文献情報
文献番号
202006008A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療等安全性確保法における再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直しに資する研究
課題番号
20CA2008
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
福井 次矢(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
研究分担者(所属機関)
- 松山 晃文(大阪はびきの医療センター 次世代創薬創生センター)
- 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究開発監理部 生命倫理研究室)
- 岡田 潔(大阪大学医学部附属病院未来医療開発部)
- 梅澤 明弘(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所再生医療センター)
- 紀ノ岡 正博(大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域)
- 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 発生発達病態学分野)
- 中原 貴(日本歯科大学 生命歯学部)
- 藤原 康宏(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医薬品安全対策第一部)
- 黒田 享(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,985,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 松山晃文
藤田医科大学(令和2年4月1日~令和2年7月31日)
大阪はびきの医療センター(令和2年8月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
再生医療等安全性確保法施行後5年の見直しに向けた議論における提言を踏まえ、本研究は、医療技術の進展に伴う再生医療等を取り巻く状況の変化等を勘案し、現在の再生医療等技術のリスク分類が適切であるか、法の適用除外範囲や各リスク階層の手続が適切であるかについて、当該技術のリスクと手続に係る負担等を比較衡量しつつ、専門的な見地から検討することを目的とする。
研究方法
法改正にむけたリスク分類改定およびその可否にかかる論点は
1)薬事既承認医療機器を用いて調製される特定細胞加工物・PRPを用いた再生医療等技術の取り扱い
2)保険収載された再生医療等技術の取り扱い
3)他家細胞を用いた医療技術その他の再生医療等技術の取り扱いおよび新規に定めるべき医療技術
である。
1)薬事既承認医療機器を用いて調製される特定細胞加工物・PRPを用いた再生医療等技術の取り扱い
再生医療等安全性確保法下で行われている再生医療等提供計画において使用されている既承認医療機器に関し、薬事承認において対象疾患や使用方法が限定されているものについて、承認の範囲内で用いた場合にも認定再生医療等委員会にて審査する必然性があるか否かを検討する。
2)保険収載された再生医療等技術
保険収載された再生医療等技術に関し、法の適用を除外すべきか調査を行った。特に、すでに保険収載されている細胞をもちいた医療技術に関し、法から除外されているのか、除外されている場合にはその科学的論拠を調査する。
3)他家細胞を用いた医療技術その他の再生医療等技術の取り扱いおよび新規に定めるべき医療技術
上記の他、他家細胞を用いた医療技術や、その他の再生医療等技術について、リスク分類を見直すことを妥当とする公知情報があるか調査する。
1)薬事既承認医療機器を用いて調製される特定細胞加工物・PRPを用いた再生医療等技術の取り扱い
2)保険収載された再生医療等技術の取り扱い
3)他家細胞を用いた医療技術その他の再生医療等技術の取り扱いおよび新規に定めるべき医療技術
である。
1)薬事既承認医療機器を用いて調製される特定細胞加工物・PRPを用いた再生医療等技術の取り扱い
再生医療等安全性確保法下で行われている再生医療等提供計画において使用されている既承認医療機器に関し、薬事承認において対象疾患や使用方法が限定されているものについて、承認の範囲内で用いた場合にも認定再生医療等委員会にて審査する必然性があるか否かを検討する。
2)保険収載された再生医療等技術
保険収載された再生医療等技術に関し、法の適用を除外すべきか調査を行った。特に、すでに保険収載されている細胞をもちいた医療技術に関し、法から除外されているのか、除外されている場合にはその科学的論拠を調査する。
