貝毒を含む食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200734039A
報告書区分
総括
研究課題名
貝毒を含む食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
安元 健(財団法人日本食品分析センター多摩研究所試験研究部分析化学課)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 泰克(東北大学大学院 生命科学研究科)
  • 関口 礼司(財団法人日本食品分析センター多摩研究所試験研究部分析化学課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の第一の目的は,研究者らがこれまでに培った技術と能力を生かし,標準毒の作製と主任研究者が開発した主要有機溶媒可溶毒群の一斉分析法及び分担研究者の大島が開発した麻痺性貝毒ポストカラム蛍光化HPLC法について外部機関との共同研究による検証試験を行うことにより,国内外の貝毒対策に貢献することにある。その結果,国産二枚貝の正確な貝毒監視を可能にする。また,二枚貝製品の輸出の際に検査を要求されることの多い,神経性貝毒とアザスピロ酸貝毒測定や,麻痺性貝毒の高精度の検査を可能にする。
研究方法
標準毒の作成:
 添加回収試験と分析外部標準に必要な有機溶媒可溶毒は,国内出現毒10成分と海外出現毒4成分を調製する。
麻痺性貝毒は,分析に必要な標準毒のセットを調製する。
分析条件の検討:
 有機溶媒可溶毒一斉分析法は次の3方針で行った。①国内の公定法に従い中腸腺を抽出試料とする,②迅速・簡便性を目指し抽出液の前処理等を行わない,③エステル型下痢性貝毒の測定は合成標準品を用いるので加水分解は行わない。
一方,これまでの研究で開発した麻痺性貝毒ポストカラム蛍光化HPLC分析法の妥当性確認を実施する。
結果と考察
標準毒作成:
 DTX1は低純度試料の処理・エステル合成方法を検討し,精製技術を開発した。また,NMRスペクトルの異常は金属塩の形成によることを解明した。
 麻痺性貝毒は主要標準毒混合液と二枚貝抽出液試料を調製した。
分析条件の検討:
 二枚貝の採取地と採取季節を従来と変えて添加回収試験を行った。規制値の十分の一に相当する低濃度での回収率はホタテガイでは良好であったが,ムラサキイガイではOAとDTX1が150%を超えることがあり,今後の検討が必要と判断された。
 麻痺性貝毒のポストカラム蛍光化HPLCを改良した。
結論
1)低品質原料から標準毒を確保する道を開いた。
2)わが国の下痢性貝毒監視に最も重要なDTX1,DTX3確保への展望を得た。
3)1H-NMRに於ける異常スペクトルの問題を解決した。
4)新たにhomoYTXの標品を調製した。
5)マトリックス妨害の大きくなる冬季二枚貝の抽出液でもLC-MS適用の見通しを得た。
6)麻痺性貝毒の一斉分析法に最適の資材を見出した。また,ベースラインの乱れの原因となる不純物を発見し,問題を解決した。
7)麻痺性貝毒の標準毒及び二枚貝抽出液からなる分析試料を調製した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
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