物質による健康影響に関する調査研究

文献情報

文献番号
200734048A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の複数の化学物質による健康影響に関する調査研究
課題番号
H19-食品-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 卓二(金沢医科大学)
  • 原田 孝則(財団法人残留農薬研究所毒性部)
  • 出川 雅邦(静岡県立大学薬学部)
  • 中澤 裕之(星薬科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中化学物質によるin vivo変異原性、発がん性、神経毒性、代謝及び反応生成物への複合影響を多角的に解析し、安全性評価に資する基礎的データを収集するため、添加物、農薬、汚染物質などを組み合わせて、遺伝子改変動物、多段階発がんモデル動物、幼若動物などで検討した。
研究方法
1) 銅含有添加物をラットに投与し、銅蓄積による酸化的ストレス誘発の有無を調べるとともに、フェノール系抗酸化物質や金属キレーターを併用投与し、複合影響を検討した。
2) マウスに発がん抑制作用のある食品添加物を単独ないし複合で4週間混餌投与し、肝のmicroarray解析を実施した。
3) 農薬の複合影響を明らかにするため、ラットに2週間反復経口投与し、一般毒性、神経毒性及び免疫毒性関連項目を指標に相加・相乗毒性の有無を検索した。
4) CYP発現に影響を与えることが知られている食品添加物について、AhR及びCYP1A酵素活性化能についてAhRリガンド検索用細胞株を用いて検討した。
5) 抗酸化物質のニトロ化によるラジカル消去能及び発生能の変化を調べるとともに、ニトロカフェイン酸が活性酸素種発生に与える影響をDCFH-DAを用いて検討した。
結果と考察
1) グルコン酸銅投与によりラット肝で酸化的ストレスが誘発され肝障害が生じたが、抗酸化物質や金属キレート剤の併用による複合影響は明らかでなかった。
2) Quercetin及びcurcuminの併用により、雄でprostate cancer pathway、biosynthesis of steroid pathway、雌でC21-steroid hormone metabolism pathway、type II diabetes mellitus pathwayの変化が顕著であった。
3) パラチオンとMPMCの単独投与により血漿グロブリン及び総コレステロールが上昇したが、両剤の複合影響はみられなかった。
4) チアベンダゾールやクルクミンはメチルコラントレンによるAhR活性化及びCYP1A酵素活性誘導を増強した。CYP発現を介する複合影響を考える上で重要である。
5) カテコール及びカフェイン酸のニトロ化反応によりROS発生作用が増強された。抗酸化物質の安全性を考える上で重要である。
結論
抗酸化物質、CYP発現に影響する物質、農薬及び発がん抑制物質の複合影響について検討し、興味ある知見を得た。さらに解析を進め、総合評価する。

公開日・更新日

公開日
2008-06-16
更新日
-