食品中の遺伝毒性を有する有害物質のリスク管理に資する総合研究

文献情報

文献番号
200734025A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の遺伝毒性を有する有害物質のリスク管理に資する総合研究
課題番号
H18-食品-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
今井 俊夫(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 紅林 秀雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部)
  • 渋谷 淳(東京農工大学大学院 共生科学技術研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、食品中の遺伝毒性を有する有害物質としてアクリルアミド(AA)を対象にしている。食品からのAA摂取量は、成人よりも小児の方が高いと推定されていることから、その体内動態及び毒性に関し、胎児期、乳幼児期、春機発動期、成熟期など各ライフステージにおける特性及び感受性の違いを実験的に検討する。用量反応性を考慮した解析により、小児を含むヒトに対するリスク管理に資するデータを構築する。
研究方法
[代謝] 4及び14週齢の雌ラットに[2,3-14C]AAを2.5 mg/kg体重の用量で1回強制経口投与した。[神経、精巣毒性] ラットの妊娠6日目から離乳時まで、AAを25、50、100 ppmの用量で飲水投与した。[発がん性] 乳幼児期にAAを20、40、80 ppmの用量で飲水投与した後にN-メチル-N-ニトロソ尿素による処置を行う、多臓器を対象としたラット中期発がん性試験の剖検を終了した。[遺伝毒性] 11週齢のgpt delta雄ラットにAAを20、40、80 ppmの用量で2日あるいは4週間飲水投与した。
結果と考察
[代謝] 投与72時間後までに幼若ラットでは80 %、成熟ラットでは65 %の尿中排泄が確認された。また、72時間時点で幼若ラットに3 %、成熟ラットに8 %の血液残留がみられ、AAの代謝、排泄は成熟ラットより幼弱ラットで速いことが推定された。 [神経、精巣毒性] 母動物では用量依存的な神経症状と神経病変が確認されたが、児動物では母動物の全身状態悪化による発達遅延がみられたものの、神経毒性及び精巣毒性は認められなかった。[発がん性] 肉眼観察においては、AAの乳幼児期投与による発がん感受性に及ぼす影響を示唆する結果は得られていない。[遺伝毒性] 2日間投与の骨髄、抹消血で用量依存的な小核増加、4週間投与の肝臓でコメット試験によるDNA損傷が確認された。
結論
AAの幼若期投与による体内動態及び神経、精巣毒性に関する研究成果の一部には、AAに対する幼若動物の感受性が成熟動物に比して高いとはいえないことを示唆する結果が含まれているが、発がん性及び遺伝毒性に関する幼若期と成熟期の比較など、更なる検討を要する。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-