冷凍食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200734042A
報告書区分
総括
研究課題名
冷凍食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 小沼 博隆(東海大学海洋学部)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
冷凍食品の規格基準のあり方を再検討するにあたり、その基礎的調査として、輸入冷凍食品の数量および冷凍食品以外の冷凍流通食品の国内流通実態や流通数量の把握を試みること、さらに様々な温度帯や流通形態の冷凍流通食品の微生物汚染実態を把握することを目的として、調査を実施した。暫定的に、冷凍食品以外の冷凍流通食品を「冷凍状態で出荷され、流通過程で保存温度条件が変更され、冷凍・冷蔵・常温で販売される食品」と定義した。
研究方法
厚生労働省「輸入食品監視統計」を分析し、輸入冷凍食品の流通数量を把握した。一方、冷凍食品以外の冷凍流通食品の国内流通実態については、店舗調査やヒアリングにより把握に努めた。また、加熱用魚介類、生食用魚介類、加熱用野菜、生食用野菜果物、加熱用揚げ物、加熱用飲茶類についてcoliforms(大腸菌群)、presumptive E. coli(推定大腸菌)及びEnterobacteriaceae(腸内細菌科)の汚染状況を調査した。検査法は国際的な標準法であるISO法を使用した。
結果と考察
平成18年の輸入冷凍食品の輸入数量は143.7万トンであり、国内冷凍食品生産数量とほぼ同等の数量であった。一方、店舗調査等の結果、多様な食品が、国内外で製造後流通開始時に冷凍され、販売までの間に保存温度条件を変更されて、冷凍流通食品として流通されている実情が把握された。しかし、冷凍食品以外の冷凍流通食品の流通量を定量的に把握することは困難であった。冷凍食品とそれ以上の温度帯で凍結されている凍結品について微生物汚染状況を比較したところ、飲茶類で凍結品からのcoliforms、presumptive E. coli及びEnterobacteriaceaeの分離率が冷凍食品よりも有意に高い結果を示した。その他の食品カテゴリーでは冷凍食品と凍結品からの指標菌分離率に差は見られなかった。
結論
冷凍食品以外の冷凍流通食品の流通量を定量的に把握することは困難であることが分かった。ただし、店舗調査等の結果、野菜・果実類を除く多様かつ無視できない数量の食品が、冷凍流通食品として流通されている実情が把握された。その状況に対し、現状では冷凍食品にのみ規格基準が設定されており、冷凍食品以外の冷凍流通食品には規格基準が設定されていないことから、冷凍食品を含め、冷凍流通食品の規格基準を適切に再検討することの必要性を指摘した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
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