文献情報
文献番号
202005006A
報告書区分
総括
研究課題名
国際会議で効果的な介入を行うための戦略的・効果的な介入手法の確立に資する研究
課題番号
20BA1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 勝間 靖(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
- 中谷 比呂樹(国立国際医療研究センター グローバルヘルス人材戦略センター)
- 明石 秀親(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
- 坂元 晴香(慶應義塾大学 医療政策・管理学教室)
- 石塚 彩(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
- 梅田 珠実(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
- 細澤 麻里子(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,900,000円
研究者交替、所属機関変更
・所属機関異動
研究分担者 坂元 晴香
東京女子医科大学(平成31年 4月1日〜令和 2 年3月31日)
→慶應義塾大学(令和2年4月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
日本の保健分野の国際協力は、G8洞爺湖サミット以来、一貫して保健システム強化やUniversal Health Coverageの主流化を先導してきたことが国際的に高い評価を得ており、我が国の国際保健外交を牽引する国内関係者や専門家の経験が積み重ねられてきている。しかしながら、それらの土台となる知見や国際会議の経験は、必ずしも系統的に分析されて共有可能な形でとりまとめられたり、若手の国際保健人材育成に活用されたりするには至っていない。
本研究は、国際保健外交及び実務にて経験豊富な研究者及び実務者連携を図りながら、World Health Organization (世界保健機関)主要会合並びに総会を中心に、グローバルヘルスの今日的課題に関する経緯や、日本及び各国政府の動向を分析したうえで、我が国が国際的な議論に戦略的に介入し、日本の立場を主張するための手法開発と若手や中堅実務者向けの効果的な教育プログラムの確立を目的としている。
本研究は、国際保健外交及び実務にて経験豊富な研究者及び実務者連携を図りながら、World Health Organization (世界保健機関)主要会合並びに総会を中心に、グローバルヘルスの今日的課題に関する経緯や、日本及び各国政府の動向を分析したうえで、我が国が国際的な議論に戦略的に介入し、日本の立場を主張するための手法開発と若手や中堅実務者向けの効果的な教育プログラムの確立を目的としている。
研究方法
WHO主要会合並びに総会における討議内容や決議に関する情報を収集し、日本の介入が効果的な分野(強み)と介入しにくい分野(課題)を実証的に分析する。また、各国の立場の変化やその背景となる政策についても情報収集し、我が国との比較を行う。これらの情報を取り込んだ研修プログラムを、国立国際医療研究センターが過去3年間毎年実施しているグローバルヘルス外交ワーショップ(Global Health Diplomacy Workshop)等において実施し、効果について評価を行い次回の改善につなげる。ワークショップには、タイ王国の様に先駆的、組織的に国際会議への介入、若手の人材育成を推進している国から行政官・研究者を招いて研修内容のレベルアップを図る。
結果と考察
複雑化するグローバルヘルス外交の歴史的経緯を踏まえた上で、WHO主要会合並びに総会における討議内容や決議に関する情報を収集し、日本の介入を効果的に行う上でのガイドラインや教科書の作成につなげるため、2020年5月11日より全20回にわたり、グローバルヘルス外交に関する国際的な成書であるThomas E. Novotny, Ilona Kickbusch, Michaela Told著「21st Century Global Health Diplomacy」の輪読会を行った。第1~12章の各章に対して、それぞれの担当者がまとめたプレゼンテーションと議論を行い、議事録形式でまとめた。内容は、外交と健康との関わり、歴史、ガバナンスとアクター、外交手段、安全保障、軍隊の健康、人道支援、交渉の成功要因、国家と国際協調、将来展望等である。参加者は研究班のメンバーに加えて、グローバルヘルス外交の実務者、行政官および研究者から募り、各議題について参加者の経験や意見交換をし、日本のグローバルヘルス外交の特徴、課題、将来の展望を抽出した。得られた知見は今後の教材開発に活かして、教育プログラムの強化を図っていく。
令和2年度に開催したワークショップ(新型コロナウイルス感染症対策のためオンライン開催)では、輪読会での議論を踏まえて取り扱う課題を設定し、日本のみならず、WHO、タイ、ブラジルから該当領域の専門家を招聘し、講義と質疑応答を依頼した。講義の内容は、グローバルヘルス外交の流れ、人材育成、国際会議での発言様式、介入への準備、発言原稿の形成、交渉の原則、日本の国連での介入の実例と課題、知的財産と公衆衛生の間の交渉課題、多様な機関とのパートナーシップと多岐にわたり、さらに、国際会議場での実践的発言演習をと取り入れた研修を行った。参加者は、行政(厚生労働省、外務省)、国際協力機構、アカデミア、シンクタンク、非政府団体(NGO)、産業界などから、国際会議の経験のある、あるいは、参加予定はあるが国際会議の経験が少ない官⺠の中堅・若手実務者32名が集まった。加えて、将来グローバルヘルス外交を担う医学部、公衆衛生大学院の学生など33名がオブザーバーとして参加した。
また、令和3年10月には、繰り越し事業として令和2年度のワークショップ参加者13名を対象に対面での国際会議での発言や交渉の模擬演習を行い、WHOなどの国際会議経験者からのフィードバックを得るワークショップを開催した。参加者からのフィードバックからは、いずれのワークショップも国際会議における暗黙知を共有するにあたり有用な方法であることが確認された。
令和2年度に開催したワークショップ(新型コロナウイルス感染症対策のためオンライン開催)では、輪読会での議論を踏まえて取り扱う課題を設定し、日本のみならず、WHO、タイ、ブラジルから該当領域の専門家を招聘し、講義と質疑応答を依頼した。講義の内容は、グローバルヘルス外交の流れ、人材育成、国際会議での発言様式、介入への準備、発言原稿の形成、交渉の原則、日本の国連での介入の実例と課題、知的財産と公衆衛生の間の交渉課題、多様な機関とのパートナーシップと多岐にわたり、さらに、国際会議場での実践的発言演習をと取り入れた研修を行った。参加者は、行政(厚生労働省、外務省)、国際協力機構、アカデミア、シンクタンク、非政府団体(NGO)、産業界などから、国際会議の経験のある、あるいは、参加予定はあるが国際会議の経験が少ない官⺠の中堅・若手実務者32名が集まった。加えて、将来グローバルヘルス外交を担う医学部、公衆衛生大学院の学生など33名がオブザーバーとして参加した。
また、令和3年10月には、繰り越し事業として令和2年度のワークショップ参加者13名を対象に対面での国際会議での発言や交渉の模擬演習を行い、WHOなどの国際会議経験者からのフィードバックを得るワークショップを開催した。参加者からのフィードバックからは、いずれのワークショップも国際会議における暗黙知を共有するにあたり有用な方法であることが確認された。
結論
今年度実施した研究から得られた知見は今後の教材開発や教育プログラム策定に活かし、我が国が国際的な議論に戦略的に介入して日本の立場を主張し、国益及び国際的な平和を守る人材の育成に貢献するものである。
公開日・更新日
公開日
2021-06-16
更新日
2022-01-31