3)他家細胞を用いた医療技術その他の再生医療等技術の取り扱いおよび新規に定めるべき医療技術
上記の他、他家細胞を用いた医療技術や、その他の再生医療等技術について、リスク分類を見直すことを妥当とする公知情報があるか調査する。
結果と考察
議論では、a)あるべき法規制、b)法施行後に広く受容されることとなった科学的知見、ならびにc)法運用により蓄積された安全性及び科学的妥当性にかかるエビデンスを重視すること前提とした。
検討された3つの論点について、以下の結果を得た。
1)適用範囲、及び手続きの見直しについて
第3種再生医療等技術のPRP利用に関して、薬機法下で適応症を含む承認を取得した医療機器を適応の範囲内で利用する場合には、再生医療等安全性確保法の適用から除外することを提言する。また、それ以外の再生医療等技術については、現状のリスク分類や科学的根拠、また使用する医療機器のクラス分類等に応じた再生医療等安全性確保法上の諸手続きの見直しにむけた議論が望まれる。
2)リスク分類の見直し
他家細胞を利用した技術において、安全性や有効性(科学的妥当性)が一定程度確認された技術等については、法で求める第1種再生医療等の手続きの見直しに向けて議論することが可能である。また、他の評価系において、安全性及び有効性について一定の評価がされている技術についても、その評価の度合いに応じた手続きの見直しについて検討することも可能である。
現行のリスク分類の見直しについては、見直しに資する知見が集積した段階で、改めて検討を行うのが望ましい。
3)新規医療技術への対応
新規医療技術としてエクソソーム等について科学的な観点から検討を行った結果、その定義や有用性について現時点で明確ではなく、また再生医療等安全性確保法の対象である細胞治療に分類されるものではないことから、法の対象範囲に含める必要があるとは結論づけなかった。一方で、エクソソーム等を含む細胞を活用した関連技術については、自由診療における「細胞培養加工の工程で作製される培養上清液」を用いた治療のリスクが懸念されることから、国内外における上記自由診療の診療実績や国外の規制の現状を把握することが重要であると結論づけた。
検討された3つの論点について、以下の結果を得た。
1)適用範囲、及び手続きの見直しについて
第3種再生医療等技術のPRP利用に関して、薬機法下で適応症を含む承認を取得した医療機器を適応の範囲内で利用する場合には、再生医療等安全性確保法の適用から除外することを提言する。また、それ以外の再生医療等技術については、現状のリスク分類や科学的根拠、また使用する医療機器のクラス分類等に応じた再生医療等安全性確保法上の諸手続きの見直しにむけた議論が望まれる。
2)リスク分類の見直し
他家細胞を利用した技術において、安全性や有効性(科学的妥当性)が一定程度確認された技術等については、法で求める第1種再生医療等の手続きの見直しに向けて議論することが可能である。また、他の評価系において、安全性及び有効性について一定の評価がされている技術についても、その評価の度合いに応じた手続きの見直しについて検討することも可能である。
現行のリスク分類の見直しについては、見直しに資する知見が集積した段階で、改めて検討を行うのが望ましい。
3)新規医療技術への対応
新規医療技術としてエクソソーム等について科学的な観点から検討を行った結果、その定義や有用性について現時点で明確ではなく、また再生医療等安全性確保法の対象である細胞治療に分類されるものではないことから、法の対象範囲に含める必要があるとは結論づけなかった。一方で、エクソソーム等を含む細胞を活用した関連技術については、自由診療における「細胞培養加工の工程で作製される培養上清液」を用いた治療のリスクが懸念されることから、国内外における上記自由診療の診療実績や国外の規制の現状を把握することが重要であると結論づけた。
結論
第3種再生医療等技術のPRP利用に関しては、薬機法下で適応症を含む承認を取得した医療機器を適応の範囲内で利用する場合には、再生医療等安全性確保法の適用から除外することを提言する。現行のリスク分類の見直しについては、見直しに資する知見が集積した段階で、改めて検討を行うのが望ましい。新規医療技術としてエクソソーム等について科学的な観点から検討を行った結果、その定義や有用性について現時点で明確ではなく、また再生医療等安全性確保法の対象である細胞治療に分類されるものではないことから、法の対象範囲に含める必要があるとは結論づけられなかった。
公開日・更新日
公開日
2022-06-09
更新日
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