輸入生鮮魚介類および動物生肉のウイルス汚染のサーベイランスに関する研究

文献情報

文献番号
200734026A
報告書区分
総括
研究課題名
輸入生鮮魚介類および動物生肉のウイルス汚染のサーベイランスに関する研究
課題番号
H18-食品-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 治(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 廣治(鹿児島国際大学大学院福祉社会学研究科)
  • 鈴木 宏(新潟大学教育研究院医歯額系)
  • 木村 博一(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 山下 和予(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 古屋 由美子(神奈川県衛生研究所 微生物部)
  • 杉枝 正明(静岡県環境衛生科学研究所 犠牲物部)
  • 大瀬戸 光明(愛媛県立衛生環境研究所 衛生研究課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国には大量の生鮮魚介類および動物肉が輸入されているものの、ウイルス学的な安全性は輸出、輸入国共に殆ど調べられていない。そこで、生鮮魚介類はノロウイルスおよびA型肝炎ウイルス、動物肉はE型肝炎ウイルスの汚染状況を調査・研究すると共に、日本のノロウイルス、A・E型肝炎の患者発生との関連およびベトナムの小児におけるノロウイルスによる流行状況と遺伝子型について研究を実施した。
研究方法
2007年5月から2008年2月の間に、市販された魚介類で中国、韓国、ロシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フィリピンからの220検体(加熱用カキ、生食用カキ、アカガイ、ハマグリ、アサリ、タイラギ、ブラックタイガー等)について、全検体はノロウイルスとA型肝炎ウイルスの検出を、一部はE型肝炎ウイルスの検出を行なった。
 動物肉はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、中国からの144検体(豚肉、牛肉、鹿肉、羊肉、馬肉)および中国、韓国からの生鮮魚介類40検体についてE型肝炎ウイルスの汚染状況を調査した。
結果と考察
 ノロウイルスは生鮮魚介類220検体中39検体(18%)から検出された。加熱用カキが11検体中1検体(10%)、生食用カキが47検体中0検体、アカガイ106検体中23検体(22%)、ハマグリ29検体中8検体(28%)から検出された。ブラックタイガー10検体中1検体はノロウイルス陽性であった。月別では2006年5月から2007年2月まで毎月ノロウイルス陽性が認められた。
なお、カキ1検体、アカガイ32検体およびハマグリ6検体はE型肝炎ウイルス陰性であった。
生鮮魚介類からのA型肝炎ウイルス検出は生鮮魚介類291検体中1検体(0.5%)から検出され、遺伝子型は1a型であった
動物肉の豚肉95検体、牛肉6検体、鹿肉5検体、羊肉および馬肉各2検体からはE型肝炎ウイルスが陰性であった。
また、国内のE型肝炎ウイルス患者は69名で、国内感染例は52名であった。
結論
輸入生鮮魚介類の喫食に当たっては、充分に加熱をし、加熱できないときには二枚貝の中腸腺を完全に取り除き、良く洗浄することが感染防止に重要であり、食品からの感染防止に努める。生鮮魚介類を扱う食品業者はA型肝炎ウイルスのワクチンを積極的に受け、自らが感染源となることを防止しなければならない。動物肉の豚肉95検体、牛肉6検体、鹿肉5検体、羊肉および馬肉各2検体はE型肝炎ウイルスが陰性であったことから、輸入動物肉は現在のところ、ウイルス汚染はなく、ウイルス学的に安全と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
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