放射線照射食品の検知技術に関する研究

文献情報

文献番号
200734011A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線照射食品の検知技術に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 誠(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚瀬正和(放射線利用振興協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【研究目的】照射食品は原則として、我が国では禁止されている。これを検出する技術の基礎研究開発は行われているものの、我が国の行政需要にあった研究は行われていない。この現状に鑑み、照射食品の検出技術を可急的速やかに実用化することを目的とした。 本研究は照射香辛料を中心に、検知が確実に行えるTL法と通常の微生物実験室で検査可能な微生物学的な方法について検討をおこなった。

研究方法
【研究方法】TL試験法を用いて、2機関で100弱の試料を用いる簡易コラボを行い、結果に問題のない香辛料を通知法に追加した。また、本法の知識普及と問題点を認識するために発表会を開催した。ESR法の検討を開始した。微生物法については、一般生菌数と熱処理後菌数とを比較する熱処理微生物法について、9機関の参加を得て、再現性等の検証をおこなった。同時に放射性耐性菌を検出する確認試験法やグラム陰性菌についても検討を行った。
結果と考察
【結果・考察】TL試験法として具備すべき、TL測定器の校正基準温度や標準線量照射の基準など機器の標準化等に必要なデータを整えた。簡易コラボの結果、白胡椒、わさびなど主要な香辛料の検知が可能となったが、“ごま”など検知が困難な試料もあった。TL成果発表会での質問事項を慎重に吟味したところ、本試験法に問題はなかった。本TL法に対する理解不足と判断され、学会等で説明し、理解を得た。TL法の適用困難な乾燥果実等について、ESR法の測定条件などの基礎的な知見を得た。
 微生物法については、コラボの結果、黒胡椒など芽胞菌数の多い試料については的確に照射を判断できたが、グラム陰性菌が多いセージなどでは判断が困難な場合があった。初発菌が1000個/CFU以上の場合は十分な検知が出来た。しかし、菌数が少ない試料の場合、本方法は不確実で、これを補うために確認法として、Bacillus megaterium、Bacillus cereus等の放射性耐性菌を検出することにより、上記熱処理微生物法を補うことが可能であった。
結論
【結論】本研究により、ヨーロッパ法より極めて精密な本TL法は食品安全部長通知法となり、主要な香辛料について、我が国の行政風土にマッチして照射・非照射の判定が可能となった。微生物法は一般生菌数、熱処理後菌数、放射性耐性菌等を調べると照射香辛料の検知が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200734011B
報告書区分
総合
研究課題名
放射線照射食品の検知技術に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 誠(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚瀬正和(財団法人 放射線利用振興協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【研究目的】照射食品はジャガイモの芽止め以外、原則として我が国では禁止されている。我が国の行政需要に合致した照射食品検出技術の可急的速やかな実用化を目的とした。
研究方法
研究方法】本研究は照射香辛料を中心に、確実な検知が可能なTL法と通常の微生物実験室で検査可能な微生物学的方法を検討した。TL試験法について、初年度はその試験法の詳細を検討し、試験法原案を作成した。次年度は実験的に照射試料を作成し、熱発光極大温度とTL比を指標に実験室内・間(10機関)再現性等を調べた。最終年度は市販試料を用いて簡易コラボ(2機関)で実用性を実証した。本法の知識普及と問題点を認識するためにTL成果発表会を開催した。最終年度ESR法を検討した。微生物法について、初年度は一般生菌数と熱処理後菌数とを比較する熱処理微生物法、加塩培地法など検知原理を研究した。次年度は熱処理微生物法の照射判定の基準を作成した。最終年度は実験室間(9機関)再現性試験並びに放射性耐性菌を検出する確認試験法等を検討した。
結果と考察
【研究結果・考察】 TL試験法について、初年度は熱発光量の重量補正法や必要な試料皿等を検討し、試験法を精密化した。次年度、判別力の実験室間の再現性試験の結果は正答率98%であった。判別指標は熱発光極大温度が優れていた。最終年度は、標準線量照射の基準など測定の標準化等を行った。さらに、簡易コラボの結果、主な香辛料すべての検知が可能となった。発表会での質問疑義事項を調査したが、本試験法に問題はなく、さらにTL法に関する知識の啓蒙が必要である。TL法の適用困難な乾燥果実等について、ESR測定条件などの基礎的な知見を得た。微生物法については、初年度の検討では熱処理微生物法について判別の可能性研究し、次年度は照射の判断基準を非加熱と加熱処理試料菌数差の対数値が0.3以上とした。最終年度はこれの実験室間再現性を確かめた。しかし、髙線量照射試料の検知は困難であったが、放射線耐性菌を検出することで検知が可能であった。
結論
結論】本研究により、TL法は極めて精密な食品安全部長通知法となり、主要な香辛料について、我が国の行政風土に合致した照射試料の判定が可能となった。TL法の知識普及活動が必要である。微生物法は一般生菌数、熱処理後菌数、放射性耐性菌等を調べると照射香辛料の検知が可能でスクリーニング法としての判別能力がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200734011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 放射線照射食品の検知法の内、熱発光法(TL法)について検討を行い、再現性が高く、検知性に優れた方法を開発し、その正答率は98%であった。これを公定通知試験法とした。さらに、検知に特別の設備が不要な微生物的方法の内、菌数法と放射線耐性菌法を検討し、行政スクリーニング法として、利用が可能であることを示した。
臨床的観点からの成果
不明
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
TL法は食品安全部通知法となり、検疫所等で輸入食品等の検査に利用されている。
その他のインパクト
成果報告会を2回、TLの講習会を1回開催した。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
27件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-